第97回全国高校サッカー選手権大会 全試合完全レポート

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第97回全国高校サッカー選手権大会
1回戦 那覇西-駒澤大高

2018年12月30日

篠幸彦(フリーライター)取材・文
松岡健三郎(本誌)写真

18年12月30日(土)14:05キックオフ/東京都・駒沢陸上競技場/観客13,577人/試合時間80分+PK戦
那覇西
1 1-0
0-1
PK
10-9
1
駒澤大高
宮國永遠(後半16分)
得点者 原田大渡(前半36分)

前半、風上に立った駒澤大高が素早い攻守の切り替えから果敢に攻めるも、那覇西の粘り強い守備に苦戦。それでも、前半終了間際に⑩原田大渡が先制点を奪う。しかし後半、今度は那覇西⑪宮國永遠が豪快なミドルシュートで追いついた。PK戦に入ると両校譲らずに最終11人目のキッカーまでもつれ込む。最後は那覇西①新垣凱斗が相手のキックを止めると、その後自ら決めて沖縄県勢5大会ぶりの初戦突破を決めた。

「目の前が開けてゴールが見えた」
那覇西・宮國がスーパーゴールで同点弾
沖縄県勢5年ぶりの初戦突破

「あれはベストゴールだったと思う」。勝利した那覇西・平安山良太監督は教え子のスーパーゴールを笑顔で称えた。

平成最後の選手権の開幕戦。快晴に恵まれた駒沢陸上競技場のピッチには強風が吹き荒れていた。その風を味方につけるように、風上に立った駒澤大高は前半から果敢に前へ出て攻めた。那覇西が蹴るボールは前に進まず、駒澤大高の激しいプレスに苦しんだ。ただ、那覇西が大きく崩れることはなかった。

「向こうがこちらの気持ちが折れるのを待っていた。根性勝負になると。前半の展開は想定どおりだった」(那覇西・平安山監督)。平安山監督は風下に立つ前半は押し込まれても粘り強く、落ち着こうと選手たちを鼓舞した。パワープレーを受けても、気持ちでは受けに回ってはいけないと、那覇西は耐え続けた。しかし、その粘りが前半終了間際の36分に駒澤大高⑩原田大渡のゴールで破られる。地元の大声援が一気に湧き上がり、駒澤大高に流れが大きく傾いたまま前半が終わった。

沖縄県勢はここ4年連続で初戦敗退している。ハーフタイムで、また敗退の二文字が脳裏をよぎりそうだった。それでも那覇西の気持ちはなんとか持ち堪えていた。「前半はゼロで抑えたかった。でも最低限の0-1で折り返してくれたのは、気持ちが折れなかった要因だった」(那覇西・平安山監督)。

さらに後半13分、エースの⑨高良竜太朗が足をつって交代。同点に追いつきたい那覇西にとっては痛恨と思われた。しかし直後の16分だった。⑨高良が抜けたトップに右サイドMFからポジションを移した⑪宮國永遠が、後方からのロングボールを中盤中央で受けるとすぐさま反転。そこへ駒澤大高④稲井宏樹が素早く詰め寄るが、⑪宮國は冷静に股抜きでかわした。次の瞬間、目の前に空いたスペースにボールを持ち出し、右足を一閃。「相手を一人かわして顔を上げたら目の前が開けてゴールが見えた。あとは体が自然と反応した」(那覇西・⑪宮國)。迷いなく右足から放たれたボールは、やや右に曲がりながら鋭くゴールネットに突き刺さった。誰の目から見てもスーパーゴールだった。

「決まった瞬間、何も聞こえなかった。でも沖縄から応援に来ているみんなと分かち合いたくて、みんながいるスタンドに走っていきました」(⑪宮國)。起死回生の一発を決めた那覇西は息を吹き返し、風上の力も借りて駒澤大高へさらに攻め立てた。

だがゴールは奪えず、試合はPK戦へ突入した。互いに1本ずつを外し、サドンデスは10人目まで決め続けて譲らなかった。そして最後の11人目の駒澤大高キッカー①宮崎雅崇のキックを那覇西①新垣凱斗は残した左足ではじくと、その後自らがキッカーとなりゴール左上角へ豪快に決めた。

「沖縄県勢は4年連続初戦を突破できていない。その歴史を自分たちの代で変えるという気持ちで臨んでいた」という⑪宮國の入魂の一発が望みをつなぎ、沖縄県5大会ぶりの初戦突破を手繰り寄せた。

監督・選手コメント
那覇西・平安山良太監督
みんなには色気を出さずに、今日ははっきりとプレーして、チームが落ち着いてきたときにはビルドアップからボールをつないでいこうと。前半は序盤から押されている形だったけれど、少しずつ形が見えていたので1点は取られたんですけど、後半は何回かチャンスにつなげられると思っていた。PK戦は3年生を並べて気持ちでという形だった。でもずっと頑張っていた⑤比嘉来揮が外した。でもそこで心折れることなく、最後11人目まで丁寧にということでやれた。置きにいくとか、悔いの残るようなキックはするなと話していた。那覇西は高校の代表ではあるけど、本当に沖縄県の代表として気持ちを込めながらプレーしようということで臨んだ。

那覇西・③東舟道尚吾
自分たちはどこのチームよりも練習してきたので、自分たちを信じてやるだけだった。インターハイを落としているので夏休みは厳しい走り込みや2部練をやって、そこを乗り越えてきたから今の自分たちがある。駒澤大高はパワープレーをしてくるとわかっていたので、練習から意識してやってきて焦りはなく、粘り強くやれたのがよかった。沖縄の歴史を変えられたのは自信になる。駒澤大高は応援団が多いというのは、YouTubeにあがっている動画を見て知っていた。抽選会後に東京予選決勝があって、そのときも見ていたので相手の応援団のイメージはできていた。

那覇西・①新垣凱斗
PKになったら緊張するより楽しみたかったので、結構楽しんでやることができた。最後まで回ってきたのでこれで必ず止めて、自分が決めて勝つと。自分が持っていく気持ちで臨んだ。

那覇西・⑪宮國永遠
あの観客の中で勝ててうれしい。正直、駒澤大高のホームといえる駒沢競技場では、9割は相手が勝つと思っていたと思う。4年連続、沖縄県勢が初戦を突破できていなくて、でも自分たちの代でその歴史を変えるという気持ちで東京に入って、良い準備ができて今日の結果が出たんじゃないかと思う。1失点しても負けると思っていた人はピッチに立っていなかったと思う。1点取られても2取ればいい。もう一度チーム全体で勝ちにいこうと思っていた。昨日からずっとイメージして、今日自分が試合を決めてやろうと思ってプレーした。

駒澤大高・大野祥司監督
前半は地に足が着いていない感じだったが、先制して(失点)ゼロで折り返せた。向こうは後半スイッチを入れてくることはわかっていた。ハーフタイムに修正して後半はよかったと思うが、あの流れでやられてしまった。後半は風下ながら点を取りに行って逆にやられそうな場面もあったので、なんとかしのいでチャンスを伺って追加点を取れればと思っていた。

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