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平安山 良太
ブラジル

ブラジル通信
~Futebol arte“王国にGingaを探す旅”~

平安山 良太小学生よりサッカーを初めるが、ケガにより早期挫折。若くして指導者の道へ。日本で町クラブ、部活、Jクラブで幼稚園~大学生まで幅広く指導者として関わり学んだ後、海外へ。東南アジアのプロクラブや代表チームで研修の後、ブラジル1部リーグのAtlético Paranaenseでアシスタントコーチを務めた。2014年5月からはクラブワールドカップでも優勝したSC Corinthiansでアシスタントコーチを務めるかたわら、日本に向けて情報発信を始める。2015年10月からはAvai FC、2016年前半はJ3のFC琉球通訳、後半からはコリンチャンス育成部に復帰。ペルーやアルゼンチンなどにも顔を出す。
twitter:@HenzanRyota
mail:ryota_henzan@yahoo.co.jp

ブラジル

■メッシを育てたニューウェルスで研修中。ブラジルや日本との違いとは?

2017.07.24

「私の戦術はロナウドだ」

これは当時バルセロナを率いていたボビー・ロブソン監督が、攻撃の戦術のなさを指摘されて返した言葉だそうです。

ロナウドと言えば2002年の日韓ワールドカップで得点王に輝き、今でもブラジルでは最高のストライカーとしてとても人気があります。最近はよくブラジルのテレビにコメンテーターとして出演する姿を見かけます。

筆者とすると、勝利や各クラブの目的にフォーカスしたときに、個人で打開するサッカーが本当に有効だと判断したのなら、それはそれで良い戦術なのかなと思います。

個人技と戦術は分けられ、反対のものとして捉えられがちですが、実際は重なる部分も多いと感じるからです。

近年では、ブラジルのライバル・アルゼンチンは、時にメッシを守備にはあまり参加させず、攻撃に専念させる戦術をとることがあります。

それもメッシの超個人能力に任せる戦術です。

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今回、筆者はアルゼンチンのニューウェルス・オールド・ボーイズという、メッシが子どものころにプレーしたクラブで研修する機会がありました。

そこでは2017年に入ってから、まるでスペインのバルセロナのような育成手法をとっていました。

メッシという超個人をバルセロナに輸出し、逆にバルセロナの戦術を輸入しているあたりは、国際化によるサッカーの進化を感じられ、とても面白いですね。

ここはあくまでブラジル通信なので、アルゼンチンのことと半分半分に紹介していこうかなと思います。

(1)チーム戦術
ニューウェルスでは、シャビがいた時代のバルセロナのような戦術がとられています。実際に自分たちでもそれを公言しています。

すべてのブラジルやアルゼンチンのクラブが、バルサの戦術をマネているわけではありませんが、参考にしているクラブもあります。またバルサといっても、近年のMSNアタッカー時代ではなく、シャビがいた時代というのが多いです。

現在のバルサを率いるMSNは南米人なので、南米はすでにそのメソッドを知っていて、むしろ海外が南米に学びにくるところですね。

ニューウェルスでは、バルサの試合を分析し、自分たちのやり方と合わせ、その新しい戦術を言語化、視覚化しています。

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守備なら危険度の低いとき、高いとき、相手がつないできたときなどの場面別に分け、その中で実行すべきプレーの優先順位を付けています。

視覚化されているので分かりやすく整理されています。

筆者もすべてのブラジルクラブを見たわけではないので何とも断言はできませんが、ブラジルだともう少し監督個々の裁量も尊重されている印象です。

監督が変わると戦術も変わるのは、積み重ねがないデメリットなのか、新しい良さも足していけるメリットなのかは、やってみて各指導者が判断していくべきなのかなと思います。

日本はどちらに進むべきか、または日本の中でもさまざまな考えがあって良いと思います。

アルゼンチンでもこのやり方は珍しいそうです。

(2)プレー動画分析
ニューウェルスでは全国リーグの試合の動画をコーチ陣が撮影・編集し、自分たちのサイトにアップしています。

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この自サイトは、子どもたちが家にいるときでも、選手IDを入力すれば好きなときにいくらでも見られるようになっているそうです。

また、自分たちのプレーだけでなく、バルサやバイエルン、マンチェスター・Cなどの試合の参考編集動画も載せてありました。

自分たちのプレーを見返したり、目指すサッカーが示されていて、わかりやすいですね。

ブラジルのコリンチャンスでは、動画の編集はコーチではなく、専門部門を作って戦術コーチを雇っていたことが違いです。

専門部のメリットはやはり専門なので、より洗練された動画や、さまざまなデータを加えられること。通常のコーチに任せると、どうしても通常の業務もあるので時間が限られたり、さまざまな専門機械を使うのに慣れていない部分も出てくるかもしれません。

逆に通常のコーチがやるメリットとしては、自分の求めるサッカー像に、他人に任せるよりも近い映像を編集ができることがあります。

(3)ニューウェルスは今後どうなるのか?
何度も書きますが、ニューウェルスの戦術はシャビのいたひと昔前のバルサの戦術に近いです。

シャビがいた時代のバルサは歴史上でも最強ではないかと言われるほどのものでした。しかし、その本家バルサもシャビを継続的には育てられておらず、今では南米トリオを軸にしたサッカーに転換しています。

シャビが衰えたときに、何度かその自慢のポゼッションも捕まってしまっていました。

また当時のバルサも、負けるときはだいたい圧倒的にボールを保持しながらもゴールが奪えずに、逆にボールを失ったほんの数プレーだけでカウンターをくらい、負けてしまうことが多かったです。

メッシを育てたニューウェルスですから、シャビも育ててしまうのか?
バルサの戦術とニューウェルスの超個人を産むメソッドが合体すれば、あるいはあるのかも知れません。

それとも逆にバルサの戦術を取りつつ、従来の南米らしくMSNを育てて、現在のバルサっぽくなるのか?

それともどれもうまくいかないのか?

来年にはまたやり方を変えて方向転換するかもしれません。

うまくいくのかそれはまだわかりませんが、非常に勉強になる研修でした。

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