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安田 好隆
ポルトガル

ポルトガル通信
~一芸は道に通ずる~

安田 好隆
1984年9月19日生まれ。東京都出身。高校時代より指導者を目指し、卒業前から母校である國學院久我山高校の指導にあたる。横河武蔵野FCでの指導を経て、2007年8月にメキシコへ。2011年9月より、ポルトガルのポルト大学スポーツ学部大学院に進学。2012/2013シーズンは、クラブ全体で戦術的ピリオダイゼーションを採用するFC FozのU-19B監督を務めた。
Twitter: @yasudayoshitaka

アイルランド

■ポルトガルA代表のミクロサイクル

2013.11.8

ポルトガルA代表のミクロサイクル

前回、現役ポルトガルA代表コーチである、ジョアン・アロソ氏のプレゼンテーションについて紹介しました。

プレゼンの内容は大きく分けて3点。

①プレー原則(攻撃オーガナイズに特化)をどのようなプロセスでトレーニングするのか
②招集されてから、試合までにプレー原則をどのようなミクロサイクルで行っているか
③ビデオミーティングをとおして戦略的側面をどう準備するか

今回は、②についてです。

ポルトガルA代表ミクロサイクル(2011年3月23日~26日)
午前 積極的回復
攻撃オーガナイズ (1)
守備オーガナイズ 攻撃オーガナイズ
(攻→守トランジション)
OFF
午後 攻撃オーガナイズ
(1)(3)(4)
OFF OFF vs チリA代表

こちらは、2011年3月26日にポルトガル代表のホーム、レイリアで行なわれたポルトガルA代表vsチリA代表の国際親善試合の選手招集から、試合までのミクロサイクルです。

準備期間は、たったの3日間。各セッションで行われているトレーニングがビデオを用いて、細かく紹介されました。

ポルトガルA代表には、現在の日本代表と同じようにさまざまなクラブや国(スペイン・トルコ・ロシア・ドイツ・イタリアetc…)でプレーする選手が招集されます。

選手たちは、招集前最後の試合日程、プレー時間、移動時間…多くの要素がバラバラで集まるため、初日(午前)は積極的回復のみを行うグループと攻撃オーガナイズ(1)(下の図を参照)の自陣からどう攻撃を始めるか? を行うグループに分けてトレーニングするとのこと。

img_01

午後には、トレーニングできる状態の選手を見極め、(1)の自陣からどう攻撃をスタートするか、そして(3)の相手陣に入ってからどう相手のゴールに迫り、(4)のシュートまで持っていくか? という攻撃オーガナイズを中心にプレー原則を落とし込んでいくのが初日(午前)の流れということでした。

ポイントは、「過去の試合からのフィードバックをベースに『自分たちがどのように攻撃したいのか?』という、攻撃のプレー原則を落とし込むこと」。

「しかし、選手たちがもともと持っている特徴やクラブでの役割、戦術、習慣など自分たち(ポルトガルA代表)がやりたいこととは違う多くのことを各選手は身につけているということを考慮に入れ、多くの情報を与えすぎないように強調するポイントを明確に絞ってトレーニングを行う。それが非常に難解で、骨の折れる作業だ」と語っていました。

2日目は、守備オーガナイズ中心のメニュー構成。プレッシャーをかけ始める高さの違う2種類の守備ブロック構築の落とし込みが中心になるとのこと。各ブロック構築でのポジション取り、プレッシャーのかけ方、ボールを奪ってからの守→攻のトランジションなどが行われます。

試合前日である3日目は、攻撃オーガナイズからボールを奪われた後の攻→守のトランジション中心のメニュー構成。ボールを奪われた後、即時にプレッシャーをかけなければ、相手にシュートを打たれてしまうシチュエーションを設定し、守→攻の切りかえの意識付けを行うとのことでした。

ここまでの発表で、個人的に非常に印象に残ったのは、発表の中でジョアン・アロソ氏が「試合にスタメンで出場しない選手たちにトレーニングで『スタメン組の相手役』として、どこまで相手チームの攻め方・守り方をシミュレーションさせていいものなのか…私が持つたくさんの疑問の中の一つで、自分の中でも答えは出ていない」とはっきりといっていたこと。これは、代表チームに限らずクラブでも非常に難しい問題だと思います。

ポルトガルA代表というトップレベルにいる指導者の方が「沢山の疑問を持っている」「答えは出ていない」ということを聴衆の前でハッキリと宣言している姿。そして、自分が持つ疑問に対し、考えることを止めることはない。そういう姿勢がゆえにトップレベルの指導者として、あの場に立てているのだなと実感しました。

と同時に、この言葉が頭をよぎりました。

「過去から学び、今日のために生き、明日に希望を持ちなさい。大切なことは、疑問を持つことをやめないことだ」 アルベルト・アインシュタイン

次回もジョアン・アロソ氏のプレゼンテーションの続きについて書こうと思います。

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