平成29年度全国高等学校総合体育大会
サッカー競技大会 男子 決勝
流通経済大学附属柏高校-日本大学藤沢高校

2017年08月07日

平野貴也(フリーライター)取材・文・写真

17年8月4日(金)13:30キックオフ/ユアテックタジアム仙台/観客6000人/試合時間70分
流通経済大学附属柏高校
1 0-0
1-0
0
日本大学藤沢高校
関川郁万(前半20分) 得点者  

経験値の差が、どちらに転んでもおかしくないゲームの勝敗を分けた。ショートパスを捨てて堅守速攻に割り切った流経大柏が試合の主導権を握ったが、劇的な逆転勝利の連続で勝ち上がってきた日大藤沢は、よくもちこたえた。どちらも決定機を作れない中、セットプレーやロングパスから一発を狙う展開が続き、延長戦突入かと思われた。しかし、後半終了間際、流経大柏は右サイドからのスローインを受けた⑭熊澤和希が冷静なコントロールからシュートを決めて値千金の決勝点をマーク。粘る日大藤沢を振り切り、9年ぶり2度目で単独では初となる優勝を飾った。

堅守速攻を徹底できた流経大柏
日大藤沢の良さを出させずに勝利

流経大柏の堅守速攻は、徹底されていた。前半7分、左MFで先発した⑫石川貴登が切り返しからミドルシュートを放ってクロスバーを直撃。素早い攻撃でゴールを襲った。ロングパスで相手を下げさせ、中盤でボールを持てるようになっても、トップ下の⑩菊地泰智が細かいパス回しで何度かボールを触る程度で、サイドから最前線や対角への浮き球で、相手守備ラインの背後を徹底して狙った。

日大藤沢は、試合に慣れたら相手に付き合わず、パスをつないで崩す攻撃に転じたいところだったが、できなかった。主将の④安松元気は「守りに徹してしまって、攻撃の主導権を握れなかった」と悔しがった。何度か、セカンドボールを拾って、サイドを起点に攻撃を仕掛けられそうな場面はあった。しかし、相手の守備と、初めての大舞台による緊張とが体にまとわりつき、特徴を出せなかった。

日大藤沢の右MF⑪桐蒼太は「正直、手応えはないです。全部、相手に押されて、自分たちのサッカーがまったくできませんでした。相手の威圧がすごかったし、決勝という舞台で今まではできていた自分のプレーが出せないところがたくさんあった。威圧感は、準決勝で対戦した市立船橋よりもすごくて、最初からガンガン来られて対応し切れずに押し負けていた。僕たちはボールを回して、相手を崩して勝つスタイルなのに、相手が蹴ったら蹴り返して、相手のサッカーに飲まれてしまった」と余裕を失っていたことを明かした。

流経大柏が試合を押し切れた最大の理由は、守備力だ。相手のターゲットには対人戦に強いディフェンダーをマンマークでつけ、起点を作らせずにプレスをかけてパスをつながせず、素早くボールを奪い取った。ロングパスを多用するためにボールを失いやすいが、それだけに伝統であるプレッシングを徹底していた。④宮本優太、⑧宮本泰晟のダブルボランチに加え、トップ下の⑩菊地がプレスバックをかける中盤で、相手に自由を与えなかった。

流経大柏が前半のチャンスを決められず、後半勝負の日大藤沢に試合の流れが傾いた時間帯もあった。しかし、本来の攻撃のリズムを失っている日大藤沢の攻撃は、ややぎこちなかった。右コーナーキックの折り返しに飛び込むチャンスなどはあったが、相手を引き出して崩すだけの余裕は最後まで持てなかった。しかも、流経大柏は⑤関川郁万が「あの時間帯は、割り切ってやらないと危ないと思った」と試合の流れを敏感に読み取り、セーフティープレーを徹底。そして後半20分が過ぎると、窮地をしのいだ流経大柏がセットプレーの集中砲火を浴びせて、反撃。後半31分に右からのスローインを⑭熊澤和希が決めて勝利をつかみとった。

流経大柏にとっては、準優勝に終わった前回の悔しさを晴らす優勝となった。一方、敗れた日大藤沢にとっても、実りある大会だった。優勝候補に挙げられた昌平高校(埼玉)や市立船橋を破り、決勝も接戦。主将④安松は「(準決勝で破った)市立船橋や、流経大柏は、常に相手がチャレンジャーの気持ちで向かって来る中で、勝ち切る力を持っている。自分たちが同じ場所に立てたことは良かったし、今度は神奈川県予選でほかのチームが僕たちに挑んで来る。僕たちも結果で跳ね返せるように、成長していきたい」と成長の糧を持ち帰った。

大舞台で、うまくいかなくてもやることを徹底できた流経大柏と、初出場の緊張感との戦いを隠せなかった日大藤沢。置かれた立場がわずかな差を生んだが、力量の面では大会全体を振り返っても大差がない。冬の高校選手権に向けて、各チームがどのような成長を見せるか、楽しみだ。

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