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政本 晶生
イングランド

イングランド通信
~Football comes home~

政本 晶生
幼少期からの競技経験を経て、大学院にてスポーツマネジメントを専攻。JFL横河武蔵野FCにて就業後、1年間アイルランドに語学留学。今春よりリバプール大学マネジメントスクールにてサッカー産業学を学ぶため渡英。
論文に「Jリーグ参入過程におけるサッカークラブの経営戦略」がある。
http://www.akiomasamoto.com/

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■【後編】ヒルズボロの悲劇・25周年記念追悼式典

2014.5.14

リバプールFCの選手や監督、スタッフも参列し、式典は14時45分から始まりました。

最初に、ヒルズボロの犠牲者のご家族の入場を大きな拍手で迎えます。ご家族の中には亡くなられた方の名前を書いたバナー(サッカーの応援でよく見られる横断幕)を掲げている方もいて、そのバナーが見えると拍手は一層大きくなりました。

続いて厳かに追悼の歌を合唱しました。入場時に式典のプログラム内容と歌詞が書かれた冊子が配られていたので、初めて聞く曲でしたが歌詞の意味を考えながら聞くことができました。

次に96名の名前を一人ずつ丁寧に読みあげていきました。名前が読まれる度に、式典用に用意されたサークル型のモニュメントに一つずつライトがともりました。96名の名前が呼ばれた後、事故が起きた時刻と同じ15時6分から1分間の黙とうが行われました。補足ですが式典の前の週末に行われたイングランドのほぼすべての試合が7分遅れでキックオフされました。これはヒルズボロの犠牲者に対して本来のキックオフの時間から6分後に黙とうするために変更されたものでした。

多くの会場で追悼の意が表され、特にウエンブリースタジアムで行われたFAカップ準決勝アーセナル対ウィガン(事故が起きたのもFAカップ準決勝)では96名分の席を空席にし、そこに一つずつリバプールFCのマフラーを掛けていました。これにはテレビで見ていて胸を打たれました。

もう一度歌が歌われた後、エバートンのマルティネス監督によるスピーチがありました。

「エバートンはいつでも96人と共にある」

リバプールFCとエバートンは地元のライバルチームではありますが、マルティネス監督の言葉に目頭が熱くなりました。式典の翌日にエバートンのスタジアムで行われた試合では、青と赤のマフラーをつないでリバプールの2つのクラブの絆を表すセレモニーが行われました。

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リバプールの2クラブの絆の示す「青と赤のマフラー」を持つ人々
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リバプールFCとエバートンのロゴ半分ずつで作られたバナーも

歌をはさみ、続いてリバプールFCのロジャース監督のスピーチがありました。大きな拍手と喝采で迎えられたロジャース監督のスピーチは、マルティネス監督への感謝を述べるところから始まり、リバプールFCの偉大なレジェンドたちのことに触れ、リバプールFCの監督として一時も96人とその家族のことを忘れたことはないと話し、最後に「You'll Never Walk Alone」の言葉で締めくくりました。

リバプールFCのユニホームの背中には炎のマークと共に「96」の文字が入っています。

普段は正直そんなに意識していませんでしたが、そのユニホームを着てリバプールFCの選手は96人と共に戦い、ファンは96人と共に応援しているのです。

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リバプールFCのユニホームの背中には「96」の文字が入る

そこから関係者のスピーチが続き、最後に96個の紅い風船が空高く上がっていくのを見届けながら、全員で「You'll Never Walk Alone」を歌いました。あの日からこの曲はただの応援歌ではなく、特別なものになったのではないでしょうか。

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96個の紅い風船が空高く放たれた

こうして約1時間半にわたって厳かに行われた追悼式典に幕が下りました(※式典の模様はリバプールFCの公式サイトから無料で見ることができます)。

さらに式典の翌週には往年のレジェンドたちによるチャリティーマッチも行われました。全員の背番号が96番。この試合で集まった収益は、ヒルズボロファミリーサポートグループに全額寄付されるとのことです。

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ダルグリッシュやラッシュ、ファウラーやオーウェンといった、
リバプールFCを代表するレジェンドが96番を身につけて試合

25年前、普段どおりただスタジアムにサッカーを見に行っただけで、帰らぬ人となった96人のサッカーファンがいました。一人のサッカーファンとして、決して忘れないでいたいと思います。今では当たり前に思えることですが、サッカーを安全に見て、騒いで、楽しめることに幸せを感じながら、また週末スタジアムに行こうと思います。

You'll Never Walk Alone
Never Forgotten

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石井啓太

熱狂的なリバプールFCファン。愛するリバプールFCの試合をシーズン通して観戦するという15年来の夢をかなえるべく、英国ワーキングホリデービザを取得し渡英、現在リバプールFCの聖地・アンフィールドの近くに住んでいる。
リバプールFC公認の公式サポーターズクラブ「リバプール・サポーターズクラブ日本支部(Liverpool Supporters Club Japan、略称LSCJ)会員。
横浜生まれの横浜育ち。Jリーグは湘南ベルマーレファン。
Twitter: @koptaish

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