第97回全国高校サッカー選手権大会 全試合完全レポート

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第97回全国高校サッカー選手権大会
1回戦 旭川実-和歌山北

2018年12月31日

河合 拓(フリーライター)取材・文
木鋪虎雄 写真

18年12月31日(月)14:10キックオフ/埼玉県・浦和駒場スタジアム/観客1,420人/試合時間80分
旭川実
2 1-0
1-0
0
和歌山北
山内 陸(前半33分)
山内 陸(後半20分)
得点者  

試合は旭川実がボールを持ち、和歌山北が速攻で得点を狙う展開になる。前半16分に旭川実はPKを獲得するものの、⑩西村歩夢のシュートはGK①得津颯志に止められる。それでも33分、左サイドから中央に入れたボールをつないだ旭川実は、㉗安藤望のヒールパスから⑧山内陸が左足でシュートを突き刺し、1点を先制して前半を折り返した。後半20分にも旭川実はロングスローからゴール前にこぼれたボールを⑧山内が左足で突き刺し、2点目を記録。このまま旭川実が2-0で勝利し、2回戦進出を決めた。

170センチ未満の選手が7人を占める旭川実
次戦はさらなる「全員サッカー」を目指す

キックオフ時、スタンドから見ていても、旭川実の選手たちの全体的な小柄感は際立っていた。メンバーリストを見れば、159センチの⑬石川蒼を筆頭に、168センチの⑦西川知広と⑧山内陸まで、170センチ未満の選手が7人もスターティングリストに名を連ねている。

メンバー表に記載してある身長では、和歌山北の選手たちともそれほど大きな差があるわけではない。だが、対戦した和歌山北の中村大吾監督も、「特別に放り込むような策を講じたわけではありませんでしたが、試合前から高さで優位に立てるイメージはありました」と、旭川実の高さをウィークポイントとしてスカウティングしていたことを認める。

しかし、試合になると旭川実の選手たちは体格による劣勢を感じさせなかった。球際でしっかりと体を相手との間にボールを入れ、確かな技術でボールを運び、相手を動かしながらチャンスを作っていく。2つのゴールシーンも、基本技術の確かさを象徴するものだった。ゴール前の混戦で、⑧山内陸は、「自分の持ち味」という高精度のキックから、ゴールネットを揺らしている。

だが、試合後の⑧山内に満足した様子は少しもなかった。「監督にも『点以外、何もしていない』と言われましたし、自分でもそう捉えているので、次の試合は運動量や守備面でチームに貢献できればと思っています」と、反省の言葉が口を突く。

⑧山内に期待をするゆえに、厳しい言葉をかけた富居徹雄監督も、チーム全員が力を発揮できたとは考えていない。

「何もないんです。偶然、小さいチームになってしまって、本当にないんですよ。エアの部分もそうですし、小柄な選手が多いからといってスピードが速い選手がいるわけでもない。だから、本当に全員でサッカーをするしかないというのが、今年のチームです。そういった意味では、今日はバラバラだったと思います」

選手、監督が、そろって自分たちの力を出し切れなかったと認める旭川実だが、幸いにも勝利した彼らは、自分たちのプレーを示す機会が残された。年が明けて2日には、帝京長岡と2回戦で激突する。

⑧山内も気持ちを切り替える。「僕たちは背が小さくて、セットプレーとかが弱い。しっかり下からつなぐこと。あとは前線からの守備の部分、カウンターのときの切り替えをしっかりするのが、自分たちの良さだと思う。そういう頭を使ったサッカーで、2回戦は勝っていきたい」。

数字上はきれいに見える2-0というスコア。しかし、それに反して残った、自分たちはもっとできるという悔しさが、2回戦以降、旭川実を突き動かす原動力になりそうだ。

監督・選手コメント
旭川実・富居徹雄監督
勝って次に進めるのはいいことですが、改善点はかなりあります。良い試合ではありませんでしたね。硬さもあり、バランスの悪さもあり、仕事をしない選手もいたり、力みすぎている選手もいたりと、初戦だなというゲームでした。そういうところを直さないといけないと思っています。良かったと評価できるのは、3年生が昨年よりも仕事できていたことですね。2年生時の昨年は、仕事ができなかった人が何人もいました。これだけの舞台があるなかで、仕事ができなければ、運営にも北海道の他のチームにも失礼です。でも、3年生がそれなりに仕事をしてくれたと思います。2回戦で対戦する帝京長岡の試合は見ています。力があるので、体を張ってやるしかありません。両方とも大きく蹴るチームではないので、良いサッカーをしたいなと思います。

旭川実・⑧山内陸
2ゴール以外、あまり仕事ができなかったので、得点で貢献できてうれしいです。1点目は㉗安藤(望)が良いところに落としてくれたので、流し込むだけでした。良い感じで自分のところに来てくれて良かったです。2点目はロングスローのときに、中に入ろうと話していました。そうしたら自分のところに来たので、ゴールは見えなかったのですが、蹴ったら入った感じです。CKやFKも蹴っているので、左足のキックは自信があります。帝京長岡は前に強いですし、前線にボールが入ったら攻撃のスイッチが入るので、奪われたところから守備に入ること、前線から守備で仕掛けることが大事だと思っています。

旭川実・⑦西川知広
守備の面では落ち着いて切らさずにできたと思います。目標はベスト4ですが、まだ落ち着きのないプレーがあったので、次に向けて良い準備をしたいと思います。(誕生日の試合だったが?)とりあえず勝つことができて良かったです。帝京長岡戦でも自分たちのサッカーをすれば勝てると思うので、やることをやって勝っていきたいと思います。

和歌山北・中村大吾監督
技術、戦術より、根本的なところで勝てませんでした。奪ったボールをもっとつなぎたかったですね。相手は失ってからの守備が早かった。(GK得津颯志は)PKを含め、危ない場面でよくやってくれたと思います。試合後のロッカールームでは、選手たちに「ありがとう」と伝えました。一緒に選手権に来ることができてよかった。どれだけ準備をしても、人生うまくいかないときもあるということが、今回わかったと思いますが、これを次につなげてほしい。1、2年生には、1年後に帰ってくると伝えました。和歌山でも全国で勝てると次は証明したい。1年後、勝利という忘れ物を取りに来たいと思います。

和歌山北・①得津颯志
自分のやることは、完全にではありませんが、ある程度はできたと思います。でも、ちょっと出せなかったのは悔しいです。(PKストップは?)1点決められたら厳しいと思っていたので、絶対に止めようという気持ちでした。自分が思ったところに飛んで、止めることができました。助走でフェイントをかけてきましたが、先生から『我慢』と言われていたのを思い出し、蹴られるまで待って我慢しました。選手権でも、教えてもらったことをしっかりやろうと思っていました。2点決められましたが、止めた部分ではそれができたと思います。ただ全体的には、もう少しできたんじゃないかと思っています。いつもの自分たちなら競った試合にしたり、勝ち切ったりすることもできたはずです。県予選の決勝は緊張しましたが、この大会は楽しむことができました。今後は大学でサッカーを続けようと思います。

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