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西村 亮太
メキシコ

メキシコ通信
~Querer es Poder~
(意志あるところに道は拓ける)

西村 亮太
大阪府出身。筑波大学大学院にてコーチング学を修了し、2010年8月にメキシコへ。
Cruz Azulでの研修後、CFPachucaの支部にてU-16監督を務める。その後Cruz Azulに選抜スクールのU-12監督、U17,U20にキーパーコーチ兼アシスタントコーチとして在籍。2014-15シーズンより同国のSantos LagunaにU17,20アシスタントコーチ兼分析担当として移籍し、15-16シーズンより同クラブ保有のメキシコ3部所属チームSantos Laguna Premierの第2監督となる。メキシコサッカー協会公認ライセンス-レベル4(日本でいうS級)を2013年12月に取得。

メキシコ

■Copa Chivas(コパ・チーバス)から見る“日本”と世界の『差』と『違い』

2014.2.11

みなさんこんにちは。

今回はメキシコの第二の都市であるグアダラハラで先日行われた、Copa Chivas(コパ・チーバス)という大会について書きたいと思います。

というのも、今回その大会に日本から横浜F・マリノスU-18が参加したからです。

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まず、このCopa Chivasという大会はどんなものでしょうか。

『メキシコのみならず、世界中の若い世代の選手のタレントの源泉となる』という大会目的のもとに、Chivas Guadalajara(チーバス・グアダラハラ)というメキシコ国内でも伝統のあるクラブが主体となって1994年より始まりました。参加チームはメキシコ1部リーグ所属チームのU-18をはじめ、ヨーロッパや南米からのビッククラブや、ブラジル代表やホンジュラス代表などの代表チームも例年参加しており、日本からも毎年U-17日本代表やJクラブのU-18が毎年参加していました。

参加チームの移動費や宿泊費を大会側が全額負担するという待遇から、大会側の強い意気込みが感じられる大会でしたが、2010年大会を最後にメインスポンサーの撤退による資金難によって開催が中止されていました。しかし、2014年より新たなスポンサーを獲得したことで再開されました。その2014年大会に、日本からの横浜F・マリノスU-18が参加したのです。

今大会のレギュレーションとしては、U-18(95年生まれの選手)を基本とした中で、U-19(94年生まれの選手)も3人登録できるものとなっています。各チーム最低でも5試合は真剣勝負を確保するという目的のもと、6チームによるグループリーグが行われ、上位2チームが決勝トーナメントに進みます。

今回のF・マリノスは1つ下のカテゴリーになる、96年生まれの選手たち中心で参加していたようです。

結果だけ見ると、マリノスは5試合して3得点13失点、5敗で大会を後にしています。僕はマリノスの試合は1試合(5試合目)しか見ることができませんでしたが、その他にメキシコの数チーム、イングランドのリバプール、コロンビア代表、ブラジルのビトーリアというクラブを見ることができました。

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リバプール(イングランド)vsコロンビア代表
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チーバス(メキシコ)vs横浜F・マリノス
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ビトーリア(ブラジル)vsコロンビア代表

その唯一見ることができたF・マリノスと他国のチームを見比べて僕が最も強く感じたことは、技術や戦術、フィジカル面に関してではなく、“試合に挑む覚悟”という部分です。この点に最も大きな『差』を感じました。ここではあえて『違い』という言葉ではなく、『差』という言葉を使います。なぜならば、国民性や国による文化的観点からの違いから生じる日本の特徴というような『違い』ではなく、それはフットボールにおいて必須条件であり、明らかに足りていなかったと僕は思ったからです。

1つのプレー、局面での、全体を通しての勝負に対しての“こだわり”というものが全くといっていいほど感じられませんでした。技術的な“こだわり”は、日ごろの積み重ねが見え隠れする場面がありましたが、それはプレッシャーがあると発揮できないような非常にもろいものでした。0-3で負けており、残り時間も少ない。仮に勝負は見えているとしても、日本のクラブを代表して「最後に爪痕だけでも残してやる!」といったような気持ちも見えませんでした。

試合への準備の仕方は国によって『違い』があります。メキシコのチームはロッカールームにて全員で祈りを捧げ、大声で祈りに似たフレーズを全員で叫び、大声で円陣を組んで気持ちを高めて試合に入ります。ブラジルのチームはメキシコのそれよりも激しく、まるで戦争に向かうかのように感じさせます。実際、試合前のビトーリアのロッカールームからは、叫びにも似たものすごい大声が敷地内全体にまで響き渡っていました。コロンビア代表もブラジルのそれに負けずとも劣らないものでした。一方、F・マリノスは特にこれといったようなものはなく、試合前に集まって円陣を組むという、日本でよく目にする光景でした。

もちろん、この試合への準備の仕方は、国民性や文化的背景による『違い』だと思います。俗にいう「みんな違ってみんないい」といえるものだと思います。しかし、“試合に挑む覚悟”というものは「みんな違ってみんないい」ではなく、国民性、文化などによって違いのあるものではなく、フットボールのピッチに立つという状況において、それはどこの国でも誰が相手でも必ず必要な『普遍なモノ』だと思います。それが今回のような国際試合になればなおさらだと思います。国の威信を背負っているのですから。

今大会は試合前にそれぞれのチームの国旗が掲げられ、国歌が流されていました。他国のチームからすれば【F・マリノスのサッカー=日本のサッカー】ということになります。実際、試合後にビトーリアやメキシコのクラブのスタッフ、参加クラブ以外から派遣されていたスカウトマンにマリノスの印象を聞いたときも「F・マリノスのサッカーは○○だね」ではなく、「日本のサッカーは○○だね」といっていました。

この「○○」の部分は共通して「技術的には下手じゃないけど、とても“幼く上品”」といった内容でした。

この日本と世界との間にあるフットボールに対する“覚悟”の差は、各国の文化的背景から来るものなのかもしれません。日本ではフットボールは“スポーツ”であり、家族を養っていくための“手段”にはなり得ないのかもしれません。しかし、世界に出て戦っていかなくてはならない相手は、明日にでも解雇されるかもしれないという危機感を、そのような“覚悟”を持った選手たちです。そんな相手と戦っていかなくてはいけないのです。

最後に繰り返しになりますが、大声で叫ぶのが良くて静かなのが悪い、という話ではなく、そこの試合への準備の仕方は違ってもいいものだと思います。しかし、いったん試合が始まるとその中で持っていなくてはいけない勝利への執念のような、フットボーラーとして試合に挑むにあたっていちばん大事な“核”となるものが、他チームに比べて不足していたと思います。

次回も引き続きコパチーバスで感じたことについて書きたいと思います。

『サッカーがどれほど進化しても、選手個々が持つ「勝ちたい」という気持ちとプライドは、決して変わらないサッカーの魅力』 福西崇史

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