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道言 栄太
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~me sinto o português futebol~

道言 栄太
鹿屋体育大学在学中。18歳のときから指導を始める。常に“世界で活躍できる指導者”を目標に掲げ活動し、早10年目。これまでキッズから大学生まで幅広い年代の指導に携わる。その中で目標を達成するために必要だと感じたのが他の指導者との差別化である。過去には、1年間のイタリア留学の経験がある。今回のポルトガル留学では、大学、グラウンドそしてスタジアムで多くの経験を積み、新たなサッカー感を養い独自の指導法を生み出すことが目的である。
Twitter: @eitadogon

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■プレシーズンにおけるトレーニング(前編)

2018.08.14

みなさん、こんにちは。

今回は、現在真っただ中であるプレシーズンにおける戦術的ピリオダイゼーション(以下PT)を活用したトレーニングの考え方について、学んだことを2回に分けてお伝えてしていきたいと思います。私はワールドカップの観戦のため、研修させていただくチーム(SPエスピーニョ)への合流が少し遅れ、7月9日から参加させていただきました。

3部のチームということもあり、選手たちは基本的に1年契約のため、昨年活躍した選手は1部、2部に引き抜かれ、同じ3部リーグのチームに移籍した選手もいます。そんな中、昨シーズンから残った選手は12名のみとなり、約半分の選手が入れ替わることになりました。7月はトライアルを受けにきた新選手を見極めながら、戦術も浸透させていかなければならないなど、課題が山積みの時期でした。

個人的なプレシーズンのイメージは、
・2部練習
・走り込みなどのフィジカルトレーニング
・徹底した戦術指導
などのイメージがありました。

ただ、これらのイメージを実行することはPTの理論に反することだと考えていました。そのため、プレシーズンとシーズン中でどのようにPTをトレーニングで実行していくのか? また、どのようなイメージを持ってプレシーズンを組み立てていくのかという点に注目して見学していきたいと思っていました。

はじめに、プレシーズンの日程からおさらいしていきたいと思います。下の写真は7月のプレシーズンの日程です。

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基本的には、月曜日から始まり土曜日のトレーニングマッチで1週間を終えるというのが簡単な流れになります。

プレシーズンが始まったころ、監督にプレシーズンとシーズン中のトレーニングの差異について尋ねたところ「基本的には変わらない
という答えが帰ってきました。つまり、シーズン中と同じく、「長くても90分以内のトレーニング」、「強度マックスの維持」、そして「常にボールを使ったトレーニング」を原則に進めていくということです。

ですが、実際にトレーニングを見学していると、上の図にもあるようにリカバリーの日が少なかったり、週に2回トレーニングマッチが入ったりとシーズン中とは異なり、とても変則的だと感じました。ただ、現在も毎日トレーニングを見学させてもらい、監督やスタッフと議論することで、その違和感が僕自身まだまだPTの理論を正確に習得できていないことが原因だと徐々に分かってきました。

特に気になったのが、トレーニングマッチの進め方です。

監督の、フイ・キンタさんは、常々トレーニングやトレーニングマッチでチームに競争力を与え、量ではなく質を重視されてきました。それが如実に現れたのが、トレーニングマッチでの時間配分です。週に2回あるトレーニングマッチで1人あたり最高でも45分しかプレーさせません。プレシーズンだからと言って毎試合各プレーヤーに90分プレーさせることはありません。理由としては、体力的にも、戦術的にも未完成の中90分プレーさせても質が落ちてしまい、その状況で続けてもただの体力トレーニングになってしまう危険性があるからです。トレーニングマッチの意義はゲームを通したプレーの改善であり、疲れた状態でプレーしても、プレーの改善にはつながりません。

では、具体的にどのようにゲームで質を保つのでしょうか?

ポイントは2つあります。それは、レベルの高い相手との試合。そして、プレー時間の調整です。

プレシーズンでは、自分たちのトレーニングの成果を確認するために同じカテゴリーの相手を選ぶことが多いと思います。ですが、それだと試合の質を高めることは難しくなってしまいます。成果を確認したり、ゲームで自分たちの形をより多く実現することが狙いであれば、対戦相手のレベルを下げるのも一つの方法かもしれませんが、フイ・キンタ監督は1部や2部のチームとの試合を多く行なうことで、選手の能力を最大限に引き出すことを狙っています。

プレシーズンの対戦相手には、FCポルトや昨年1部で5位のリオ・アヴェ、8位のボアビスタも含まれております。もちろんこのようなチームとトレーニングマッチをできるのは、監督の人脈の広さがあって実現できるものなのですが……。

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次に、プレー時間の制限という観点から見ます。

7月の上旬は、プレシーズンが始まったばかりで選手のコンディションも整っていません。その上、格上である1部のチームとの試合で90分間クオリティーを保つのはチームとしても個人としても非常に難しいです。そこで重要になってくるのが時間配分です。まず、あらかじめ11人のチームを2つ作っておきます。そして、試合における1チームのプレー時間を45分に制限します。さらに、その45分を3分割します。つまり、15分おきに選手を総入れ替えして各チーム「15分×3セット」のスケジュールでプレーしていきます。そうすることで、プレーした後に15分のインターバルが入るので、個人としても、チームとしても試合中プレーの質を保てるよう工夫をしています。そして、15分毎にプレーを区切ることでプレーの質を保ちます。

プレシーズンの序盤は、このような方法でトレーニングマッチをこなす機会が多いのが特徴です。

今回、記載したプレシーズンの過ごし方はあくまでもフイ・キンタ監督のやり方であって、同じくPTを採用する監督でも大きく異なることもあります。今回、読んでいただいた指導者の方には、今回ご紹介した方法はあくまでもPTに使ったプレシーズンの過ごし方の一つのアイデアとして捉えていただければと思います。

次回は、プレシーズンの後半部分について書いていきたいと思います。

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