第97回全国高校サッカー選手権大会 全試合完全レポート

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第97回全国高校サッカー選手権大会
3回戦 青森山田-大津

2019年01月03日

篠幸彦(フリーライター)取材・文
高橋学 写真

19年1月3日(木)14:10キックオフ/神奈川県・等々力陸上競技場/観客10,699人/試合時間80分
青森山田
3

2-0
1-0

0
大津
佐々木銀士(前半19分)
檀崎竜孔(前半23分)
藤原優大(後半27分)
得点者

前半19分、青森山田がセットプレーから⑨佐々木銀士が先制点を挙げると、続く23分に⑩檀崎竜孔が追加点を決めて流れを一気にものにする。後半に入り、大津も⑨大崎舜、⑧大竹悠聖、⑩水野雄太ら攻撃陣が果敢に攻め立てた。それに対し、青森山田は⑥天笠泰輝や⑤三國ケネディエブスを中心に強固な守備で決定機すら作らせない。そして後半27分に⑰藤原優太が決定的となる3点目を決め、青森山田が3−0で大津を退けて準々決勝へ進出した。

実績と経験に裏打ちされた
青森山田の強固な守備

名門校同士の注目カードは青森山田が攻守に渡ってハイパフォーマンスを発揮し、大津に3−0と完封勝利を収めた。とくに強力な大津の攻撃陣にほぼチャンスを作らせなかった強固な守備は際立っていた。

前半19分に青森山田は中盤中央でFKを得る。「あの位置からのFKはよく練習していた形」(青森山田⑨佐々木銀士)と、⑦武田英寿がペナルティーエリア中央に送ったボールを⑨佐々木がバックヘッドで鮮やかにゴールへ流し込んだ。「自分はオフサイドラインでの駆け引きをしながら、オフサイドにならないようにストーンの前に入って来たボールを少し触れと言われていた」と⑨佐々木が狙いを話す。「GKはなかなか前に出てこられない」(青森山田・黒田剛監督)という大津のウィークポイントを見事に突いた狙い通りの点だった。

そして直後の23分には⑥天笠泰輝からのロングボールを巧みにトラップした⑩檀崎竜孔がDFをかわして冷静に右足で決めて2−0とする。しかし、ここで青森山田イレブンはさらに気を引き締める。「インターハイで昌平に負けたときも前線の選手が守備をサボってしまって、2−0から逆転された。今日も前半2−0と同じシチュエーションだった。絶対にここは失点しないと全員で守備をしようと話していた」(青森山田⑨佐々木)。インターハイでの苦杯が一瞬の気の緩みも産まなかった。大津は前半シュートを1本も打てずに終える。

しかし、後半になると大津は攻勢を強め、青森山田が押し込まれる時間帯が増えてくる。そんな展開にも選手たちが慌てることはなかった。「プレミアリーグでも押し込まれる時間帯というのは毎試合あった」(青森山田①飯田雅浩)という経験値が落ち着きをもたらし、大津の攻撃を力強く跳ね返した。なかでも⑤三國ケネディエブスの気迫ある守備は傑出していた。大津のエース⑨大崎舜のマンマークを任された⑤三國は「⑨大崎はプロにいかないけど、自分はプロにいく。そこのプライドがあった」と、完封に大きく貢献した守備に秘めた思いを語った。

まともな決定機を作れない大津に対して、青森山田は後半27分、⑰藤原優太が決定打となる3点目を決めて勝負あり。3−0というスコア通りのゲームだったが、3点を決めた攻撃力よりも、失点ゼロで抑えた守備がとにかく強烈な試合だった。この日、右サイドMFで幾度もドリブル突破で相手を苦しめた⑪バスケス・バイロンが「今日は攻撃よりも守備という意識が強かった」と語った言葉に、選手全員の高い守備の意識が象徴されていた。

準々決勝は矢板中央と対戦する。⑤三國は「⑭望月謙は身長があるので空中戦は絶対に負けない。自分の方が強いという自信を持って臨みたい」とすでに闘志を燃やしている。堅守が持ち味の両校、その牙城をどう崩すのかが注目される。

監督・選手コメント
青森山田・黒田剛監督
前半で2点取れたことが我々にとって追い風になっていい流れで後半に入ることができた。試合前のプランとしてはまずは失点ゼロでいこうと。4月から掲げていたプレミアリーグを通じて、失点をしない、最少失点で抑えるというのが我々のプラン。プレミアリーグ18試合を戦った中で点が取れなかった試合は1試合しかなかった。だから失点ゼロで抑えれば、最後は必ず1点は取れると。そういうことを子供たちに伝えていた。験を担がせてもらうとベスト8で負けたことがないからここは通過するところ。等々力競技場でも負けたことがない。我々は22年連続で出場できているアドバンテージもある。そういうことも含めて勇気を持たせて、しっかりと覚悟を持たせて全力で準々決勝を戦いたいと思う。

青森山田・⑤三國ケネディエブス
FWの⑨大崎が技術もあって身長も高くてキープ力もある。いい選手なので監督からは自分がつぶせないと試合には勝てないと言われていた。そこをつぶせて⑩水野が切り込んできたところも体を張って守れたことが勝利のいちばんの要因だったと思う。チームはディフェンスラインだけで守備、中盤だけで守備ということではなく、FWも含めてチーム全体で守るというスタイル。中盤の⑥天笠が中心となってつぶしてくれて、FW⑨佐々木も前線からコースを限定してくれるので、センターバックも狙いを持ってつぶしにいける。前の選手たちの運動量のおかげで後ろは楽に守ることができた。

青森山田・①飯田雅浩
今シーズンは青森山田がプレミアリーグに参入してから一番少ない失点数できたので、そこから大きくコンセプトを変えることはなかった。青森山田の三本柱でもある切り替え・球際・ハードワークというのを常にできた結果だと思う。今日の場合は⑨大崎が大きくてスピードがあるので、⑤三國がマンマーク気味で付いて、⑪奥原(零偉)には⑮澤田(貴史)が付いてプレーしていた。その中でマークの受け渡しも意識しながら守ることができた。ベスト8でもう強い高校しか残っていない。その中でも無失点で来られているので、次も無失点を意識して自分たちが取られなければ負けることはない。たとえPK戦になっても青森山田は絶対的な自信を持っている。だからこのまま絶対にゼロというのを意識して優勝までいきたい。

青森山田・⑨佐々木銀士
いい守備から入るというのは青森山田のコンセプト。夏に昌平に負けたときも前線の選手が守備をサボってしまって、そこから逆転されて負けた。今日も前半2−0と同じシチュエーションだった。絶対にここは失点しないと全員で守備をしようとハーフタイムで話していた。夏の負けが本当に悔しくて、同じ轍を踏むのは嫌だった。

青森山田・⑪バスケス・バイロン
相手がいくら強豪とはいえ、自分たちが今までやってきたことを全員で信じてやろうという気持ちでやった結果。先制点が決まったときに正直負ける気はしなかった。やることをやれば絶対に勝てるという自信がついた。守備のところでシュートを簡単に打たせないところだったり、大津の前線の4人はすごく速いし、強いのでそこを一人ひとりしっかり封じれば勝てるとわかっていた。矢板中央は前に勝っているというのは関係なく、自分たちはどこよりもキツイことをやってきた自負がある。そこに自信を持って絶対に次も勝ちたいと思う。

大津・平岡和徳総監督
コイントスで前半あっちのサイドを選ぶとは思っていなかった。そういうちょっとした差だと思うが、そういったところを含めて今日は少し相手に勝利の女神が向いていたのかなと思う。ハーフタイムでは風向きが変わるので流れも一気に変わるぞと。とにかくシュートで終わろうと話した。やっぱりうちより向こうの勝ちたいという気持ちが強かった。本当に選手たちはよくやってくれたと思う。プレミア参入戦も含めるとかなり厳しいスケジュールだった。相手に存分にチームを見られてしまうし、参入戦の静岡学園、矢板中央、それから選手権の桐光学園、青森山田とタイトルマッチが4試合続くようなもの。どこが優勝してもおかしくないような相手が続きすぎた。生身の人間ですから、万全ではない選手が増えてきてしまったという我々の責任でもある。今日の試合終了のホイッスルは彼らの次の未来のスタートなので、そういう意味ではポジティブに褒めてあげたい。彼らを誇りに思う。

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