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鈴木 達朗
ドイツ

ドイツ通信
~Probieren wir mal!~
(とりあえず、一緒にやってみよう!)

鈴木 達朗
宮城県出身。中学生からサッカーを始め、大学1年まで競技を続ける。サッカークラブも無い町で、一人でストライカーなどの雑誌を読んでは友人に薦め、「サッカーマニア」と呼ばれる少年時代を過ごす。中学では、クラブチームに所属。小学校で全国大会に出た選手たちを目の当たりにして、早々に挫折。頭を切り替えて、選手時代からコーチの目線で過ごす。学者になるつもりで渡った先のベルリンで、たまたま試合に誘われたクラブから、コーチになることを頼まれて、指導者になる。二足のわらじで大学も卒業し、現在に至る。タイトルは練習中に発する自分の口癖から取ったもの。
Webサイト:http://www.tatsurosuzuki.com/

ドイツ

ボールゲームにおける構造と
チーム作りのシンプルなスキーム

2019.01.30

みなさん、モイン(北ドイツの「ハロー」の方言)!

さて、今回はサッカーに限らず攻守の切り替えが発生する球技における構造と、そこをベースにチーム作りの簡単なスキームについて考えていきましょう。このことに関して改めて考えるようになったきっかけは、以前フットサルの監督をしていたチームの友人に「もう1度チームのベースを作ってほしい」と頼まれたからです。

呼ばれて練習に顔を出すと、確かに僕が離れる2年半前に比べると、「どのようにプレーするのか」といった基準がなくなっていました。プレーヤーとして中に入りましたが、そういった状況では、相手選手の動きのほかに味方選手の動きの様子も見ながら、常にポジショニングやプレーの選択を変更しなければなりません。攻守ともに半歩遅れて動かなければならず、後手に回り続けたために、心身ともに2倍疲れました。

僕自身はすでにチームから離れてしまっているので、誰にでもチームの戦い方のベース作れるような汎用性の高いフォーマットを示すことにしました。ひとまず、以下の図を見てみましょう。

img
図1:ゴールにシュートを打つボールゲームの基本構造
(サッカー、バスケットボール、ホッケー、ハンドボールなど)

まずは、上の図1の説明をしましょう。まずは、白い大きな円『ゲーム自体』があります。この円は、試合「全体」を含むものです。フットサルのように、セットプレーからのサインプレーなどが決定的な意味が持つ競技の場合、この白い部分の割合はもっと大きいかもしれません。

次に、青い部分は『ボール保持』です。これは、文字どおり、オンプレー時にチームがボールを持っている状態です。そして、オレンジ色の『ボール不保持』の部分は、自分たちがボールを持っていない状態を指します。青色矢印は『トランジション・ポジティブ』。カタカナで書くとわかりにくいですが、ボール不保持からボール保持に移行することを指します。オレンジ色の矢印『トランジション・ネガティブ』は、ボール保持からボール不保持に移行することを意味します。

ここでは、話を進める上で、
1.ボール保持
2.トランジション・ネガティブ
3.ボール不保持
4.トランジション・ポジティブ
と番号を振りましょう。あとは、それぞれ2択のフローチャートを作っていくことになります。

1. ボール保持:1.1.『リスクを取って点を取りにいく』か1.2.『ボール保持が目的のポゼッション』か
基本的に、1.2.のボール保持でローテーションをしながら、1.1.へのスイッチを入れる機会を伺う、ということになります。仮に、リードしていて、そのまま試合終了まで逃げ切りたいときは、そのまま1.2.の状態でボールを保持し続けることを選択することもあるでしょう。このとき、「いつ」点を取りにいくのスイッチを入れるのか、ということをチームとして設定することが大事になります。

2. トランジション・ネガティブ:2.1.『ゲーゲンプレッシング』か2.2.『撤退』か
この局面は、ボールを失ったときに、どう反応するのかを示します。ボールを失ったときに、「そのまま全体が押し上がってプレスを仕掛ける」のか、それとも「一度全員が自陣まで下がって陣形を作るのか」の判断基準の設定です。「フィールド上のどこでボールを失ったか」、「そのとき自チームの選手の何人が敵陣にいるのか」、「ボールを奪った相手選手は後ろを向いているのか、前を向いているのか」といったことが判断基準を定める要素となるでしょう。
チーム全員がすでに相手陣内にいて、ボールを奪った相手が後ろを向いているようなら、全員で前に出てゲーゲンプレッシングを仕掛けたほうが効率が良いでしょう。逆に、パスカットから相手がスピードに乗って前に出てくるようなら、遅らせながら撤退を選択したほうが良い場合もあります。このあたりは選手の判断に任せる部分も大きいですが、チーム全体のコンパクトさを保つためにも大枠を決めておくと選手にとっても楽になるような気がします。
2.1「ゲーゲンプレッシング」でボールを奪えた場合は、そのまま4.『トランジション・ポジティブ』に移行します。2.2.を選択した場合は、次の3.『ボール不保持』のフェーズへ移行します。

3. ボール不保持:3.1.『ボールへのアタック』か3.2.『待機』か。
この局面では、撤退して陣形を整った状態のときに、どう動くかです。3.1.はボールを奪いにいくことに対して、3.2は、陣形を整えることを目的とします。とはいえ、ずっと待っていればシュートを打たれてしまうので、「どの高さからボールへアタックを仕掛けるのか」という基準と「ゾーン(選手間の距離)を優先させるのか、マンツーマン(対戦相手)を優先させるのか」という2点を明確に設定する必要があります。

4. トランジション・ポジティブ:4.1.『カウンター』か4.2『ボール確保』か
この場面では、ボールを奪った後に「ダイレクトにゴールに向かう」のか、「ボールを確実に保持する」のか、という基準を定めます。もちろん、カウンターを試みたものの、相手の帰陣が速かったために4.2.のボール確保に切り替えざるを得ない場合もあるでしょう。また、判断の基準を定める上では、ピッチのどこでボールを奪ったのか、相手DFの枚数、ボールを奪った選手は前を向いているのか、後ろを向いてプレッシャーを受けているのか、といったことが基準を定める要素となるでしょう。4.1.「カウンター」を選択した場合は、そのまま1.1.「リスクを取って点を取りに行く」に移行し、状況に応じて1.2「ボール保持」に切り替えるか、シュートまで行くことになります。4.2.「ボール確保」を選択した場合は、そのまま1.2「ボール保持」に移行し、1.1.「点を取りにいく」機会を伺うことになります。

図にすると、次のようになります。

img
図2:ゴールを狙うボールスポーツの基本フローチャート

この図を見ると、4つのフェーズのそれぞれで2択の選択基準(『1』か『2』か)を設けなければならないこと、そして、そこから派生した8つのフェーズでやるべきこと整理しなければならないことが見て取れますね。自分たちのプレースタイルやプレーモデルに応じて、この基準を整理すれば自ずとチームのスキームは作れるのではないかと思います。こういった決まりごとの作成は、選手間の距離を整理し、バランスを保つためにあるので、その目的さえ外さなければ、最低限機能するチームは作れるかと思います。トレーニングなどを行う際にも、「どのフェーズのトレーニングを行っているのか」ということが頭にあれば、オーガナイズも楽になるでしょう。サッカーの試合を見るときにも、どのフェーズで、どのような判断を下しているのかを見分ける役にも立つでしょう。

もちろん高いレベルになればなるほど、DFのラインの作り方やプレスのかけかたなどの各フェーズの決まりごとも細かくなって行きます。日本国内には、そういった具体的な方法を解説している多くの良書があるので、それらを手にとっていただければいいかな、と思います。

今回は簡単なチーム作りの基本スキームを紹介しました。次回は、このスキームを使った各論として僕たちのチームが設定していたやり方を紹介しましょう。それでは、チャオチャオ!

 

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