第95回全国高校サッカー選手権大会 全試合完全レポート

PUMA

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第96回全国高校サッカー選手権大会
3回戦 明秀日立-大阪桐蔭

2018年01月03日

森田将義(フリーライター)取材・文
新井賢一 写真

18年1月3日(水)14:10キックオフ/東京都・駒沢陸上競技場/観客4,507人/試合時間80分+PK戦
明秀日立
1 0-0
1-1
PK
5-3
1
大阪桐蔭
荒井慧伊大(後半21分)
得点者 菊井悠介(後半1分)

地力で上回る大阪桐蔭が立ち上がりから、パスをつなぎ、試合の主導権を握ったが、明秀日立の堅守を崩せないまま前半を終えた。試合が動いたのは後半開始すぐ。左クロスから放った⑦北田大亜のシュートのこぼれ球を⑪菊井悠介が蹴り込み、大阪桐蔭が先制した。しかし、後半10分に明秀日立が3人の選手を変えて、攻勢を強めると、21分には交代で入った㉘橋本光希のパスから㉗荒井慧伊大が同点ゴールをマーク。以降はスコアが動かず、PK戦に突入すると、5人のキッカーが成功した明秀日立が勝利した。

「見られている」がプレッシャーに
優勝候補・大阪桐蔭がまさかのPK負け

6月の近畿大会で優勝を果たして以来、公式戦での負けは1度のみ。優勝候補との声も多かった大阪桐蔭がまさかの形で、選手権の舞台から姿を消した。

2回戦の羽黒で、5点を奪った勢いそのまま試合に入りたかったが、前半は自らに与えられたポジションや役割を超えたプレーができず、「ダイナミックさはどこにいったんだと思いながら、試合を見ていた」(永野悦次郎監督)。しかし、ハーフタイムに修正を施した後半は「動く量と考える量が増えた」(永野監督)ことで積極的にチャレンジできる場面が増加。後半1分に奪った先制点はまさにチャレンジが生きた例で、勢いよく左サイドを仕掛けた⑨大深拓海のクロスから⑦北田大亜がヘディングシュートを放つと、GKが弾いたボールを⑪菊井悠介が押し込んだ。

以降も、何度か鋭い攻撃を仕掛けたが、「攻撃のときにもう少し守備意識を持たなければダメだった」と永野監督が悔んだように、一瞬生まれた守備の隙を突かれ、同点ゴールを献上。試合終盤に迎えた決定機も生かせず、勝負の行方はPK戦に委ねられることになった。

大阪桐蔭の選手が思い浮かべたのは、昨年の6月以降に許した唯一の負け試合だろう。昨年12月末に行ったプレミアリーグ参入戦では、流通経済大柏と善戦を繰り広げながらも、PKで敗れ、プレミアリーグ昇格を果たせなかった。負けたことの苦い記憶よりも、「相手に映像を見られているという意識がプレッシャーになった」(永野監督)結果、「確実にPKを決められる子
(永野監督)である3番手の⑳西山翔大がキックを失敗。5人全員が成功した明秀日立がベスト8を手にした。

順調に進んできた2017年度は涙で終わったが、9年ぶりの選手権出場を果たしたことで得た収穫もある。「多くの日本人は、『質問はある?』と聞いても、質問をしてこないけど、皆が選手権で一つ屋根の下で過ごす中で、選手から僕に質問をしてくれたり、大人になったと思う。試合前も自分たちの意見を言ったり、1年ですごく成長してくれた」(永野監督)。大きく成長した一人の⑧西矢健人は、涙を浮かべながらも、「プリンスリーグ関西、近畿総体も制し、あとは選手権優勝だと思っていた。ラストピースをはめてしまうと、大学やプロに行かなくても満足してしまう。『まだまだ伸びシロはある』と神様が言ってくれているのかなと思う
と最後まで明るく気丈に振る舞い、高校サッカーに別れを告げた。

監督・選手コメント
明秀日立
萬場努監督
前半は風下に立ったため、相手に攻められたので、後半は仕掛けようと思っていたのですが、予想外の形でカウンターから先制点を決められました。勝負には勝てましたが、終始主導権を握られたり、上手さでは大阪桐蔭さんに分があったと思います。ただ、最後ゴール前で身体を張る部分や少ないチャンスを結果につなげたことが勝因になりました。ある程度、こうなると分かっていたのですが、選手を信じてよかったです。

⑲高嶋修也
攻められている時間が長かったのですが、県予選の1、2回戦でも無失点で終えたことで自分たちに自信がつきました。守備の時間が長くても、2点目を取られない自信があったので、危ないシーンがあっても耐えられると思っていました。大会前の目標だったベスト8は達成できたので、次の目標はまた目の前の試合に勝つこと。次勝てば、埼玉スタジアムにも行けるので、頑張ります。

大阪桐蔭
永野悦次郎監督
前半は堅かったですけど、後半からは風がきつくても動きながらボールを止める・蹴るができて、本来のサッカーができました。ボールを蹴る前に周りを見て、解決策を持ったプレーもできたので、前半よりもテンポのあるパスがつながり、自分たちの特徴を出せました。失点の場面を予測してしっかり対応できていれば、2点差、3点差となっていたかもしれません。

⑧西矢健人
僕が決めていれば、勝てた試合だと思います。プレミアリーグ参入戦で、左足の内側靭帯をケガしました。PK練習でも痛いくらいで、元日まで休ませてもらい、チームに迷惑をかけたのですが、それでも監督は僕を使ってくれましたし、仲間も信じてくれました。初戦で勝って、9年前に止まっていた時計を一個動かすことはできましたが、全国はやっぱり甘くなかったです。最後の細かい所が足りていなかったし、2点目、3点目が奪えなかったことが悔しいです。

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