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政本 晶生
アイルランド

アイルランド通信
~What's the craic?(やぁ、楽しんでる?)~

政本 晶生
武南高校および市立習志野高校にて高校4年間をサッカーに費やしたあと、大学ではフットサルを競技で行いながらAS ROMA FUTSAL JAPAN TOURなどスポーツイベントに携わる。それらの経験を活かしスポーツマネジメントの世界へ。大学卒業後はJFL所属の横河武蔵野FCで働きつつ、筑波大学大学院人間総合科学研究科スポーツ健康システム・マネジメント専攻に進学。3年間の社会人生活および体育学修士取得後、2010年度よりアイルランドに留学、現在日々英語と格闘中。

アイルランド

■ボーイズ・イン・グリーンの逆襲

2011.4.26


3月26日アビバ・スタジアム(AVIVA Stadium, Dublin)で行われたユーロ2012予選・アイルランドvsマケドニアの一戦は、ここまで1勝にとどまっているマケドニアに対し、アイルランド優位との報道がなされていました。しかし、ロシアに次いで2位に甘んじているボーイズ・イン・グリーン(The Boys in Green)は、この試合に勝利し首位のロシアに食いつく必要がある上、予選を突破すれば1988年以来の出場となるユーロ本戦の切符を何としても手にしたい国民の願いが、のしかかっています。

アイルランド、ロシア、スロバキア、アルメニア、マケドニア、アンドラで争われているグループBは大混戦。勝ち点9のロシアを勝ち点7で追うアイルランド、さらには3位のスロバキアも勝ち点7と、どのチームが予選突破してもおかしくない状態が続いており、一つの勝敗によって順位に変動が生じます。

ましてやアイルランドのホームゲーム。国内経済に加え、前回の通信で記載したように、トラッパトーニ監督の健康問題など、暗いニュースを吹き飛ばすためにもボーイズ・イン・グリーンにかかる期待は大きいものでした。

観衆はロシア戦の超満員に比べれば少し物足りない感がある32,000人。しかし当然テレビでも生中継され、重要な一戦はスタートしました。トッテナムからウエストハムへ移籍し、本来の調子を取り戻しつつあるエース、ロビー・キーンはこの日もキャプテンとしてスタメン出場しました。

試合は開始早々に動きました。前半85「秒」。ヘディングの跳ね返りボールをケヴィン・ドイル(ウォルヴァーハンプトン)が前線でキープし、ゴール前左にいたエイデン・マクギーディー(スパルタク・モスクワ)に横パス。ゴール前左のアタッキングゾーンでボールを受けたマクギーディーは中に一度切り込み、即座に強烈なシュートを放ちゴール。これが意外(?)にも、マクギーディーの代表初ゴールとなりました。

マクギーディーは、セルティック時代、中村俊輔(横浜FM)のチームメートで、2008年度にスコットランドリーグMVPにも選ばれた免材。代表チームでも左サイドを不動のものとしています。

前半21分には、ゴール前のダロン・ギブソン(マンチェスター・U所属。現在ウォルヴァーハンプトンにレンタル)の直接FKのこぼれ球を、素早く反応したキーンが押し込み2点目を奪いました。前回のスロバキア戦で勝ち越しのPKを外して批判にさらされていたキーンでしたが、このゴールはまさに経験がものをいう動きでした。ギブソンが蹴った瞬間に即座に動き出し、GKがハンブルした際に反応していたのは両チーム合わせてキーンだけでした。限界説を払しょくする、自身の代表通算46ゴールにキーンも喜びを爆発させました。

またこの試合では他の明るいニュースも生まれました。後半42分に、キーンと代わって次世代を担う20歳の若手、ジェームス・マッカーシー(ウィガン)が代表初デビュー。「緊張はなかった」と強気の発言をするなど今後の活躍が楽しみなホープが誕生しました。

試合は前半45分に1点を返されるものの、そのまま2-1で逃げ切きり、ボーイズ・イン・グリーンは勝ち点10に伸ばして同日引き分けたロシアに並びました。

勝利に酔いしれるサポーターたちは、歌を歌いながら、そして肩を組みながら、意気揚々アビバ・スタジアムからの帰途についていました。電車の中でも歌い、知らない人同士でも試合の話題で盛り上がる姿には、スポーツ文化の成熟と、アイルランド人の代表チーム、そして母国への愛情を感じざるを得ませんでした。

私はこの1年間をヨーロッパで過ごせたことで、たくさんの試合を観戦でき、そしてワールドカップ優勝時のスペイン人のお祭り騒ぎ、さらには足を運んだ南アフリカで、各国の誇りを持ったサポーターと交流することができました。そしてそれらはいつも私の頭に、あるイメージがよぎらせます。

サッカークラブの練習場やスタジアムは顔馴染みの仲間が集い、交流の場となり、己のクラブを応援する。クラブ・代表チームのアイデンティティーは、仲間とともに一喜一憂する空間を創り出し、シェアをすることができる「生活文化」なのです。そんな空間が日本にも育ち、私たちが大切に成熟させていけたらというイメージです。

さて、皆さまに報告があります。短い間でしたが、今回を持ちましてアイルランド通信は終了となります。通信によって、どの程度アイルランドに興味を持ってもらえたかはわかりませんが、もしも楽しく講読してくれた方がいたとしたら、それに越したことはありません。読者の方々には深く御礼申し上げます。

また、拙筆ながら自由に通信を書かせて下さったストライカーDXのスタッフの方々にも、この場をお借りして厚く御礼申し上げます。本当にありがとうございました。今後は第一回の通信で書いたように、サッカー界最高のマーケットであるヨーロッパクラブで働くことを目標に突き進んでいきたいと思います。

困難な目標ということは当然承知の上です。ある人は無謀だと、ある人はどうしてそこまでするのかといいます。しかしあきらめなければ必ず達成できると信じてやみませんし、そのすべてのエネルギー源はサッカーを愛する心でしかありません。私は友人であるスペイン人、イタリア人、ブラジル人、イギリス人、ドイツ人、そしてアイルランド人にすら、サッカーの話になると堂々「私は君ら以上にサッカーが好きだし、サッカーに賭けている」と胸を張って言い続けました。長友佑都が世界一のサイドバックを目指しているのであれば、私は世界で通用する一流のクラブマネージャーになるのが目標です。自身の能力を高め、そしてアウトプットできる日が来たときには、持てる力すべてを発揮し、サッカー界に貢献したいと思います。それではまた、どこかでお会いできる日を楽しみにしています。皆さまのご健康と夢の実現を心より祈願して―─

2011年4月8日
政本 晶生

 

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