ワールドカップアジア2次予選
兼 アジアカップUAE2019予選
日本代表-カンボジア代表(1)

2015年09月04日

菊地芳樹、川原宏樹、松岡 健三郎(本誌)文・構成・写真

15年9月3日(木)19:03キックオフ
埼玉県・埼玉スタジアム2002/観客57,533人/試合時間90分
日本代表
3 1-0
2-0
0
カンボジア代表
本田圭佑(前半28分)
吉田麻也(後半5分)
香川真司(後半16分)
得点者  

6月に行われたシンガポール戦と同様に、カンボジアはゴール前を固めて失点をしない戦術を取る。前半の日本は右サイドから多くのチャンスを作りだすも、思うようにゴールネットを揺らすことができずに選手、観客にも緊張感が増していった。しかし前半28分に、本田圭佑の豪快なミドルシュートが突きささる。これでゴールラッシュののろしになるかと思ったが、その後も決定機の数は増えても得点数を積み上げることはできなかった。後半に吉田麻也の地をはうミドルシュートで追加点を挙げると、香川真司にも待望のゴールが生まれる。だが、それで打ち止め。シュート数34本に対して、ゴール数はわずかに3。決定力不足を明るみにした試合となった。

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酒井宏樹と本田圭佑のコンビで右サイドを崩した

サイドを崩してクロスを入れても得点できない理由

菊地 中途半端な勝利でしたね。

松岡 ガンボジアのゴール前がだいぶ混み合っていました。16メートル以内に10人もいて守られたら入るものも入らない。

菊地 ハリルホジッチ監督が「16メートル以内に…」っていっていたけど、これはペナルティーエリアの距離ってことだね。

川原 フットサルコートみたいなものですね。

菊地 今日はシンガポールにも増して引かれた感じだった。日本の一般のプレーヤーのみなさんも、同じような状況になるときってあると思うけど、そういうときにはどうやって崩せばいいんだ、どうやって点を取ればいいんだというのを感じながら見た代表戦だったのではないでしょうか。

松岡 ハリルホジッチ監督がいっていたのは、サイドで三角形のポジションを作って崩すことと、ミドルシュート、あとサイドからファーサイドの奥に入れるクロスボールですね。ただ、そこから折り返しのヘディングが全く合っていませんでした。

菊地 ファーサイドにクロスを入れて、ファーサイドから折り返したところを中央で合わせるというのが理想だったんだろうね。サイドの三角形の崩しは、特に右サイドができていたよね。

川原 長谷部誠と酒井宏樹と本田圭佑ですね。酒井宏樹もそこは「よくできました」というようなことをいっていました。「狙いどおりにうまく合ったクロスも3本あったけど1本も入らなかった」というようにコメントしていました。

菊地 アシストしたかったんだろうね。結構、走っていたもんね。

川原 「回を増すごとに精度も上がっていく」ということもいっていましたね。

菊地 逆に左サイドは、そんなにスムーズに崩したような印象はなかったけどね。

川原 前半の途中に、カンボジアの左SBが交代して日本の右サイドをケアされ始めた。そうすると、逆に左サイドが空いてきたので、後半は左サイドから攻めるようにするというチームの意図だったようです。

菊地 交代で左サイドの守りが強くなったってこと?

川原 「それで対応されるようになってきたので、後半は本田や香川真司のようにボールを持てる選手をサイドに置いてゲームをつくろうという意図で、香川と武藤嘉紀のポジションをチェンジしただろう」と岡崎慎司がコメントしていましたね。

菊地 ただ、サイドを攻略してクロスを入れました。それがはね返されてばっかりだったね。

川原 その形から1点も入っていませんからね。結局はミドルシュート2本とこぼれ球の1点だけ。

菊地 それはなんでなんだろう? 相手のほうが人数がいっぱいいて、そのいっぱいいるところに突っ込んでいているだけで、岡崎や武藤のところまでなかなかボールが届かなかったよね。クロスが悪いのか、中で合わせるほうが悪いのか……

川原 どっちもじゃないですか。

松岡 どっちもですよ。クロスもアバウトなんですよ。とにかく蹴るという感じで、(ピッチレベルでは)ゴール前を見ているのかと感じましたよ。理想は、この間ドルトムント−ヘルタ・ベルリンの試合で香川がアシストしたクロス。ショートコーナーからだったんですが、中へ走りこむ選手のスピードとクロスのボールのスピードがすごく合っていました。そういうところが適当だったんですよね。会見でもクロスの精度について監督が言及していましたが、そのあたりを上げていかないとサイドを崩して終わり、になる場面が多くなりますよね。

菊地 サイドのところで一度止まってしまって、そこからもう一度動き直して崩してクロスというのでは、ゴール前が固まってしまうからうまくはいかないよね。やっぱり早くいけるなら、そのタイミングで入れたほうがうまくいくケースが多い。ブンデスリーガとかでも日本人選手の活躍を見るけど、そのあたりのノッキングがないでしょ。ダーっと走っていって、ポンと入れて、そうするとゴール前にうまくタイミングを合わせて走っている。それが決まる絶好のタイミングで、スペースもまだあるときに、切り返しをして止まってしまう。そうなるとなかなか入らないよね。

松岡 カンボジアが最終ラインを上げてくれればよかったんですけど、最終ラインはほぼステイのままで深い位置まで人が残っていましたから、はね返されてしまうだけでした。

菊地 ボールを持っていてもなかなか点が入らなかったというのは、そういうシーンが多かった。クロスを待つ選手が先にペナルティーエリア内に入って待ってしまっている状況が多かった。その状況からフェイクをかけてマークを外すようなことをやっても、ゴール前は2対4くらいの状況だから無理があるよね。それと監督は、「2人が並んでクロスを待ってしまっていた。たまには、マイナス方向でクロスを受けるような動きが必要だった」といっていた。

川原 クロスからシュートにつながったシーンを武藤が2本ほど作りだしていました。それを合わせたのはマイナスの位置でした。最終ラインより手前のスペースを使って、そこに入ってきたところにうまく合わせていました。

松岡 あとは、右サイドでは本田、左サイドでは長友佑都と武藤が、利き足に持ち替えてからクロスを入れていました。そのあたりのタイミングもあると思うんですよね。

菊地 一度、切り返すと中で合わせる選手は、行きかけたのにもう一度動き直さなければならなくなる。それは、なかなか難しいよね。そこでペナルティーエリアの外へ戻ってもう一回行くというのは、ものすごいスプリントになるから難しいよね(笑)。

松岡 だから、アウトサイドキックでのクロスとかを覚えないと厳しいですよね。利き足に持ち替えてせーので入れているので、相手もタイミングが合わせやすくなり、せーのではね返されてしまう。

川原 その状況になってしまうと、こちらは助走がないのでヘディングも勝てないですからね。

菊地 そう! それだったら、豊田陽平とかハーフナー・マイクとか使えばいいのに! って話になる。

松岡 カンボジアの選手は身長が大きくなかったので、もったいなかったですよね。

菊地 そういう人選はちょっとと思うところがあるよね。

松岡 岡崎は岡崎でいいんですけど、あの戦術なら身長の高いヘディングの強い選手の2トップのほうがよかったですよね。

菊地 そうなる現象は十分に予測できたわけだからね。まあともかく、クロスに対しては「点で合わせにニアに行く人、それを見て「線でカバーしにファーに行く人、さらにマイナスのスペースと、3カ所に飛びこむと。でもこれって、日本サッカーがプロ化する前からの常識なんだけどなあ。

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