最近のコラム

2019年01月09日
Aライセンスの講習内容について


2018年12月26日
Aライセンスの講習内容について


2018年12月10日
ドイツにおける指導者ライセンス制度


2018年11月26日
秀でた特徴を持つ選手が大切


2018年11月06日
ドイツ通信はじめます。


トップコラムワールドサッカー通信局>ドイツ通信  ~Fussball ist sehr einfach, aber das Schwierigste, was es gibt, ist einfacher Fussball.(サッカーは簡単だ。しかし最も難しいのは簡単にプレーすることだ)ドイツにおける指導者ライセンス制度

Column コラム

海外発!日替わりリレーブログ ワールドサッカー通信局
杉﨑 達哉
ドイツ

ドイツ通信
~Fussball ist sehr einfach, aber das Schwierigste, was es gibt, ist einfacher Fussball.~
(サッカーは簡単だ。しかし最も難しいのは簡単にプレーすることだ)

杉﨑 達哉
神奈川県出身。大学卒業後、2006年にドイツのケルン体育大学入学。同時に指導者としての勉強を始めこれまでU-11からU-23すべてのカテゴリーで指導経験を持つ。また2016/2017シーズンにはU-15レギオナルリーガ(ブンデスリーガ相当)で日本人初の監督としてチームを率いる。また同シーズンにフットサル全国大会でクラブ史上初優勝に導く。2016年にドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA A)取得。

ドイツ

ドイツにおける指導者ライセンス制度

2018.12.10

現在、ブンデスリーガでは、香川真司選手や大迫勇也選手などといった、多くの日本人プレーヤーが戦っています。一方で多くの指導者の道を志す人も、ドイツに来ています。そこで今回、はドイツの指導者ライセンスの仕組みを紹介したいと思います。

まずは「DFB・ジュニアコーチ」と呼ばれる、サッカーの普及を目的に設定されているライセンスです。同ライセンスは技術・戦術的な講義はなく、選手との接し方、フェアープレー精神といった、ピッチ外での指導者としての振る舞い方を中心に学びます。

次の段階は「C-ライセンス」と呼ばれるものです。サッカーの底辺拡大を目的に設置された同ライセンスは、少年、少女、成人サッカーにおける特徴、それぞれの年代に合ったトレーニング計画の作成、コーチングなど、実技と講義で合計120時間の授業を受けます。その後、筆記・口頭・実技・指導実践などのテストを受講することになります。このライセンスを保持していると、地域のサッカーチームで監督としてピッチに立つことができます。

なお、上記の2つのライセンスは「グラスツール」とも呼ばれており、サッカー人口を増やす目的を主に作られたものです。そのため、取得に義務付けはされていません。本格的にプロの指導者を目指すためには次の「B-ライセンス」の取得から始まります。

このB-ライセンスは年代別のグラウンドの大きさや人数、ルールの把握から試合中にケガをした選手への対応など、グラウンド上における基礎となる部分を多く学びます。また実技ではドリブル、パス、シュートといった個人技術の指導方法を中心に学びます。合計120時間の講義を受講後に筆記・口頭・指導実践のテストを受け、合格者は晴れて「B-ライセンス」の取得となります。なおこのライセンスでは成人の5部リーグ以下、大人を含むすべての女子チームの2部リーグ以下、そして男女アンダー年代の2部リーグまでの監督を務めることができます。

次のライセンスは「エリート・ユーゲントライセンス」と呼ばれ、指導範囲は上記のほかにトレセンのコーチやU-15のトップリーグの監督などさらに広がります。しかし、「B-ライセンス」を一定の成績以上で合格すること、同ライセンスでの1年以上の指導経験、地域のトレセンにおいて20時間の研修など、いくつかの条件をクリアしないと講習を受けることができません。

エリート・ユーゲントライセンスの講習内容はより実践に近いものになってきます。個人技術の指導はもちろん、このライセンスからはグループ戦術も学びます。またシーズン前やシーズン中、オフシーズンにおけるコンディショニング管理など合計160時間みっちり学び、その後は「B-ライセンス」と同様の試験科目を受けます。

この「エリート・ユーゲントライセンス」を一定以上の成績で合格し、なおかつ1年以上の指導経験を保持すれば「A-ライセンス」の受講が可能になります。

「A-ライセンス」はアンダー年代とブンデスリーガを含むすべての女子カテゴリーの監督及び、成人チームの4部リーグまで指揮することが可能になり、成人男子のプロチームの監督以外のすべてで活動することができるようになります。

すべてのアマチュアレベルの指導ができることになるので、より細かい部分を学ぶことになります。各フォーメーションの長所や短所を発表したり、試合を分析し次の相手を想定した1週間のトレーニング計画の作成、チーム戦術の落とし込み方などを勉強したりします。また栄養学、社会学、マスコミ対応など、それぞれの専門家による講義も行われます。2週間で合計100時間の講義を受けた後は、他のライセンスと同様の試験科目を受けます。

そして最後は日本の「S級ライセンス」にあたるものです。ドイツでは「フースバル・レーラー(サッカー教師)」と呼ばれ、これを受講するためにはまず資格を得ることが必要です。「A-ライセンス」の点数だけではなく、U-19若しくはU-17ブンデスリーガでの監督経験、成人チームの3部以上でのコーチ経験など、多くの条件を満たさなければ受講するための講習に参加することすらできません。

また晴れて受講資格を得てもそこから「フースバル・レーラー」の講習に参加するためのテストがあり、そのテストに受かって初めて「フースバル・レーラー」講習に参加できます。しかし、「フースバル・レーラー」講習受講人数は毎年約20人と制限があるため、講習を受講するには高いハードルを越える必要があります。

講習は10カ月にも及び、週に35~40時間、ドイツサッカー協会の施設やケルン体育大学構内で、サッカー指導はもちろん、心理学や運動生理学など、トップ選手の指導に必要なさまざまな分野の勉強を行います。その後の試験で合格すれば、ブンデスリーガの監督だけでなく国外でも監督として活動することが可能になります。

以上がドイツでライセンスを取るための道のりになります。決して「フースバル・レーラー」取得までは簡単ではありませんが、強い意志と目標を達成する努力を怠らなければ必ず成功するでしょう。興味がある方は是非ともチャレンジしてみてください。

img_01
【ドイツサッカー協会のライセンス一覧表】

次のコラム←

ワールドサッカー通信局トップへ →前のコラム

ストライカーDX トップ マッチレポート コラム トピックス セレクション/スクール バックナンバー ムック リンク