GAKKEN SPORTS BOOKS 最新版サッカールールブック
最新版
サッカールールブック
監修: 高田静夫
著: 三村高之
とっつきにくいサッカールールの内容を、日本人が理解しやすいようにジャンル分けして構成。判定の難しいケースもイラストを多く使って、簡単にわかるように解説。「日本でいちばんわかりやすいルールブック」の最新版。何かあったときに簡単に調べられる。
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ホルヘ・三村

南米通信 ~ラ・ビダ・デ・ホルヘ~

ホルヘ・三村
1960年10月23日生まれ。東京都出身。元々の南米サッカー好きが、89年のコパ・アメリカ取材を契機に沸騰。91年、気がつけば職を捨て、単身エクアドルに立っていた。現在はアルゼンチンのブエノスアイレスを拠点に、コパ・リベルタドーレス、コパ・アメリカ、ワールドカップ南米予選や各国リーグを取材している。そのかたわら、酒を中心とした南米各国のナイトライフにも造詣が深い。というよりそれに溺れ、酒とサッカーの日々を送っている。

アルゼンチン

■ベンチコートの利用法

2016.03.01

 今年も恒例の健康診断を行った。区民検診という無料のもので、35歳から欠かさず受けている。早いもので、これで20回目だ。無料とはいえ、がん検診などはオプション扱いで有料になる。しかし、200~300円と安い。ホルヘは、胃がん、肺がん、大腸がん、前立腺がんの検査をチョイス。胃がん検査はバリウムを飲んでのレントゲン撮影という立派なものだが、大腸がん検査というのは、検便だけだ。大便に血液が混ざっているかどうかを調べ、陽性、つまり血液が入っていれば大腸がんの疑いありと判定されるもの。区が面倒を見てくれるのはここまでで、陽性となった場合、さらに診察を受けるかどうかは個人の判断となる。この検査は、以前はオプションでなく、無料の区民検診に組み込まれていた。そしてホルヘは毎回、陽性だった。20歳ころから発症したベテランの痔主なので、痔による出血が検査に出てしまう。だから陽性と判定されても無視していたが、あるとき医師に、「念のため、内視鏡検査を受けたほうがいい」とアドバイスされた。医師がいうには、大腸がんの進行は遅いので、検査をしてシロなら5年間は安心できるそうだ。そして、そのとき受けた検査はシロ。あれからもう、7年経った。

 有料のオプションになってから大腸がん検査はしていないが、今年は再び内視鏡を肛門から入れる覚悟を決め、200円の検便を申し込んだ。しかしなんと、潜血反応は陰性。便に血液が混ざっていないというのだ。そんなバカな。痔は健在だし、拭いたときに紙に血が付く。検査ミスではなかろうか。病院の検査というのは、何らかの異常があって検査する場合は保険が適用される。しかし異常がないのに検査を希望すると、保険適用外で高くなる。潜血反応が陰性だと、保険外になるはずだ。せっかく覚悟を決めたのに、全額負担では二の足を踏まざるを得ない。医師にそのことを打ち明けると、「以前、大腸がんの疑いありで内視鏡検査をしているので、今回も保険適用です」とのこと。これで、検査をすることが決まった。

 ベテラン痔主のホルヘは、座薬の挿入は日常茶飯事だし、医師の指も数多く受け入れ、肛門からの異物侵入には慣れている。したがって内視鏡を入れられるのも苦にならないが、そこに至るまでの過程が辛かった。検査を正確に行うためには、大腸内がきれいでなければならない。腸壁に未消化の食べ物が残っていると、じゃまになる。ということで、検査の3日前から食べ物が制限される。7年前にはこんなことをした記憶はないのだが、今回は食物規制を課せられた。一般的に、消化の悪いものといえば肉だとされている。たしかに、肉をたくさん食べると胃がもたれる。しかし、この「消化に悪い」というのは、胃に関してだけのようだ。大便にコーンが混じっている経験は誰でもあるだろうし、サラダを大量に食べると、便にレタスらしきものも混ざる。しかし、便の中に肉塊を見たことはない。腸の中に入ってからは、野菜のほうが消化されにくいらしい。だから食物規制も、野菜全般と豆類、海藻、キノコ類、種子類だった。つまり、植物系のものはほとんど食べられないのだ。ベジタリアンじゃなくてよかった。そして検査前日は、素うどんやおかゆになる。

 とはいえ、たかが3日間のこと。食材に規制があるとはいえ、量は充分食べられるので、ボクサーの減量と比べたら1万倍マシだ。しかし、検査当日に最大の難関が待っていた。腸内を空にするための、下剤の大量摂取だ。朝の6時から、下剤を溶いた2リットルもの液体を、2時間ほどで飲まなければならない。健康のために、「1日2リットルの水を飲め」とよく聞くが、それだって大変だ。短時間にこれほど大量の液体を飲むのは、夏場に生ビールの大ジョッキを重ねるとき以外ないであろう。しかもこの下剤が不味い。口直しにお茶を飲むので、腹に収める水分はさらに増える。1時間ほどして便意が来る。薬が効き出してからは、便意が繰り返しやってきて来る。通常の便意と違い、「来た」と感じたらすぐに出るので、慌ててトイレへ駆け込む。そして便は、固形から軟便、茶色い液体、薄茶色の液体、黄色い液体へと変わっていく。結局、家で6回排便し、病院へ行く時間となった。

 しかしここで思ったのは、病院への途中で便意が来たらどうしよう、ということだ。まだ下剤が効いていれば、当然、また来る。そして来たら、ガマンできずにすぐ出るのだ。天下の往来でお漏らしという失態を演じてしまうかもしれない。そこで、タオルをパンツの中に入れ、肛門の部分に当たるようにした。即席の成人用おむつだ。そしてお尻のポッコリを隠すため、ベンチコートを着る。たとえ漏らしても、コートが異臭の拡散を防いでくれるだろう。冬でよかった。

 こうして受けた内視鏡検査の結果はシロ。これでまた、5年間は安心していられる。

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