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鈴木 達朗
ドイツ

ドイツ通信
~Probieren wir mal!~
(とりあえず、一緒にやってみよう!)

鈴木 達朗
宮城県出身。中学生からサッカーを始め、大学1年まで競技を続ける。サッカークラブも無い町で、一人でストライカーなどの雑誌を読んでは友人に薦め、「サッカーマニア」と呼ばれる少年時代を過ごす。中学では、クラブチームに所属。小学校で全国大会に出た選手たちを目の当たりにして、早々に挫折。頭を切り替えて、選手時代からコーチの目線で過ごす。学者になるつもりで渡った先のベルリンで、たまたま試合に誘われたクラブから、コーチになることを頼まれて、指導者になる。二足のわらじで大学も卒業し、現在に至る。タイトルは練習中に発する自分の口癖から取ったもの。
Webサイト:http://www.tatsurosuzuki.com/

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■2016-17シーズンを振り返って

2017.07.21

みなさん、グーテンターク! 1年ぶりの更新となってしまいました。時間を開けてしまい、本当にすみません。

この1年は、久しぶりにU17(17歳未満)の女子チームのアシスタントコーチをしました。チームを率いている友人のお手伝いを引き受ける形で、ボランティアとして活動しました。U11女子チームで働いていたときの選手が、13、14、15歳になってもまだサッカーを続けている姿を見るのはうれしいですね。

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6年前から全く変化がない練習場の写真。(筆者撮影)

個人的な昔話をすると、このチームの選手たちの何人かは僕と一緒にクラブでサッカーを始め、正確なスコアは覚えていませんが20対3ぐらいのスコアで負けたところからスタートしています。当時、自分たちは7歳から10歳の混合チームで、他のチームは皆10歳の選手で揃えているのだから、しょうがない結果ですね。僕は「シーズンの終わりまでにこのスコアから失点を半分に、得点を倍の10対6ぐらいになるようにしよう」とチームの目標を立て、保護者にもその理由を説明して、良かった部分や成長した部分を一試合ごとにフィードバックしながらシーズンを過ごしました。

リーグの後半にはたまに勝ったり、負けてもそれなりに競った試合になるぐらいにはなったような気がします。とはいえ、大人の考えをよそに、選手たちは初めてユニホームを着たことや試合後に食べたアイスが美味しかったということのほうが記憶に残っているようです。U11まではそれぐらいでちょうど良いのかな、とも個人的には思います。

今季はクラブが連れてきたU15(15歳未満)の監督が選手たちと衝突してしまって、解任。結局、僕らがシーズン途中から2チームまとめてみることになり、監督と僕らアシスタント2人の3人で、サッカーグラウンド1面を使って初心者からベルリンのトップリーグで戦う選手まで、さまざまなレベルの選手40人を同時に見ることになりました。

結果から言うと、U17のほうは、ブンデスリーガ東北部昇格を終盤まで争うことができました。本来なら、レギオナルリーガ(注:地方リーグ)が間にあるはずなのですが、レギュレーションの都合上、ベルリンではブンデスリーガにそのまま昇格するようです。ほぼ全員が14、15歳と他のクラブに比べて1学年若いチームなので、上々の結果なのではないかと思います。U15チームは、モチベーションを下げて練習に来なくなった選手たちを再びやる気にさせるところから始めたので、残留を早い段階で決められて御の字、というところでした。

ここからは、気づいたことをポイントごとに書いていきます。

1. 戦い方の設定
監督のアイデアは、とにかく前からプレスをかける。「低い位置で待つと、とにかく受け身に回ってサッカーにならない」とチームの性格を考慮しての判断。というわけで、僕はロジャー・シュミット監督時代のザルツブルクやレバークーゼンを見返し、マネできそうなところをまとめました。女子サッカーでは、ベルリンのトップリーグと言えど技術的にも戦術的にもビルドアップができるチームがほとんどないので、良い選択だったと思います。

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モデルになったレバークーゼンの試合中の写真。(筆者撮影)

1. とにかくコンパクトにサイドの圧縮。
2. ボールはサイドから運ぶ。
3. とにかく相手ゴール前でのボールロスト時のネガティブトランジションを速く。
4. サイドからボールを運ばせない。まずはロングラインを切る。
5. ボランチの位置取り。必ず一人は残ってセンターバック2枚と三角形を作る。

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プレッシングのモデルを図にしたもの(筆者作成)

幸運にも、スピードがあって動ける選手が両サイドにいたので、スタイルはうまくハマったと思います。試合前やトレーニング中に何度か1、2分ぐらいのビデオを見せながら、少しずつ形にしていきました。実際、対戦した数チームの監督からは「レバークーゼンみたいだな」とコメントをもらったので、レベルはともかく、それなりに形にはなったのではないか、と思います。

2. 審判のレベル、オフサイドが取れない難しさ
戦術の設定、実践もそれなりに形にはなりましたが、女子のアマチュアレベルだと難しさもあります。というのも、基本的にアシスタントレフェリーがいないので、なかなかオフサイドが取りにくい、ということと、サイドのファウルは見過ごされやすい、ということがあります。オフサイドを取れないと、どうしても裏のスペースを気にしてしまうため、ディフェンスラインと中盤のスペースが開いてしまいます。本来なら、思い切ってラインを押し上げて中盤を圧縮したいところですが、そうも行きません。このあたりの調整は、来季の課題です。

また、サイドのドリブルが増えると、遅れ気味のタックルを受けることが増えてしまうので、ケガ人が続出してしまいました。試合中の不必要なレイトタックルによるケガで手術するような事態が3件も出てしまいました。選手たちが直接ベルリンのサッカー連盟に向けてメールを送り、審判のレベルの改善するようにお願いしていました。若い選手のケガは本当に悲しいことです。来季は少ないタッチ数でボールを運んで、なるべくタックルを受けないようなスタイルにしないといけないな、とコーチとして責任を感じています。

3. 選手層、ゴールキーパー
この2点は国や地域に関係なくそうだと思いますが、一般の街クラブと有名チームの下部組織の違いが大きく出る部分だと思います。名前のあるクラブは当然ながら、選手をセレクションして一定レベルの選手を集めることができます。コンディションに合わせて、どの選手を起用しても一定のクオリティーは確保できます。また、とりわけゴールキーパーは控えも含めて優れた選手はそういったクラブに集まってしまうので、普通の街クラブにはなかなか難しいところがあります。とはいえ、これはゴールキーパーコーチの有無という部分もあるので、一概に選手の質の差というよりも、環境の差と言えるかもしれません。この点では、指導者である自分自身の能力のなさであり、ゴールキーパーの選手には申し訳ない気持ちがあります。今季優勝したチームと対戦したときに、相手の監督からは「キーパーの差で勝てた」と言われ、フィールドプレーヤーの数人にはオファーを受けたので、そういう評価なのだろうと思います。

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参考にしたレバークーゼンの簡単なスキーム(筆者作成)

4. 学校、価値観
カップ戦や試合の延期などで平日に試合が組まれることもあるのですが、とにかくコンディションが悪い。これも通常の学校生活なので当然ですが、基本的には体育の授業があったり、学校対抗のスポーツ大会のトレーニングなどが学校であり、選手が疲れきった状態で試合に臨むことも何度かありました。宿題やテストが多すぎて平日はアウェイの試合に行けない、コーラスの舞台とかぶって試合中に移動しないといけないなど、この年代の女子サッカーならではの難しさだな、と思います。週1回、試合に出る選手の全員が顔を合わせられればラッキーという状態ですが、僕らの方針としても当然ながら学校優先なので、そのあたりはクラブの色が出る部分とも言えます。むしろ、そういった環境の中でサッカーを続けたい選手が残ったとも言えます。こういったモチベーションや考え方が違う選手たちが集団としてチームを形成しているのは面白いな、と思います。街クラブならではの醍醐味かもしれません。

だいぶ長くなってしまいました。次回は、もう少し実践的なことを書きましょう。それでは、チャオチャオ!

 

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