第95回全国高校サッカー選手権大会 全試合完全レポート

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第96回全国高校サッカー選手権大会
2回戦 長崎総科大附-高川学園

2018年01月03日

本田好伸(フットボールライター) 取材・文・写真

18年1月2日(火)14:10キックオフ/千葉県・ゼットエーオリプリスタジアム/観客2,217人/試合時間80分
長崎総科大附
2 2-0
0-1
1
高川学園
安藤瑞季(前半32分)
岩本蓮太(前半35分)
得点者 土信田悠生(後半26分)

序盤は長崎総科大附のアグレッシブなプレーが目立った。本職はDFながらも3トップの一角を担った⑤嶋中春児、絶対的エースの⑩安藤瑞季、⑦荒木駿太を中心に攻め立てるだけではなく、前線からの鋭いプレスで相手の自由を奪う。すると前半32分、ミドルレンジでパスを受けた⑩安藤が、ワンタッチで前を向くと、GKの死角から鋭いシュートを突き刺した。さらに前半35分、左サイドのスローインからニアの⑭柏木澪弥が頭でスラすとゴール前の④岩本蓮太が決めてリードを広げる。後がなくなった高川学園は後半、2トップにシステムを変えて圧力を強めると、後半26分に⑩土信田悠生がPKを決めて1点差に。高川学園はその後も何度も相手ゴールを脅かしたが、あと一歩およばずタイムアップ。長崎総科大附が辛くも3回戦へと駒を進めた。

敗れてなお、観客の心をつかんだ
高川学園の“ワクワクする”戦い

前半だけを見れば、この試合は長崎総科大附が難なく勝利を収めるだろうと思われた。「全国で猛威を振るう攻守のプレッシャー」という、そんな言葉がよぎるような、彼らの戦いぶりだったからだ。

1回戦では途中出場ながらもゴールを決めた⑤嶋中春児が、この日は先発でFW起用。小嶺忠敏監督は「(FWの)駒不足」と話したが、DFを本職にする⑤嶋中は、FWでも相応のオーラを放っていた。小嶺監督が「本来は2、3人抜いてゴールを決められるのに、全く機能していない」と厳しい評価を下した⑦荒木駿太も、大会屈指のストライカーと目される⑩安藤瑞季も、ピッチ上の存在感は抜群だった。

彼らは重戦車のごとく相手にプレッシャーを掛け、前線でにらみを利かせていた。さらに2点を奪った後半、小嶺監督は3トップの右に1回戦と同じく⑨中村聖鷹を入れ、⑤嶋中をセンターバックに下げた。前半の4-3-3から5バックに替えた5-2-3にして、攻守の役割をはっきりさせた。盤石かと、そう思われた。

だが、システムを変えたのは長崎総科大附だけではなかった。

高川学園は前半までの⑩土信田悠生から内田裕也を入れて2トップにして、右サイドには突破力のある㉖大山蒼一郎を投入。「相手も2トップのほうが嫌がるだろうし、風上だったので人数を増やした」(江本孝監督)というその戦略は、見事にハマった。

後半10分を過ぎると、そこから試合終了まではずっと高川学園の時間だった。後半26分にPKを獲得したのも、中央の⑩土信田からのパスを受けた㉖大山のドリブル突破がきっかけとなった。さらに左サイドでは、サイドバックの⑫浜下光輝が果敢なオーバーラップとドリブルでチャンスを作り、サイドハーフの⑪平尾泰雅は、1対1もしくは1対2の勝負であってもおかまいなしに、何度もゴール前へと侵入していった。

終了間際には、パスを受けたエースの⑩土信田が、巧みなステップでゴール前でフリーとなって、最後にして最大のチャンスを作り出した。だが──。

彼らは、あと1点が遠かった。「相手はきっちり決めたけど、うちは決められなかった」と、江本監督は勝敗を分けたポイントを振り返る。勝負に「たられば」はないが、ただそれでも、「もしあれが……」と言いたくなってしまうほど、高川学園は後半に数々の“惜しい”チャンスを作り出していた。

「もしあの前半のまま終わっていたら面白くないですよね。最後、ワクワクさせてくれるような感じだったので、これが高校サッカーだなって、すごく思いました」(江本監督)

江本監督は試合後のミックスゾーンでそう話した後、去り際にこんな“独り言”をつぶやいた。

「楽しかった、楽しかったな……」

それがすべてを物語る。高川学園は敗れたがしかし、観客を魅了するような戦いをピッチに残した。

監督・選手コメント
長崎総科大附
小嶺忠敏監督
相手は最後まで粘り強くて立派でしたね。自分たちの狙い通り、ドリブルやパス交換を余裕を持ってやれていました。一方でうちは慢心というか、冷静な判断ができていなかったと思います。⑩安藤が孤軍奮闘していますが、その気持ちが強すぎるところもあるので、もっと他の選手がサポートしてあげないといけないですね。ただ、先制点のシーンはどこからでも打てる彼のよさが出ていていいシュートでした。次の相手は青森山田に決まったようですが、強いですからね。どこまでできるか分からないですが、チャレンジするだけです。

⑩安藤瑞季
ゴールシーンは、横パスを受けて顔を上げたらゴールが見えたので「打ったら入るな」と思い切って打ったら入りました。ちょうどGKのブラインドになっていたのでDFの外から巻くように低いシュートを打ったのですが、狙いもコースも、たまたまうまくいきましたね。FWとして得点は自信にもなりますし、ゴールにはとにかく飢えています。今日の後半は自分たちのサッカーができなかったので、明日は自分たちのサッカーをしてチャレンジャー精神を持って戦いたいと思います。

高川学園
江本孝監督
後半はかなり押し込めた展開には驚きました。2点差だったので1点を返せば追い上げムードになると思いましたし、相手をリスペクトしすぎないで「ケンカを売ってこい」と喝を入れたことで、自分たちの持ち味を出せたのかなと。ボールを動かしながら、幅と厚みを作るサッカーができたら見ている人も面白いと感じるような状況にできると感じたので、もっと早い時間帯からそういう戦いができるように、日ごろからもっと鍛えてあげないといけなかったなと。相手の対人の強さをすり抜けるような戦いをもう少しやりたかったですね。

⑧長廣洸大
全国でも勝てるチームを目指してここまで頑張ってきて、県大会の決勝も苦しかったですし、全国大会の1回戦もPKでなんとか勝てて、長崎総科大附という素晴らしいチームと戦うことができました。前半に2点を失ってしまいましたが、後半は自分たちがやってきたサッカーを皆さんにもお見せすることができたのではないかと思います。自分個人としては、相手のマークがある中でももっと受けられていたらまた違ったチャンスを作れたと思いますが、チームとしてやり切れたことはよかったと思います。

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