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長島 大
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オランダ通信
~Wat is de Hollandse School?~

長島 大
愛知県出身。早稲田大学ア式蹴球部、サラリーマンを経て、2011年8月にオランダに渡る。様々なアマチュアクラブで研修、監督として経験を積み、現在オランダ最古のクラブ、De Koninklijke Haarlemsche Football Club(オランダ3部)のU17の監督として活動中。オランダサッカー協会公認レベル3(UEFA C)、日本サッカー協会公認C級を保持。
ホームページ http://dai-nagashima.com/

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■190ページのレポート パート2 ~選手成長の4原則~

2018.10.04

前回はレポートの冒頭に書かれている内容について簡単に紹介しました。
今回は子どもたちを成長させるために必要な、4つの原則について紹介します。

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これは当たり前のことかもしれませんが、サッカーをプレーする子どもたちに「もっとサッカーがしたい」と動機づけをすることが非常に重要で、そのためには子どもたちの求めるものや、子どもたちの好みをつかんで物事を考えることが大切です。レポート内のある研究調査によると、大人と子どもには、試合に関わる構造に大きな違いが見られると報告されています。具体的には、大人の場合にはルールを軸にプレーがなされ、ルールの構造自体が非常に重要で、さらに自分自身のレベルによってプレーできる時間が決まってしまうとされています。一方、子どもの場合は、ゲームの楽しさにできるだけ関与することが目指されています。いわゆるアクションをすること、プレーすることが重要というわけです。そして最終的に、子どもたちの試合では4つの原則が満たされていることが重要であると結論づけられました。

1、 広範囲に渡るアクションと得点が取れること
2、 試合において個人的な関与が多くあること
3、 得点するチャンスが多いこと
4、 友だちを作れる可能性があること

プレーの成果(勝敗)はさほど重要ではなく、スキルの向上と積極的な社会的関わりのほうが重要であるということが報告されています。これらの4つの原則に沿って試合形式を考え、変更することで、内在的な動機を刺激するのが可能となるわけです。

内在的な動機づけによる成長とは別に、遊び要素の強いプレーは、サッカーにおいて重要とされる状況を認知する力と運動能力の成長とに相関関係があり、より効果的だと言われています。例えば10歳から12歳のバスケットボールプレイヤーの場合、大人のバスケットボールに見られるルールにしばられたゲームに参加していた選手と、ルールにしばられることなく自由にアクションができるゲームに参加していた選手とでは、戦術的なクリエティブさに差異が見られ、後者のほうがよりクリエティブな選手に成長していったという調査がありました。

チームスポーツにおいて重要なことは、選択し、プレーを決定する力です。そう考えると試合の形式は、ルールにしばられることなく自由にアクションができるものが好ましいと言えます。これを踏まえた上で、オランダサッカー協会は試合を行う人数、フィールドの大きさ、ゴールの大きさ、さらにルールを考えたのです。

さらにこの試合形式の決定に関しては、心理学の面からもアプローチがなされました。ロシアの心理学者レフ・ヴィゴツキーによって提唱されたZone of Proximal Development(発達の最近接領域:子どもが自力で問題解決できる現時点での発達水準と、他者からの援助や協同により解決可能となるより高度な潜在的発達水準のずれの範囲)の考えから、子どもの成長過程においてはリーグ戦などにより、競争意識よりも子どものモチベーションを高めること、自信を植えつけること、向上できる点を差し示すことのほうがはるかに重要という調査が報告されました。つまり、他者からの援助や協同により、その子どもがより成長できる可能性があるとういうわけです。よってU10までは試合の結果や順位表が公開されません(オランダで行われる公式戦はすべてオランダサッカー協会によって管理されており、ホームページや公式アプリでプログラム、結果、順位、選手の名前を確認することができます)。

こういったように、さまざまなアプローチと工夫によってオランダは時間を掛けて本気でトップに戻ろうと考えているのです。

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