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平安山 良太
ブラジル

ブラジル通信
~Futebol arte“王国にGingaを探す旅”~

平安山 良太小学生よりサッカーを初めるが、ケガにより早期挫折。若くして指導者の道へ。日本で町クラブ、部活、Jクラブで幼稚園~大学生まで幅広く指導者として関わり学んだ後、海外へ。東南アジアのプロクラブや代表チームで研修の後、ブラジル1部リーグのAtlético Paranaenseでアシスタントコーチを務めた。2014年5月からはクラブワールドカップでも優勝したSC Corinthiansでアシスタントコーチを務めるかたわら、日本に向けて情報発信を始める。2015年10月からはAvai FC、2016年前半はJ3のFC琉球通訳、後半からはコリンチャンス育成部に復帰。ペルーやアルゼンチンなどにも顔を出す。
twitter:@HenzanRyota
mail:ryota_henzan@yahoo.co.jp

ブラジル

■なぜ日本のサッカー選手たちは遊べないのか? 創造的サッカーの本質

2016.10.05

E aí Beleza ??(くだけた感じで元気?)

前回記事の日本とブラジルの育成年代の試合でも少し触れましたが、日本のチームによく共通している課題として、

(1)ゴール前のフェイント、駆け引きの数
(2)ゴール前の迫力

という、“決定力”の部分に関して感じたことを書きたいと思います。

読者の方々にしても、決定力不足という言葉を日本で課題として挙げられているのを聞いてかなり久しいと思います。事実、この記事を執筆している現在、J1の得点ランク1位と2位は外国籍選手、J2の1位にも外国籍選手がランクインしています。

過去1993年~昨年2015年までの歴代J1得点王を見ても、得点王は日本国籍選手11回、外国籍選手14回(内ブラジル国籍選手8回)です(過去23シーズン中、2名が同点の年が2回ありました)。また1999年〜昨年2015年までの歴代J2を見ても、日本国籍選手6回、外国籍選手11回(内ブラジル人10回)となっています。

日本のリーグなので当然総選手数なら10倍近く日本国籍選手の割合が圧倒的に多い中で、日本人国籍選手より外国籍選手が得点王の数は多いのが現状です。

Jリーグでも結果を残し、歴代ワールドカップ得点王数が世界一であるブラジルの育成現場と照らし合わせてみたいと思います。

img

なぜ、日本人がゴール前で余裕をなくして外してしまうのか?

いろいろな理由はあると思いますが、今回の記事では“ゴール前でのフェイント・駆け引きの不足”をテーマに絞りたいと思います。

なぜ、日本人選手はゴール前で遊べないのでしょう?

①指導者の声掛け
最初に、日本でよく聞く指導者の声掛けにも1つ理由があると思っています。

日本の指導者がよく「プレーしろ!」というのを聞いたことはありませんか?

この「プレーしろ!」ですが、ブラジルやアルゼンチンだと、指導者の意図に合わせてさらに細かく2種類の言葉に分けて使われています。

ブラジルだと「ジョガ」と「トラバリャ」
アルゼンチンだと「フエガ」と「トラバハ」
と分かれます。

「ジョガ」と「フエガ」のほうの「プレーしろ!」という単語には、他に“遊ぶ”という意味も持っています。逆に、「トラバリャ」と「トラバハ」のほうの「プレーしろ!」という単語には、他に“仕事する”という意味を持っています。

しかし、日本の指導現場で聞こえる「プレーしろ!」は、基本的には「しっかり仕事しろ!」のほうの意味か、「審判に文句いわずに試合を続けろ」や「時間稼ぎしてないで攻めろ」というような場面で使われることが多いと感じています。

英語でプレーといえば仕事ではなく遊ぶのほうの意味になるのに、何故か日本人の使う和製英語の中では“仕事”色の濃いニュアンスになっています。あるいは日本の指導現場でよく使われる言葉では「挑戦しろ!」などが近いのかも知れませんが、それでもどこか少し真面目すぎます。

ネイマールやロナウジーニョなどの遊び心持った選手が育つ土壌は、この「ジョガ」や「フエガ」に当たる言葉を、日本の指導の中にも落としこむことが1つのキッカケになるのかなと筆者は考えています。

そのまま「遊べ」と指導すると、日本だと小さい子どもたちがレクリエーションの意味と混同してしまい、締まらない空気になるかもしれません。ブラジルの「ジョガ」に楽しむニュアンスが含まれているように、日本語の「遊ぶ」は悪い意味でふざける場面にも使われるからです。

レクリエーションが悪いわけではなく、ときには緩んだ空気で笑いが起きるような練習もあっていいと思います。最悪、言葉をそのまま受けとって砂場遊びをはじめたりしないか少し心配ではありますが(笑)。

そこは指導者が事前にこの場面での“遊ぶ”の意味を説明すればいいのかもしれませんが、一生懸命ボールに夢中になっているときには、どうしても本来の日本語のニュアンスでの“遊べ”ととらえてしまう子も多少出てしまうとも思います。

ボールに夢中なときは話が半分も聞けませんし、そこまで頭を回す余裕はないですから。いつも使っている日本語の意味に引き寄せられがちになる子もいるでしょう。なので、日本にとっては新概念にはなりますがこの「ジョガ」を、普通に指導現場で使っても意味が通るくらい、日本サッカーに浸透させてしまうのも1つの手かなと思います。

かなり難しい話に聞こえるとは思いますが、例えば「ボランチ」は、もともとブラジルの言葉が90年代ごろに日本に広く定着したものです。というか日本で使われるサッカー用語の中で、本来は外国語であったものなど数えきれないほどです。

日本全体に浸透とはいわなくても、読者のみなさまや私が日本で指導するときには、自分の指導現場で事前に「ジョガ」の概念を説明してしまえば、指導の幅が広がるのかなと思います。ジョガでなくても、遊ぶという言葉を使うにしても、それ以外の言葉を使うにしても、このジョガの概念を手に入れている方は創造性あふれる子どもたちを育ててくれることでしょう。

ジョガ以外のいい言葉を見つけた方、是非TwitterやFacebookなどで教えてくれませんか?
Twitterアカウント @HenzanRyota

ジョガを浸透させてくれる方、ぜひ記事の拡散に協力よろしくお願いします。

この記事は複数回に分けて執筆します。
次回もお楽しみに!

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