GAKKEN SPORTS BOOKS 最新版サッカールールブック
最新版
サッカールールブック
監修: 高田静夫
著: 三村高之
とっつきにくいサッカールールの内容を、日本人が理解しやすいようにジャンル分けして構成。判定の難しいケースもイラストを多く使って、簡単にわかるように解説。「日本でいちばんわかりやすいルールブック」の最新版。何かあったときに簡単に調べられる。
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ホルヘ・三村

南米通信 ~ラ・ビダ・デ・ホルヘ~

ホルヘ・三村
1960年10月23日生まれ。東京都出身。元々の南米サッカー好きが、89年のコパ・アメリカ取材を契機に沸騰。91年、気がつけば職を捨て、単身エクアドルに立っていた。現在はアルゼンチンのブエノスアイレスを拠点に、コパ・リベルタドーレス、コパ・アメリカ、ワールドカップ南米予選や各国リーグを取材している。そのかたわら、酒を中心とした南米各国のナイトライフにも造詣が深い。というよりそれに溺れ、酒とサッカーの日々を送っている。

アルゼンチン

■人の才能

2016.05.20

 日本滞在中のお楽しみのひとつが、テレビ朝日の「怒り新党」だった。しかし、お目当てはマツコと有吉ではない。秘書役のアシスタント夏目三久だ。あの笑顔にハマってしまった。非常に整った顔の彼女だが、いわゆる営業スマイルでなく本気で笑うと、眉は八の字になり目が極端に垂れ下がる。このギャップがいい。そして本人はこの崩れた笑顔にコンプレックスを抱いているのか、横や下を向いて顔を隠そうとする。カトパンや水卜ちゃんは健康的に「アハハハ」と笑い、それはそれで可愛いのだが、昔の女性はおしとやかに口元を隠したものだ。夏目三久の笑いには、それに通じるノスタルジックがある。

 さらにマツコと有吉がお得意の下品な話で盛り上がると、「こんな話で笑っちゃいけない」と耐えようとするが結局笑わされてしまい、クシャ顔を必死で背ける。このシーンは、観る者をサディスティックな気持ちにさせる。制作側もこれを意識しているらしく、この場面では彼女の顔がアップになる。ホルヘは毎回、ゾクゾクする思いでこれを観ていた。しかし2月ごろから、笑ったシーンのアップが少なくなってきた。「おかしいな」と思っていたら、3月いっぱいで降板となった。何てことだ。

 夏目三久は怒り新党で人気を博し、その後「あさチャン」「真相報道バンキシャ」に抜擢された。フリーアナウンサーとすれば、情報番組や報道番組のキャスターになることは最高の栄誉であろう。バラエティのアシスタントとは格が違う。彼女は大出世を遂げたのだ。ホルヘもそれを大いに喜び、あさチャンやバンキシャを観た。しかし、これがどうも期待外れ。そりゃそうだ。お堅いバンキシャでは終始真面目な表情だし、あさチャンでは笑顔はあるものの、普通のスマイルに過ぎない。クシャ顔と羞恥心ポーズは皆無。彼女の魅力が発揮できるのは、怒り新党だけなのだ。

 本人や事務所が正統派の仕事を選択したことによる怒り新党降板だろうが、まったくもったいないことをした。彼女に報道や情報番組の才能がないとはいわないが、笑わされてこそ夏目三久は光るのだ。笑顔と仕草で視聴者をゾクゾクさせる女子アナやタレントは他にいない。サッカーにたとえるなら、DFとしてトップクラスの選手が、「FWやりたい」といって強引にポジションを変え、ごくありふれた選手になってしまうようなものだ。

 しかし、人間の才能を判断するのは難しい。ホルヘが昔、小学生チームの監督をしていたころの話。同学年の中では、身体能力や技術に秀でていた選手がいた。シュート練習では見事なゴールを決め、仲間からの信頼もある。そこで彼をFWで起用したが、これが全然ダメ。とにかく、消極的なのだ。FWなのだから、無理やりなシュートを放って外してもいいし、突破を試みてボールを奪われてもいい。しかし彼は、失敗を恐れる。確実にプレーしようとするので、すべてが遅くなって時機を逸してしまう。結局ホルヘはその後、彼をDFにコンバートするしかなかった。性格が消極的とはいえ、DFだと相手が来たら行かねばならない。もともと能力は高いので、守備の要として活躍してくれた。この出来事は、「いくら能力があっても、性格が弱い子はFWには向かない」というひとつの教訓となった。それからは、選手の性格までしっかり見極めるよう努力した。

「性格が弱い子はFWに向かない」というのは今でも正しいと思っているが、「三つ子の魂百まで」というのは間違いだと確信している。というのは、例のDFにコンバートした子がその後大変身。中学生になると思春期か自我の目覚めからかイケイケドンドンの性格になり、それからはFW一直線。今ではホルヘと一緒に草サッカーをすることもあるが、「中盤やって」と彼にいうと、「FW以外できません」と、恩師であるホルヘに向かって堂々とのたまう。人間の性格は、変わるのだ。

 そういえば、1月に観たNHKのファミリーヒストリーで、俳優の坂口憲二をやっていた。彼の父親は柔道日本一からプロレスに転向し、「世界の荒鷲」と呼ばれた坂口征二。番組では父親である征二のことも取材していたが、小中学校の同級生によれば、当時は足も遅く相撲でもすぐ倒され、中学では工作部にいた地味で目立たない生徒だったそうだ。それが高校から柔道を始めて開花した。間違いなく、人とは変われるものなのだ。

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