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松本 量平
ポルトガル

ポルトガル通信
~Vai evoluir um individual(個人を育てる)~

松本 量平
1983年4月4日生まれ。近大附属高校・関西学院大学卒業。
大阪のスポーツネットサッカークラブでキッズ・ジュニアの指導にあたり、ASラランジャ京都(関西リーグ1部)のTOPチームのコーチを経て、2009年8月にポルトガルに渡る。
ベンフィカU-17・ベンフィカスクールでコーチ経験を積み、現在はポルトガル1部リーグに所属するリオ・アベのTOPチームで研修中。日本サッカー協会公認B級コーチ。

アイルランド

■ボランチからの攻撃

2013.7.4

ベンフィカTOPチームのトレーニングを見ていて、よく感心させられるのは、たとえ狭いスペースしかなくても、センターバックからどんどんボランチにボールを入れ、そこを基点に攻撃のスイッチが入るということ。

やはり中央のボランチから攻撃を組み立てられるチームは魅力的ですし、相手にとって中央をやられるというのはいちばん警戒すること。やられるとあまり心地いいものではありません。攻撃側としても、もし相手が極端に中央を警戒しだしたら、サイドバックなどがフリーになるなど、先手を取った形で優位に試合をコントロールすることが可能になってきます。

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今日は、そんなボランチからの攻撃をスタートさせるための理論について書いていきたいと思います。

当然自分たちのチームのやりたいことが大前提としてあるのですが、それらを成功させるメカニズムとしては、相手チームのスタイルやシステムによっても若干変わってくるものの、その中でシステムについてフォーカスして見ると以下のように考えることができます。

たとえば自分たちのチームのシステムが4-2-3-1として考えていきましょう(下図)。

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対戦相手のシステムも同じく4-2-3-1となると、自然とボランチが浮いてきやすいかみ合わせになるのが分かります(下図)。

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もしここでウイングが警戒して中に絞ってきたらサイドバックが空きますし、相手ボランチが警戒して前に出てくればトップ下が空くことになります(いずれにしても主導権を握るために先手を打つのは大切なことです)。

このシステムでは、そんなに特別な動きをしなくてもボランチにボールを入れて、攻撃を組み立て始めることは可能ともいえます。

それでは、もし相手が4-1-2-3だった場合(下図)。

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これではボランチはすでにマンマークされており、そのままボールを受ければまともにプレッシャーを受けることになってしまいます。

こうなると空いてるスペースは相手ボランチの横のスペース、ここへウイングが入ってきたり、トップ下が流れたり、ボランチが抜けていったりと相手を揺さぶることで、どこかにスペースが生じてきます(もし相手がついてこなければその場でもらえばいいだけの話です)。

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そしてこれも重要なことではあるのですが、いくらマークがついているから出せない、もらえないという考え方ではなくて相手から1歩離れることや、逆に相手を1歩動かすことによって、ボールを受けられるということも、チームの意識の中で持っておくことは大切だと思います(ヨーロッパ人はそのへんの細かいところは不器用だったりするので、日本人には向いていてもヨーロッパ人には不向きともいえるとも思います)。

それでは相手が4-4-2の中盤がダイヤモンドの場合(下図)。

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ここではボランチ自体はフリーで受けられるのですが、出し手側のセンターバックが2対2でプレスをまともに受けていることが多いので、そのあたりも考慮しないといけません。

例えばベンフィカではボランチがセンターバックの位置まで下りていき、3対2でビルドアップを試み、もう1人のボランチやトップ下がその1列前でボールを受けて基点になろうという動きをよくしたりします。

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どちらにしても基本的には中央では数的優位の状況なので、ビルドアップという点ではそこまで苦労するかみ合わせとはいえないと思います。

理論的にいちばんやっかいなのは、相手が3-5-2の場合(下図)。

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このシステムでは出し手のセンターバックと、受け手であるボランチ、サイドバックが共にフタをされているということ。もちろん3バックの横のスペースが空いてくるので、そこを狙えばいいのですが、あまりロングボールに頼ってボールを簡単に失うのはなるべく避けたいところです。

どちらかというと、この場面では、ロングボールで切り抜けるというよりも、できれば“外す”というプレーを使いたいところです。もし1歩“外す”ことができれば、1人1人についている相手1人1人がずれていき、相手を崩すことにもつながっていきますし、スペースとして3バックのサイドのスペースや、前線が3対3になっているということもあり、すべてに表裏があるように、必ずどこかにチャンスとなるスペースが生じてきます。

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今回はシステムのかみ合わせにおいてのボランチからの攻撃について考えてきましたが、ここまで読んでもらって分かってもらえるように、これはあくまで理論上の話。

サッカーはダイナミックで絶えず動きのあるスポーツですし、さまざまなことが起こり得る競技でもあります。

試合中になればこの理論どおりにいかないことがほとんどですし、それを瞬間瞬間で状況を読み取り、判断してその理論を上回ることが必要になってきます。

ただ、これらの理論を知っておくことは1つの基準や考え方を知るということだとは思うのです。

よくいいますが、理論というものは必要条件ではあるが十分条件ではないのです。

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