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平安山 良太
ブラジル

ブラジル通信
~Futebol arte“王国にGingaを探す旅”~

平安山 良太小学生よりサッカーを初めるが、ケガにより早期挫折。若くして指導者の道へ。日本で町クラブ、部活、Jクラブで幼稚園~大学生まで幅広く指導者として関わり学んだ後、海外へ。東南アジアのプロクラブや代表チームで研修の後、ブラジル1部リーグのAtlético Paranaenseでアシスタントコーチを務めた。2014年5月からはクラブワールドカップでも優勝したSC Corinthiansでアシスタントコーチを務めるかたわら、日本に向けて情報発信を始める。2015年10月からはAvai FC、2016年前半はJ3のFC琉球通訳、後半からはコリンチャンス育成部に復帰。ペルーやアルゼンチンなどにも顔を出す。
twitter:@HenzanRyota
mail:ryota_henzan@yahoo.co.jp

ブラジル

■まずは遊ぼう! ゴール前の創造性は本質から始まる

2016.10.26

前回記事では、「日本の選手たちがゴール前で創造性あるプレーができない理由は、指導者の声かけにある」という内容を書きました。今回はまた別の角度から、ブラジルの選手たちがゴール前で創造性を発揮する理由を探っていきたいと思います。

②ストリートサッカー

ブラジルの選手たちがゴール前で創造性持って遊べるのは、やはりストリートサッカーの影響も大きいのかなと思います。南米ではストリートサッカーは昔からの伝統で、ブラジルに限らず僕が過去に行ったアルゼンチンやペルーでもそれは同じでした。

ただ、近年の都会化、技術の進歩により、南米でも都市部では人や物がごった返し、車などの交通量も多いため、ストリートサッカーをする場所が減ってきてしまっていて、ご年配の方にはそれを嘆く人々もいます。とはいえ、全くのゼロになってしまったわけではなくて、今でも車通りの少ない場所やスラム街などでは、時折ストリートサッカーに興じる子どもたちを見かけます。

コリンチャンスU-17の日系人選手、ファブリシオ・オヤは、12歳まではストリートサッカーしかしたことがなく、13歳で初めてサッカーチームのテストを受験、それがコリンチャンスでした。今ではプロ契約も締結し、U-20の試合にも飛び級で参加しています。

また、クルゼイロなどは自分たちの練習グラウンドを持ちながらも、“練習”として、あえて道に出て練習することもあるそうです。

ストリートサッカーだと指導者に怒られたりすることもなければ、独自ルールなど“想像力働かせて”より楽しむことができます。ゴールを決めるためにあの手この手を考えますし、それが正規の11人制サッカーに移ったときもゴール前でのアイデアに表れるのかなと思います。

まだストリートサッカーが残っているブラジルで、1部の名門クルゼイロですらさらにストリートサッカーをやる環境を見つけようと努力しているのですから、我々日本もさらに努力しなければなりません。

日本では道路はおろか公園ですらボール禁止の場所が多く、たしかにボールが人に当たるリスクなどは考えなければなりませんが、誰もいなくて寂しく閑散とした場所も多い日本の公園を見ると、そもそも公園の本質を失ってしまっている一面もあります。

人にボールが当たるリスクなどがあって難しいところでは、行政とも協力してネットを張るなどの対策も考えなければなりません。ほかにもお金がかからない案など、思考停止せずに継続的に審議が必要でしょう。

とはいえ、我々指導者も少しアイデアを出して、ストリートに近い環境を作ってあげることは可能なはずです。

本当の道路でなくとも、体育館で壁にボールをぶつけてもいいとか、子どもに考えさせるとか、アイデア次第なのかなと思います。

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有名プロサポーター、村上アシシさんがブラジルの貧困層の子どもたちにボールをプレゼントしたとき。通訳&アテンドをお手伝いしました

③ボールを持ったら王様

次に、ブラジルと日本では、ボールを持った選手の決定権の範囲に違いがあるかなと思います。

よくいわれることですが、日本は良くいえば周りを尊重し、悪くいえば同調圧力の強い文化があります。それがサッカーの試合中にボールを持ったときにも表れ、ボールを持った選手のプレーの選択肢に影響を与えている気がします。

「ボールは持っているけど、決定権は持っていない」。そんな現象が時折見られるのです。

決定権を持っているのは指導者や保護者、周りの人たちである割合が、少し大きいのかなと感じます。せっかくゴール前でボールを持ったのに、何か自信なさそうな選手、いますよね。

良くいえばエゴを消して、チームのために自分のゴールよりも味方のゴールを尊重したプレー、悪くいえばシュートを外したときの責任が怖いというエゴから味方に責任をなすりつけたプレー、日本人らしいと思います。

南米でももちろんタイミング良くパスをもらえなかった選手は怒ったりしますし、ただ「打っとけ」のシュートに落ちつけといわれることもあります。ボールを持った選手の決定権の割合が日本より大きいということであって、ゼロか100かでは捉えないほうがいいです。

ボールを持った選手が自信持って、自分のプレーに責任持って戦うにはどうしたらいいか、われわれ指導者にも責任があります。指導者も、チームのためのプレーなのか、責任逃れのプレーなのか、現象は似ていても見極める力が必要です。

多くの場合、逃げてしまう選手は自信がなくて周りを気にするタイプですので、サッカーの楽しさを再確認させることが大切なのかなと思います。単純ですが、そんな子が挑戦したときには少し大袈裟にこちらも喜んでみたりすると、もともと影響されやすい子なので、指導者に影響されて引きよせられたりします。

また、わりとおとなしい子でも、内面にはやはり力強さに憧れていたりするので、キャプテン翼の日向小次郎や、イナズマイレブンの豪炎寺修也、元ブラジル代表のロナウド選手、元日本代表の久保竜彦選手などを紹介するなども効果あるかもしれません。

周りの子の声に過敏に反応している場合もあるので、周りの子へのアプローチもありだと思います。

本質的にはその子に自信を持ってもらうことが大切なので、練習の中でまずはできることからやらせてみて、ドリブルやシュートに「自分にも、シュートを打てば決まるかもしれない、可能性あるプレーくらいはできるんだ」と思えるようにしてあげることが大切とは思います。

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バルサを倒したときのコリンチャンス。日系人選手オオヤ

④大人のプレー

子どもたちがどんなプレーをするか、というのは、見ているサッカーにも大きく影響されます。まだ手探りの子どもたち。見たこともないサッカーよりは、身近なサッカーから学んでそちらに寄るのは自然でしょう。

ブラジルでは伝統的にファンタジスタがいます。圧倒的想像力があり、プレーを楽しみ、かつブラジル全国民からの期待と責任を力に変えます。今ならネイマール、前の世代はロナウジーニョやカカ、その前ならロマーリオやガリンシャ、そしてペレ。

その歴史、積み重ねの差はあると思います。

ただ、今はテレビも海外サッカーの放送が増えてきていますし、日本国内にユース年代含め海外クラブが試合に来たり、われわれ日本人から海外へも飛び立ちやすくなっています。

Jリーグや日本代表選手もプレーが変わってくれば、少しずつ、時間はかかるかもしれませんが、日本の子どもたちのプレーのモデルも変化してくるかもしれません。

そうでなくても、たまには選手と一緒にプレーして自らのプレーを意識して変えてみればそのまま子どもたちに影響するでしょうし、自らがプレーするのが難しいのであれば誰かに協力してもらったり、YouTubeなどから海外スター選手のプレー動画を引っ張ってきてもいいと思います。

PS.

コリンチャンスのTOPチームには、オズワルド・ジ・オリベイラ監督が就任!!

鹿島アントラーズでJリーグ史上唯一の3連覇を成し遂げ、日本でもとても有名な監督ですね。じつは以前にもコリンチャンスの監督を務めた経験があり、彼の1次政権時代には、初代クラブワールドカップを制しています。コリンチャンスのクラブワールドカップ優勝回数は2回で、バルサの3回に続いて世界で2番目に多い数字となっています。

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オリベイラ監督
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日本で行われたクラブワールドカップで優勝したコリンチャンス

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