2016年ヨーロッパ選手権、2018年ワールドカップの予選でそれぞれ敗退してしまったオランダ代表は岐路に立たされていました。2016年ヨーロッパ選手権の予選敗退が決まった瞬間から、オランダサッカー界ではさまざまな議論が始まったのです。議論の論点は、どのようにオランダサッカーを成長させ、どのようにしてトップレベルまで戻るかでした。
そのテーマの一つに選手の育成が挙げられました。選手育成の国として定評があったオランダですが、現在、Top of Topの選手は見当たりません。ロッベン、スナイデル、ファン・ペルシーに次ぐ選手が全く育っていないのです。
今回は、オランダが数年取り組んでいる育成改革の一つである「JEUGDPLAN NEDERLAND」について紹介したいと思います。
JEUGDPLAN NEDERLANDとは、オランダサッカー協会の才能溢れるコーチやスカウトがアマチュアクラブを訪れ、タレントを発掘するといったものです。ここで彼らの目に留まった選手たちは、オランダサッカー協会による練習と試合に招待されます。日本でいうトレセンに近い活動です。この活動にはコーチとは別に理学療法士やマネージャー(主務のような役割)がそれぞれチームに付き、理学療法士は体の成長とサッカーにおけるフィジカルの向上についてコーチとは違った視点で指導を行い、マネージャーはチーム全体がうまく進んでいるか、ストレスなくチームが活動できているかを見ながら物事をオーガナイズしていきます。こういったスタッフと最適な方法によって、選手が成長することを助けていくのです。
自分が関わった選手もこのチームにセレクトされ、トレーニング、試合、各地域とのトーナメント戦に参加していました。さらにこのチームを見に来ていたプロクラブのスカウトの目に留まり、そのクラブの練習に参加する機会を得ていました。
そして、このJEUGDPLAN NEDERLANDにおいて注力していることは、生物学的年齢と暦年齢を見分けてタレントを発掘するといったことです。例えば、状況判断に優れ、テクニックはあるが、体が小さく、競り合いでいつも負けてしまう選手がいた場合、年齢・生まれた月を見て、選手を判断、セレクトするということです。こういった選手を「Future」として分類し、成長を見守るのです。
オランダではこういった改革が少しずつですが進んでおり、実を結んでいます。近いうちにドイツのようにトップレベルに返り咲くときが来るかもしれません。また、こういった改革についてお伝えできればと思います。 |