第95回全国高校サッカー選手権大会 全試合完全レポート

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第96回全国高校サッカー選手権大会
3回戦 前橋育英-富山第一

2018年01月04日

川原宏樹(本誌) 取材・文
高橋学 写真

18年1月3日(水)14:10キックオフ/神奈川県・等々力陸上競技場/7,283人/試合時間80分
前橋育英
1 0-0
1-0
0
富山第一
飯島陸(後半40+3分)
得点者  

3回戦屈指の好カードとなった前橋育英vs富山第一の試合は、予想どおりの白熱した試合となり劇的なゴールで前橋育英が勝利した。5バックを中心に守りを固めた富山第一に対して、有効なスペースを見つけ出そうとボールをポゼッションする前橋育英。その均衡が破れないまま後半40分が過ぎたアディッショナルタイムに、⑩飯島陸が2試合連続で本大会5ゴール目となる得点を挙げた。その直後のプレーで試合終了のホイッスルが鳴り、前橋育英が4大会連続の8強入りを決めた。

相手の息切れまで焦れずに待った
前橋育英の頭脳的試合運び

2回戦の東福岡戦とは違い、元々のベースとしていた5-3—2のシステムでこの試合に臨んだ富山第一は、スペースを与えない堅守で守り切り、攻撃は⑨大竹将吾と⑩坪井清志郎の2トップに託すようにロングボールを送り込んでいった。一方の前橋育英はショートパスを主体としてボールをポゼッションしつつも、長いボールでサイドチェンジをして数少ないスペースを狙っていった。

強風のせいもあり、両者のロングボールはやや正確性を欠き、前後に走り合う時間が長く続いた。そんな中、前橋育英は相手のお株を奪うロングスローから何度かチャンスを作った。左サイドの⑮渡邊泰基が投げるロングスローに対して時折ボールウオッチャーになってしまった富山第一だが、最後のところで体を張って防ぐ集中力は目を見張るものがあった。

1点が勝敗を分ける緊迫した試合展開の中でも、前橋育英は焦れずに自分たちのスタイルを貫き、崩しどころを模索していった。うまく選手交代を使いながら富山第一ゴールに迫った前橋育英は、後半40分に決定的なチャンスを迎えた。しかし、またも体を投げ出して防がれてしまい誰もがPK方式での決着になることを覚悟していた。だが、最後の最後のプレーで⑩飯島陸がこぼれ球をゴールへ押し込み前橋育英が先制をし、富山第一の堅守を破ってみせた。

「富山第一は(今大会)3試合目だから、おそらく最後のほうには動きが止まるから、それまでは0-0でもいいという話をしていました」と試合前から指示を出していた前橋育英の山田耕介監督。一方、富山第一の大塚一朗監督は「最後の最後で行けなかったところやボールを見失ってしまったところがありました。疲労がなければもっと集中してできていたのかなと思います」と厳しい日程で戦う中で、うまくコンディション調整できなかったことと、それに見合う戦略を立てられなかったことを悔やんでいた。

とはいえ、富山第一に得点のチャンスはほぼなく、万全の状態で臨んでも勝てなかったかもしれない。監督も選手も2トップの才能に頼り切ってしまっていた感がある。一方で最後まで焦れずにあきらめずにゴールを狙い、80分で勝負を決めるつもりで挑んだ前橋育英。今回はポジティブに戦略を立てた前橋育英に軍配が上がった。

監督・選手コメント
前橋育英
山田耕介監督
ある程度はボールポゼッションすると思っていましたが、なかなかスペースがないので攻めあぐねるかなと思っていました。おそらく3バックの3-5-2で両サイドのスペースが消されるので、どうしようかという話は映像を見ながらしていました。3人で中盤をやると、そこに空いたスペースが必ずできるので、そこ使って逆サイドに展開していこうと言っていました。(ハーフタイムには)「このままでいいので焦らずにじっくりとやれば必ずビッグチャンスは来るから」という話をしました。このように我慢比べになる試合は、やっぱり失点をしてしまうとダメですよね。富山第一の怖いところはロングスローとCK、FK。そのリスタートのところ(を防ぐの)はスキルの部分ではなく、コンセントレーションとかポジショニングとかで、これだけは隙を作るなとずっと言っていました。
(次戦について)やっぱり米子北は米子北ですからね。本当に走れるし、ガッツもありますし、疲れを知らない運動量も米子北なので、しっかり休んでコンディションを整えていきたいと思います。

⑭田部井涼
この1年間を戦ってきた中で、セカンドボールへの反応がいちばん速かったですね。流通経済大柏や青森山田ともやってきましたけど、それよりも速かったです。最後に決まったのでよかったですが、その前にもビッグチャンスは何回かあったのでそこを決めきるということと、相手がブロックを敷いて自分たちがボールを持つ時間が多かったんですが、持たされているという感じになっていたので、もう少し自分たちから仕掛けられるように、次の試合は準備したいです。

⑩飯島陸
最初は開いて受けようと思ったんですが、⑦塩澤隼人がシュートしようとしたときに自分はこぼれ球を詰めようと思ったので、速く反応することができました。

富山第一
大塚一朗監督
3試合目で疲れもあったので、(前へ)行くと見せかけて閉じこもって守備をしながら得点のチャンスをうかがおう作戦でやってみました。結果からすると、攻めるのが好きな選手が多いので僕のいいつけを守って守備をしていたのが敗因かなと思っています。どこかで攻めさせるのもありかなとは思っていたのですが、PKでもいいかなと思ってやった僕の責任かなと思っています。
疲労もありましたし、ケガもありました。それに昨日あれだけの死闘をした後のゲームでした。この後の戦いを見据えたときには戦い方が難しいところで、前からプレスをかける戦術はやめて引きこもってなんとかしようと考えていました。結果が出なければ同じですから……。もう少し楽な相手だったらよかったんですが、1回戦からタフな試合が続いていました。加えて(プレミアリーグ)参入戦もあり、そこでのケガや疲労もありました。そう考えると、うちにとってはしんどい試合が続いたかなと思います。もう少し僕が作戦を立てられればよかったんですが、僕ではここが精一杯でした。選手にはもっと可能性があったので反省をしています。
少ないチャンスでも2トップの個人の力で打開できると考えていたのですが、今日は風も強くてなかなか裏へのボールも出せませんでした。相手のCB(⑮渡邊泰基)もJリーグのチームに内定しているだけあって、フィジカルも強かったですね。そういったところも差として出たのかなと思います。

⑩坪井清志郎
3試合をとおして、全部楽しい試合でした。3試合とも自分の持ち味を出せた部分がありました。ゴールがほしかったのですが、1点という結果に終わりました。もっともっと練習してうまくなりたいです。(プロ入りするに向けて)細かい部分をもっと突き詰めて、毎日全力でプレーしていきたいと思います。

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