GAKKEN SPORTS BOOKS 最新版サッカールールブック
最新版
サッカールールブック
監修: 高田静夫
著: 三村高之
とっつきにくいサッカールールの内容を、日本人が理解しやすいようにジャンル分けして構成。判定の難しいケースもイラストを多く使って、簡単にわかるように解説。「日本でいちばんわかりやすいルールブック」の最新版。何かあったときに簡単に調べられる。
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ホルヘ・三村

南米通信 ~ラ・ビダ・デ・ホルヘ~

ホルヘ・三村
1960年10月23日生まれ。東京都出身。元々の南米サッカー好きが、89年のコパ・アメリカ取材を契機に沸騰。91年、気がつけば職を捨て、単身エクアドルに立っていた。現在はアルゼンチンのブエノスアイレスを拠点に、コパ・リベルタドーレス、コパ・アメリカ、ワールドカップ南米予選や各国リーグを取材している。そのかたわら、酒を中心とした南米各国のナイトライフにも造詣が深い。というよりそれに溺れ、酒とサッカーの日々を送っている。

アルゼンチン

■新ルール

2017.11.07

 もう40年以上前になるが、4級審判員講習会で、新聞の外電に載った“ワン”ゴールというタイトルのニュースの話があった。試合中、ゴール前に犬が飛び込んできて、ボールをゴールに入れてしまったのだという。そしてその得点が認められたから、“ワン”ゴールというわけだ。通常ならば、このような闖入者があった場合、主審は試合を止める。おそらくこのケースでは、止める間もなかったのだろう。そしてルールでは、このような部外者は石ころや風のような扱いになる。部外者にボールが当たっても、グランドの石に当たったのと同じ、強風にあおられたのと同じと判断される。だから犬が入れた得点は認められる、というものだった。

 数年前、ブラジルの1部リーグの試合で次のようなことがあった。チームスタッフが、ゴールポストのすぐ脇に立っていた。用具係が、交換用のスパイクかグローブをGKに届けに行き、アウトオブプレーになるのを待っていたのかもしれない。そのとき、相手が攻めてきた。GKは飛び出したが交わされ、相手は無人のゴールへシュートを流し込んだ。すると、先ほどのスタッフが飛び込んできてシュートをクリアした。部外者は石ころ扱いなので、このゴールは認められない。当のスタッフは20数試合のベンチ入り禁止という処分を受けたが、相手チームやそのサポーターは救われない。もしこのようなことが、ワールドカップの決勝戦で起きたらどうなるか。このノーゴールにより、そのチームが優勝でもしたらとんでもないことだ。もし日本代表のスタッフがこの行為をしたら、「恥ずべき行為」として国内で激しく責められるだろう。しかしアルゼンチンだったら、このスタッフはヒーローになる。そこでこの問題を改善するため、新しいルールが取り入れられた。それは、サブメンバーやチームスタッフなどの関係者が、ピッチ内に入りインプレー中のボールに触ると、相手チームの直接FKになるというものだ。

 アルゼンチンのアルヘンティノス・ジュニオールスは、マラドーナが育ったクラブとして知られている。彼はクラブの誇りで、スタジアム名はディエゴ・アルマンド・マラドーナだ。しかし、このスタジアムは狭い土地に建てられたため、タッチラインとゴールラインの外はすぐフェンスとなっている。したがって、試合中にサブの選手がアップを行う十分なスペースがない。それでもアップは必要なので、コーナーエリアとゴールの間を使用する。一列になって行きはダッシュ、帰りはジョグというようなことをするのだが、行きか帰りのどちらかは、ピッチの中を通っている。トレーニングコーチもピッチ内にいて、ボールが近づいてくると、「来たぞ、出ろ」と合図する。長い間、これで問題なくやってこられたのだ。

 先日、このスタジアムで、コーナーエリア近くのピッチ内にいたコーチの近くに、攻撃側チームが蹴ったボールが転がってきた。明らかに、そのままゴールラインを割るボールだ。このコーチは守備側のチームだったので、GKに向けてボールを蹴るためにトラップした。その瞬間ホイッスルが鳴り、主審は相手チームに直接FKを与えた。ゴールキックのはずが、コーナーキックとほぼ同じ場所からのFKになってしまったのだ。

 ポルトガルの2部リーグでも同様のことがあった。自陣ゴールのライン際にいたサブ選手が、自分に向けて飛んでくる相手のクロスを手で止めた。主審は、ボールがピッチ内のインプレーだったと判断し、相手チームのPKとした。ボールに触れた場所がペナルティーエリア内であったためだ。この反則に対する罰則は直接FKなので、ペナルティーエリア内で起これば相手のPKとなる。先に記したブラジルチームのスタッフの行為も、PKで罰せられれば、かなりの確率で失われた1点が戻ってくるので、相手チームは救われる。

 アルヘンティノスやポルトガルの場合は、失点を防ごうという悪意ではなく、速やかにGKにボールを渡そうとして起きたものだ。しかし意図に関係なく、新ルールでは処罰される。審判員の中には、新ルールが採用されると、早くそれをジャッジしようとやっきになる人もいるので、疑わしい行為はしないようにすべきだ。

 これとは別の話だが、タイで行われたPK戦で間抜けなシーンがあった。日本でも、ニュース番組の面白ニュースかなにかで放映されたかもしれない。キッカーのシュートはクロスバーに当たり、大きく上へ跳ね上がってペナルティマーク当たりに落ちた。ボールが跳ね上がると、PK失敗を確信したGKは仲間のほうへ駆け寄った。しかしボールにはスピンがかかっており、バウンドするとゴールのほうへ戻っていき、そのまま入ってしまった。このボールの動きは一連の流れなので、PKは成功したと判定される。スピンによるものでなく、強風に煽られて入っても同じだ。試合中のPKなら、ゴールラインを割る、大きくはじき返す、あるいは完全にボールを保持するまでGKは気を抜かないが、PK戦になると、はじいたり、ポストやバーに当たっただけで「やった!」と安心してしまうケースがある。PK戦も、試合中のPKと同じ気持ちで臨むことが大切だ。

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