GAKKEN SPORTS BOOKS 最新版サッカールールブック
最新版
サッカールールブック
監修: 高田静夫
著: 三村高之
とっつきにくいサッカールールの内容を、日本人が理解しやすいようにジャンル分けして構成。判定の難しいケースもイラストを多く使って、簡単にわかるように解説。「日本でいちばんわかりやすいルールブック」の最新版。何かあったときに簡単に調べられる。
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ホルヘ・三村

南米通信 ~ラ・ビダ・デ・ホルヘ~

ホルヘ・三村
1960年10月23日生まれ。東京都出身。元々の南米サッカー好きが、89年のコパ・アメリカ取材を契機に沸騰。91年、気がつけば職を捨て、単身エクアドルに立っていた。現在はアルゼンチンのブエノスアイレスを拠点に、コパ・リベルタドーレス、コパ・アメリカ、ワールドカップ南米予選や各国リーグを取材している。そのかたわら、酒を中心とした南米各国のナイトライフにも造詣が深い。というよりそれに溺れ、酒とサッカーの日々を送っている。

アルゼンチン

■来年のローレウス賞候補

2017.03.05

 昨年日本で行われたU-12ワールドサッカーチャレンジ決勝戦の大宮アルディージャジュニア対FCバルセロナのワンシーンが、ローレウス世界スポーツ賞のベストモーメント部門で大賞に輝いたという。1-0で優勝を飾った直後、涙にくれるアルディージャの選手らを慰め励ますバルサの選手たちの姿が感動的で、フェアプレーの神髄を表しているとして選考された。ホルヘはまったく知らなかったが、このローレウス賞なるものは、スポーツ界のアカデミー賞といわれるほどのものらしい。同じく、ワールドサッカーチャレンジなる大会も知らなかった。いずれにせよ、世界的には東洋の島国で行われている12歳以下の子どもによる親善大会にすぎない。それがローレウス賞とは、日本のどこかで開催された「小学生国際ビデオコンクール」とかの参加作品がアカデミー賞を受賞したようなものだ。そう考えると、すごい。しかしこれは、対象がバルサだったからだろう。無名の小学生チームだったら、相手にもされなかったのではいか。

 先ごろ、同じくU-12の大会で、フェアプレーとちょっと感動的なシーンがあった。中東諸国をメインに、ブラジル、フランスなど20カ国の代表チームがカタールに集まって対戦するJEEMカップでのことだ。カタール対パレスチナ戦において、パレスチナの選手がプレー中に負傷。主審はプレーを止め、ドロップボールからの再開となった。場所はフィールドの中盤で、カタールの選手は礼儀に従い、ドロップボールを相手GKに渡すように蹴った。そのボールはやや強めで、GKの直前でバウンド、いわゆるショートバウンドになった。GKは手で触ったもの取り損ね、ボールはゴールイン。主審は、ルールに従ってカタールの得点とした。まったく、想定外の展開だ。明らかにパレスチナGKのミスだが、カタールの選手も喜べない。ちなみに、これが試合の先制点。パレスチナがキックオフからプレーを再開すると、ボールに寄せてくるはずの相手が来ない。カタールの選手は、全員が直立不動。その意を察したパレスチナ選手は、ゆっくりとドリブルでゴールへ進んでシュートを決めた。このカタールのフェアプレーに対し、ゴールを決めた少年が、相手にタッチして感謝するシーンは感動的だった。試合は2-1でパレスチナが勝ったので、この献上ゴールの価値はさらに高まる。来年のローレウス賞に、これが引っかかるか無視されるか注目したい。

 しかし選手がルールのことを知っていたら、そもそもこんなことにはならなかった。カタールの余計な得点など生まれずにすんだのだ。ドロップボールは、主審が落としたボールがバウンドしてからプレーする再開法。再開法というのは、プレーが一度切れたとき、新たにプレーを始める方法のこと。ゴールキック、コーナーキック、フリーキック、キックオフ、スローインなども再開法だ。しかしドロップボールには、他の再開法と決定的に違うことがある。それは、再開を行った選手が続けてプレーできる、ということ。他の再開法では、たとえばフリーキックやキックオフを蹴った選手は、誰かが触るまではそのボールをプレーできない。続けてボールに触れば反則で、相手チームの間接FKになる。ところがドロップボールではこれが許されている。したがって、ドロップボールをトラップしてから蹴ることもできるし、ドリブルも可能だ。この試合でカタールの選手は、ドロップボールをダイレクトで蹴った。これが、強めでショートバウンドというGKが取りにくいボールを生んだ。このケースでは100パーセント相手選手は奪いに来ないのだから、落ち着いてトラップしてから優しいボールを蹴ればいい。さらに、万が一のこと考え、ゴールマウスは外すべきだ。

 そしてドロップボールには、「ファーストタッチでゴールに入っても得点にならない」という決まりがある。相手ゴールに入ればゴールキック、自ゴールに入れば相手のコーナーキックとなる。これは間接フリーキックと同じ。相手が勘違いして、間接フリーキックなのに直接シュートしてきても、GKは反応する必要ない。シュートが決まっても、ゴールキックになるだけ。逆にGKが反応し、自分の体に当たってからゴールに入れば失点になってしまう。パレスチナのGKがやったのが、これだ。

 ルールを知らなければ損をすることもあるし、知っていれば得することもある。昨年は大規模なルール改正が行われ、同じような反則でも警告になったり退場になったり処分が分かれるなど、複雑な点が増えた。これに伴い、ホルヘが執筆している「サッカールールブック」が、「最新版 覚えやすい サッカールールブック」(監修・高田静夫)として装いも新たに学研プラスより出版された。“日本で最もわかりやすいルールブック”、“試合にも観戦にも役立つ一冊”を自負しているので、是非ご一読を。

「最新版 覚えやすい サッカールールブック」
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