第95回全国高校サッカー選手権大会 全試合完全レポート

PUMA

PUMA

第96回全国高校サッカー選手権大会
2回戦 明秀日立-星稜

2018年01月03日

本田好伸(フットボールライター) 取材・文・写真

18年1月2日(火)12:05キックオフ/千葉県・ゼットエーオリプリスタジアム/観客1,814人/試合時間80分
明秀日立
1 1-0
0-0
0
星稜
二瓶優大(前半2分)
得点者

明秀日立が最初のチャンスを得点につなげた。開始わずか2分、左サイドの㉚宗像隆人がクロスを送ると、中央でフリーで受けた⑪二瓶優大がトラップから左足を一閃。明秀日立は、前半4分に先制した1回戦に続いて幸先のいい立ち上がりを見せた。試合はその後、中盤の制し合いとなって拮抗するが、明秀日立が徐々に主導権を握っていくと、相手に思うような攻撃をさせないまま試合を折り返した。しかし、後半は一転して星稜が攻め込む展開に。星稜は、効果的なサイドチェンジで相手を押し込んでいくと、後半6分にゴール前で抜け出した⑬西部悠大がネットを揺らしたが、これはオフサイドの判定。その後も再三チャンスを作ったが、明秀日立も最後まで集中力を切らさない堅守を見せて1点を守り切り、初の2回戦突破を果たした。

エースを封じたトライアングル
個と組織力で初の3回戦へ

1回戦もそうだったが、ゼットエーオリプリスタジアムは、開催2日間ともに強風に見舞われていた。そのため“風を味方につける”ということは、試合を戦う上で考慮すべき大切な要素の一つだった。

明秀日立は「本当は前半に風下を取りたかった」(萬場努監督)という。星稜が後半に強さを発揮してくることを考えても、やはり前半でリードを奪って、その上で後半に風上に立って優位を保ちたいという思いが、少なからずあったのだ。だが、コイントスに勝ったのは星稜で、彼らが選んだのもまた、風下だった。

そんな試合前の勝負には敗れたが、明秀日立は臆することなく試合に入った。

まさに電光石火のゴール。彼らは1回戦に続いて、最初のチャンスを先制点に結びつけた。「前日にコーチがFWにつきっ切りで練習した形だった」(萬場監督)という⑪二瓶優大のゴールでリードを奪った。

ここから彼らは、1回戦と同じように試合を掌握することはできなかったが、ただ決して、浮き足立ってもいなかった。試合は20分過ぎまで中盤の主導権をどちらがつかむのかという拮抗した展開が続いていたが、この時間帯に明秀日立は、自分たちの優位性、自分たちの実力を証明するような戦いを示した。

「相手の10番が一つのポイントになると思っていたから、本当は⑥成島茉宏がつぶしにいく考えだった。でも思ったよりも彼がサイドに寄っていたので、彼に持たれてリズムを与えないようにした」(萬場監督)

星稜の⑩高岸憲伸は、紛れもなくチームのコントロールタワーだったが、1回戦とは異なり、この日は中盤ではなく、途中から右サイドを主戦場にしていた。そのため明秀日立は、⑥成島とコンビを組むダブルボランチの⑩伊里隼人が対応したが、そこでキーマンとなったのが、4バックでは左サイドバックであり、3バックではセンターバックかもしくは1列前でプレーする㉚宗像隆人と、左サイドハーフの⑱及川央泰だった。

明秀日立のこのトライアングルは、自陣の左サイドで⑩高岸に自由を与えず、ボールを奪ったらすぐに攻撃へと展開できる絶妙な距離感でプレーを続けていた。㉚宗像がいることで中盤が厚くなると同時に、彼は長短自在のキックを操り、何度もチャンスを広げるパスを通した。さらに突破力のある⑱及川が左サイドから中へ切り込んでいくことで、明秀日立の中央から左サイドは、星稜と互角以上の戦いを繰り広げた。

後半に入ると、星稜は途中から⑩高岸が左へ、左サイドの⑭長田大樹が右へ移動するシステムチェンジでサイド攻撃のパターンを増やし、かつパワープレー気味に押し込んできたために、明秀日立は守備に奔走せざるを得なくなっていた。それでも彼らは、統率が取れていて、かつ気迫の込もった守備でしのぎ切った。

自らもシステム変更を繰り返して相手に対応するハイレベルな戦いを実践する彼らは、技術と戦略、そしてメンタリティーを備えた強者だった。だからこそ敵将の河﨑護監督も、「技術も高く、守備力もあっていいチームだった」と称賛したのだ。明秀日立は、2年前に敗れた2回戦を突破し、ベスト8まであと1勝とした。

監督・選手コメント
明秀日立
萬場努監督
立ち上がり15分で先制しようというテーマでやってきて、県大会でも決勝以外ではそれができていたので、練習の成果がこの舞台でもきっちり出せていると感じています。ただ前半はかなり理想的だった一方で、追加点を奪えずに最後まで押し込まれました。でも集中力を切らさないでよく頑張ったと思います。先制点も、前日にコーチと練習していた通りの形からだったのでよかったですね。全国ベスト8をテーマにやってきたので、次は決勝戦のような位置づけです。失うものは何もないので思い切りぶつかりたいです。

星稜
河﨑護監督
前半は風下を選んだのですが、その風で目測を誤ったミスからの失点でした。前半で0-0であれば後半に勝機があると踏んでいたので、あの失点はちょっと早かったですね。1回戦をうまく乗り切ったので、2回戦も簡単には負けないぞという思いがあったのですが、点が取れないと……。後半は何度も決定機に持ち込めていましたが、そこで相手も二重三重に壁を作っていたので、シュートを打ってもブロックされてしまいました。今日は相手が一枚上でしたね。技術も高いし、守備力もあっていいチームでした。

img
img
img
img
img
img
img
img
img
img
(C)Gakken Plus Co.,Ltd.
ページトップへ