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鈴木 達朗
ドイツ

ドイツ通信
~Probieren wir mal!~
(とりあえず、一緒にやってみよう!)

鈴木 達朗
宮城県出身。中学生からサッカーを始め、大学1年まで競技を続ける。サッカークラブも無い町で、一人でストライカーなどの雑誌を読んでは友人に薦め、「サッカーマニア」と呼ばれる少年時代を過ごす。中学では、クラブチームに所属。小学校で全国大会に出た選手たちを目の当たりにして、早々に挫折。頭を切り替えて、選手時代からコーチの目線で過ごす。学者になるつもりで渡った先のベルリンで、たまたま試合に誘われたクラブから、コーチになることを頼まれて、指導者になる。二足のわらじで大学も卒業し、現在に至る。タイトルは練習中に発する自分の口癖から取ったもの。
Webサイト:http://www.tatsurosuzuki.com/

ドイツ

2017-18シーズンを終えて。チームマネジメントから見た「勝つ」ことの意味

2018.08.23

みなさん、モイン(北ドイツの「ハロー」の意味)! またまた更新が滞ってしまいました。前回は、ドルトムントの日本代表MF香川真司選手に関する話でした。今夏のロシアワールドカップでも、この記事に触れていたプレーが再三見られましたね。今回は、少し自分のことも書きましょう。

昨季も、これまでと同じようにU15とU17の女子チームのアシスタントコーチとして2チームを友人の監督と二人で見るという難題。手伝ってくれていたお父さんコーチが、自分の息子のチームをサポートするために離れてしまったので、より厳しいシーズンとなりました。結果は、U15がベルリン州のいちばん上のリーグで10チーム2位、U17はベルリン州のいちばん上のリーグで8チーム中6位。U17のリーグは、前期は10チームでしたが、2チームが後期を辞退してしまったので、例年よりも2チーム少ないリーグとなりました。

13歳から16歳、初心者から選抜レベルの選手が集まって30人、40人もフィールドにいる環境の中では、それなりの成績だったかと思います。とはいえ、選手全員が無事にシーズンを終えられたことに胸をなで下ろしています。成績もそうですが、両チームとも誰ひとりとしてケガをしなかったことのほうが、なによりもうれしいです。

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U17の子たちは、さすがに週末に早朝の試合だと足取りも重そうです・・・

それにしても、毎シーズン異なる難しさがあるなあ、と実感します。シーズンのスタートから2カ月間、グラウンドが改修工事の遅延で使えず、クラブに割り当てられている他のグラウンドを他のチームから部分的に借りる形でトレーニングをすることになりました。そこで、一昨シーズンのU15はかなり悲惨な状態だったので、それを繰り返さないために、彼女たちの練習を僕ら二人で見て、U17は女子の成人チームと一緒に練習させることにしました。一昨シーズンの土台があるから大丈夫だろうと思ったのですが…見通しが甘かったです。

開幕から連勝できたU15チームは、その勢いのまま最後まで上位に留まることができました。一方で、序盤でつまづいたU17チームのほうは、なかなかメンバーも揃わず、最後まで苦しいシーズンとなりました。学年が上がるにつれて、学校のスケジュールも忙しくなります。その一方で、音楽活動や舞台、交換留学なども重なり、プライオリティが大きく変わってくる年代なのだな、と改めて感じました。とはいえ、仮にチームの調子が良ければ、その優先順位の付け方も変わっていたかもしれないな、とも思います。

そういう意味では、結果の重要性が身に沁みたシーズンとなりました。基本的に、個人的には「なんとしてでも勝たなければならない」という考えではありません。しかし、純粋にサッカーを楽しむための意欲や、気持ち良くシーズンを過ごすという観点から見ると、チームが勝つに越したことはありません。単純に、選手の成長の成長という点から見ても、気持ち良くトレーニングに来てくれたほうが効果も大きい。ライフキネティックのような脳科学を援用した分野でも、「笑い」が起こるリラックスした雰囲気のほうがトレーニングの効果が大きいと言います。

選手自身は、勝ちたくてサッカーの試合に挑むわけで、指導者が望む『美しい』あるいは『正しい』サッカーのためなら負けても良い、というのはさすがに本末転倒だろう、と僕は思います。少なくとも勝率5割はキープできないと、選手にとっても辛くなるだろうな、というのが実感です。限られた時間と与えられた状況のなかでやり繰りするという、この辺りのさじ加減がアマチュアチームの面白さかもしれません。

日本代表の原口元気選手や浅野拓磨選手がプレーするハノーファーのアンドレ・ブライテンライター監督は、戦力的に劣るチームでもシーズンのスタートダッシュがうまい印象があります。おそらく、現役選手時代の経験から、スタートで良いスタートを切る重要性を感じているのではないでしょうか。サッカー選手としての能力うんぬんは抜きにして、チームというのは、あくまでも人間の集団である、ということを良く分かっているのでしょう。それは、今回のワールドカップのドイツ代表からも見て取れたかと思います。

先述したように、前期下位に沈んでいた2チームが後期のリーグ参加を辞退しました。ここからも分かるように、負けが込むと選手のモチベーションや目標設定などのマネジメントが難しくなります。そこで、僕は「後期はいろんなサッカーをやってみよう」と監督や選手たちと話をしました。これまでやったことのない3バックや中盤の選手がDFラインに落ちてくる自陣でのビルドアップなどいろいろと試しながら、レクレーション的なトレーニングを増やすなど、とにかく暗くならないように心がけました。シーズン後には、全選手が「そのまま女子の成人チームに上がるつもり」という話をしていたので、橋渡し役として最低限の義務は果たしたかな、とホッとしています。

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選手が言うには、ベルリンのサッカー連盟が載せてくれた写真のようです。
こういうのも嬉しいですね。

こんなことを言っている間にも、数日後には新シーズンも始まります。今年は、どんな難しいシーズンになるのか、ワクワクしながら初日を待ちたいと思います。次回は、サッカーのゲーム自体の構造について漠然と考えていることを書き出してみましょう。

それでは、チャオチャオ!

 

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