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平安山 良太
ブラジル

ブラジル通信
~Futebol arte“王国にGingaを探す旅”~

平安山 良太小学生よりサッカーを初めるが、ケガにより早期挫折。若くして指導者の道へ。日本で町クラブ、部活、Jクラブで幼稚園~大学生まで幅広く指導者として関わり学んだ後、海外へ。東南アジアのプロクラブや代表チームで研修の後、ブラジル1部リーグのAtlético Paranaenseでアシスタントコーチを務めた。2014年5月からはクラブワールドカップでも優勝したSC Corinthiansでアシスタントコーチを務めるかたわら、日本に向けて情報発信を始める。2015年10月からはAvai FC、2016年前半はJ3のFC琉球通訳、後半からはコリンチャンス育成部に復帰。ペルーやアルゼンチンなどにも顔を出す。
twitter:@HenzanRyota
mail:ryota_henzan@yahoo.co.jp

ブラジル

■全国リーグ? 州リーグ? ブラジル国内リーグの特殊ルール

2015.08.06

“ブラジル全国リーグ(選手権)”という表現を聞いたことはないでしょうか?

または、“サンパウロ州リーグ(選手権)”はどうでしょう?

アルゼンチンリーグ、スペインリーグ、というような表現はありますが、“スペイン全国リーグ”とはあまり耳に馴染みがない言葉です。サッカーにお詳しい方なら、どこかで聞いたことがあるけれど、何か引っ掛かりながらも見すごしてきた、そんな表現方法だと思います。今回は、そんなブラジルの特殊なリーグ形式について、みなさんの疑問を解きほぐしていきましょう。

【州リーグについて】
州リーグは1月〜5月に行われ、ブラジルに27ある州それぞれに分かれて大会を行います。

州ごとに大会形式やルールが異なり、参加チーム数も大都市ほど多いです。サンパウロ州だけで約100チーム、4部まであります。日本という国より、サンパウロという州のほうがチームが多いのだから、流石は王国ですね。東京に100ものプロチームが存在する日など来るのでしょうか……。

最多優勝回数はコリンチャンスの27回、2位がパウメイラスの22回、続いてサントスFCの21回、サンパウロFCの20回。この4つがサンパウロBig4と呼ばれています。上位チームはコパ・ド・ブラジル(日本の天皇杯に当たる)への参加資格を得ることができます。

img01

【全国リーグについて】
これは5月〜12月に行われ、20チームのH&A総当たり。下位4クラブが降格です。Jリーグや他国の一般的なリーグとほぼ同じような内容といえます。

【間違えやすいポイント】
日本人の方によく誤解されるブラジルのリーグ制度の特徴は、何といっても州リーグと全国リーグが日本のように上位リーグと下位リーグというつながりを持っている、ピラミッド型の関係だと勘違いされやすいことです。

先程の説明のように、州リーグで優勝しても、次に進めるのは全国リーグではなく、天皇杯相当のコパ・ド・ブラジルです。州リーグの成績は全国リーグに影響せず、もちろん逆に全国リーグの成績は州リーグに何の影響も与えません。州リーグで優勝しても全国リーグへ昇格しませんし、全国リーグで最下位でも州リーグへ降格しません(※州リーグ内での昇降格、全国リーグ内での昇降格はあります)。

州リーグと全国リーグは完全に独立し、縦ではなく横の関係の全くの別大会のリーグなのです。例えばコリンチャンスならば、ブラジル全国1部と、サンパウロ州1部に同時に所属しています。イトゥアーノというクラブならば、ブラジル全国4部と、サンパウロ州1部に同時に所属しています。

【日本のJリーグクラブで例えてみると】
ここは私の地元、FC琉球で説明しましょう。

img02

FC琉球美女。真面目な話の休憩にここらで華を(笑)

現在FC琉球は日本全国リーグ3部、J3に所属しています。九州リーグには所属していません。他に沖縄のチームで九州リーグに所属しているのは海邦銀行SCやFC那覇で、この両チームは全国リーグには所属していません。これが日本のやり方です。

これがブラジルのやり方に当てはめると……。

ブラジル制度にしても、変わらず、FC琉球は日本全国リーグ3部(J3)に所属しています。
というより、JFL以上の全国リーグクラブは、全国リーグの上では何処のチームも何も変わりません。名古屋グランパスは全国1部リーグ(J1)のままだし、セレッソ大阪は全国2部リーグ(J2)だし、FC大阪は全国4部リーグ(JFL)のままです。

全国リーグは日本をブラジル制度に当てはめた場合も変化なしです。

しかし、地域リーグに目を向けると……。

九州1部リーグに、全国3部リーグ(J3)にいたFC琉球が、またしても所属しています! FC琉球は、全国3部、兼、九州1部に同時に所属していることになるのです。

ブラジル制度を日本に当てはめたときの、九州1部リーグ所属クラブ一覧はこうなります。

サガン鳥栖
ギラヴァンツ北九州
アビスパ福岡
大分トリニータ
ロアッソ熊本
Vファーレン長崎
FC琉球
鹿児島ユナイテッドFC
ヴェルスパ大分
ホンダロックSC
新日鐵住友大分サッカー部
J FC MIYAZAKI
デゲバジャーロ宮崎
九州三菱自動車サッカー部
海邦銀行SC

日本とブラジルではそもそものチーム数が10倍以上違い、また州によってもやり方が違うため、きれいに互換できませんが、だいたいこんなイメージだと思って下さい。

サガン鳥栖は全国1部(J1)、兼、九州1部。
大分トリニータは全国2部(J2)、兼、九州1部。
鹿児島ユナイテッドは全国4部(JFL)、兼、九州1部。
海邦銀行SCは全国4部(JFL)、兼、九州1部。
(※ブラジル全国4部は参加チームが多めなので、海邦銀行SCあたりも含まれる)

FC那覇は全国4部(JFL)、兼、九州2部になります。

全国リーグと比較すると、力の差が開きやすいリーグになります。

【なぜ全国リーグと州リーグで分かれたのか】
ブラジルは何といってもその国土の大きさがあります。南米大陸の約半分はブラジルで占められています。交通インフラも進んだ現在であればまだしも、一般旅客機が整備されていなかったような時代には、全国リーグの開催は難しかったでしょう。

もっと貧乏だった時代ともあれば、交通費も大きな負担です。サンパウロだけでも日本やウルグアイくらいの面積がありますから、州リーグくらいがちょうど良かったのでしょう。

長いサッカーの歴史を持つブラジルですが、1902年からスタートしたサンパウロ州リーグに比べ、全国リーグの一応のスタートは1970年代。その後も混乱が続き、1部リーグが94チームあったり、1部リーグが2つに仲違いしたりしたなんて時代を経て、やっと落ち着いたのは1990年代でした。解釈の仕方によっては、Jリーグとほとんど同い年なんですね。実はかなり最近なんです。

順番がおかしいのですが、ブラジル全国リーグの上位大会、1960年スタートのコパ・リベルタドーレスのほうが、ブラジル全国リーグより早くできたことになります。

このときのブラジルがどれほど混乱していたかは、コパ・リベルタドーレスの優勝回数が、混乱期の1960年〜92年までの33年間にブラジルのクラブは5回しか優勝していないのに比べ、安定し始めた1993年〜2014年までの22年間に12回と、ペースにして3~4倍になったことからも感じられます。

州リーグのほうが歴史が長いこともあり、注目度では全国リーグに追い越され、劣るものの、いまだに文化的に重要視する声も大きく、慣れ親しんだ層もいるため、廃止していません。

【プラス面】
①他国と同じように、普通の全国リーグに、コパ・ド・ブラジルもあり、UEFAチャンピオンズリーグやAFCチャンピオンズリーグと同じく、コパ・リベルタドーレスやコパ・スダメリカーナがあり、そこにブラジルだけさらに州リーグが入ってきますから、サポーターは週2回、中3日なんてペースで、一年間ずっと、好きなチームの試合を楽しむことができます。

②財政的に小さなクラブにとって、Bigクラブと対戦できる州リーグは、注目度も知名度も上がりやすい絶好の商機です。

③試合数が多いため、選手を多めにかかえるクラブが出てきて、若手への出場チャンス、またはプロになる夢を叶えられる選手が少し増えます。

以上が考えられます。

【マイナス面】
①過密日程過ぎて、監督がうまく選手をターンオーバーしないと休みがなく、疲労やケガをしてしまう可能性があります。かといって控えメンバーで試合にのぞんで痛い目を見ることも。

②一年中試合なので、オフのリフレッシュが少なく、精神的に辛いと感じる選手の意見が時折聞かれます。

③ブラジルだけでも日本の23倍広いのに、コパ・リベルタドーレスにも出場する強豪クラブだと、南米全体を中2~3日で飛び回るという異常な日程も現実に度々あります。移動だけで時間を取られ、対戦相手の分析、対策練習などがほとんどできない状況になります。

④シーズン前にチームの戦術を落としこむ時間、シーズン中に長所を伸ばし課題を克服する時間があまりにも短く、苦労している監督もいます。

⑤Bigクラブの州リーグでのモチベーションが上がり切らないことが出てきます。

①〜④はどれも元は過密日程の問題です。
他の南米の国はここまで過密日程ではなく、移動も元々どこもブラジルより国土は小さい上、チームが1~2都市に集中していたりしますが、ブラジルは良くも悪くも広大な土地にチームがバランス良くうまくバラけています。

ブラジルの特殊なリーグ事情が理解いただけましたでしょうか?

より深く知りたいという興味のある方は、各州リーグ毎の違いや、2部以下のリーグの制度もまた違いがあって、本当に多様なブラジルの奥深さを味わえるチャンスかもしれません。このブラジルの多様性に、日本がまだまだ学ぶことのできる隠された部分が存在しているのだと、筆者はワクワクドキドキしながらブラジルサッカー探検を続けています。

PS,
コパ・アメリカが閉幕しました。優勝は開催国でもあるチリ。ワールドカップでも決勝トーナメントに進出し、なかなかの強豪というイメージがあるチリですが、意外にも1999年を誇るこの大会で初優勝。おめでとうございます。

アルゼンチンはワールドカップに続き、またしてもあと一歩で準優勝。メッシがマラドーナを超えるには、ぜひ何かメジャー大会で一度優勝して欲しいですね。シルバーコレクターと呼ばれ始めてきた彼ら。ライバル・ブラジルからは黄金世代ならぬ銀世代なんて皮肉が……。自国ワールドカップで金をとってからいいたいものです……。

そしてそんなことより、我々ブラジルはベスト8敗退。前回大会と全く同じ相手、パラグアイに、全く同じPK負けという結果です。

ワールドカップからほぼちょうど1年。開催国でありながら、ドイツに1-7で敗退した“ベロオリゾンテの悲劇”を今もずっと引きずり続けているブラジル国民のさらなる落胆たるや……。

ワールドカップの後に親善試合で11連勝していたものの、実際にはそれほど自信を回復したとも、心の傷が癒えたともいえず、逆に初めてコパ・アメリカで連続して準決勝にも進めなかった事実が、もう一度トラウマを思い出させました。

Vamos Brasil!

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