GAKKEN SPORTS BOOKS 最新版サッカールールブック
最新版
サッカールールブック
監修: 高田静夫
著: 三村高之
とっつきにくいサッカールールの内容を、日本人が理解しやすいようにジャンル分けして構成。判定の難しいケースもイラストを多く使って、簡単にわかるように解説。「日本でいちばんわかりやすいルールブック」の最新版。何かあったときに簡単に調べられる。
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ホルヘ・三村

南米通信 ~ラ・ビダ・デ・ホルヘ~

ホルヘ・三村
1960年10月23日生まれ。東京都出身。元々の南米サッカー好きが、89年のコパ・アメリカ取材を契機に沸騰。91年、気がつけば職を捨て、単身エクアドルに立っていた。現在はアルゼンチンのブエノスアイレスを拠点に、コパ・リベルタドーレス、コパ・アメリカ、ワールドカップ南米予選や各国リーグを取材している。そのかたわら、酒を中心とした南米各国のナイトライフにも造詣が深い。というよりそれに溺れ、酒とサッカーの日々を送っている。

アルゼンチン

■二度あることは

2016.07.26

 メッシが引退宣言をしたかと思えば、今度はマルティーノ監督が辞任と、アルゼンチン代表は大揺れに揺れている。コパ・アメリカで優勝を逃した後、マルティーノの立場は微妙になった。準優勝で進退問題が出るとは、さすがアルゼンチン。日本なら、「銀メダルおめでとう」だろう。しかし彼はオリンピック代表兼任監督でもあったため、本番まで僅かということもあり、協会は続投を決定。マルティーノはすぐさま選手の絞り込みに入ったが、1週間もたたずに辞任を表明した。主な理由は、協会が混乱していてサポート体制が取れていない、というものだった。

 実は、アルゼンチン協会は現在、大変なことになっている。同協会は、グロンドーナが1979年から一昨年に急死するまで、実に35年間の長きに渡って会長を務めていた。FIFAの副会長でもあり、自国のみならず世界的なサッカー界の顔役だった。昨年明らかになったFIFAスキャンダルでも中心的立場にあり、生きていれば確実に逮捕されていた。彼の死後、副会長のセグーラが会長に就任。セグーラはグロンドーナ路線を踏襲しようとしたが、革新派勢力が強くなり、昨年末には会長選挙が行われた。ところがそこでは、投票数が1票多いという不可解なことが起こり、選挙は半年後に延期となったがまだ実施されていない。さらに税務署の捜査で不適正な金の流れも明らかになり、教会の権威は失墜。ビッグクラブの会長たちは、協会に頼らず自主運営のスーパーリーグを立ち上げようと動き出した。不透明な資金の流れに司法当局も動き出し、これがFIFAの禁じている協会への政府の干渉になって、資格停止などのペナルティーが課せられる危険もあった。

 新体制のFIFAは、ブラッター色を一掃しクリーンなイメージを築こうとしているので、見せしめのためにアルゼンチン協会を叩く可能性がある。コパ・アメリカ開幕直前には、「出場停止になるかもしれない」といううわさが国内で流れていた。出場停止にはならなかったものの、アメリカに行っていたセグーラは、FIFAから会長辞任勧告を受けて、決勝戦の前に帰国。協会内に正常化委員会が設置されるまで一応会長の座にとどまっているが、もはや権限はない。

 マルティーノは35名の選手をリストアップしたが、その中でオリンピック出場が可能と答えたのは、わずか6人。崩壊状態の協会は、選手の所属クラブとまともに交渉することすらできなかった。これでは、辞任したくなるのも当然だ。とりあえず後任にはU-20代表監督のオラルティコエチュアが就任したが、選手不足が解消されなければ出場できない。その場合は、ウルグアイが代わりに参加することになりそうだ。

 選手が集まらない理由は協会の問題に加え、予選を戦っていないことも挙げられる。実は、南米にはオリンピック予選がない。以前はあったが、2007年からU-20大会がそれを兼ねるようになった。代表に選ばれるような優れた選手は、20歳を越えればヨーロパヘ行ってしまう。オリンピック予選のために彼らを呼び戻すのは大変なので、U-20大会で代用することになった。だからU-20大会がオリンピック予選と呼べなくもないが、年代がU-20なので選手が違う。アルゼンチンが今年のリオへの出場権を得たのは、昨年行われたU-20大会で優勝したから(2位コロンビア、3位ウルグアイ)。自分たちで苦労して予選を勝ち抜いたのならモチベーションも高く、本大会出場のため所属クラブに直訴して許可を得ようとする。しかし他人のふんどしで巡ってきたチャンスには興味がわかない。それよりも、所属クラブで活躍するほうが重要と考えてしまう。アテネオリンピック、北京オリンピック連覇のアルゼンチンが、今回は不戦敗の瀬戸際に立たされている。

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