第95回全国高校サッカー選手権大会 全試合完全レポート

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第96回全国高校サッカー選手権大会
2回戦 前橋育英-初芝橋本

2018年01月03日

森田将義(フリーライター)取材・文

18年1月2日(火)14:10キックオフ/神奈川県・ニッパツ三ツ沢球技場/観客4,244人/試合時間80分
前橋育英
5 1-0
4-0
0
初芝橋本
飯島陸(前半16分)
飯島陸(後半4分)
飯島陸(後半14分)
飯島陸(後半28分)
宮崎鴻(後半35分)
得点者

先制点を狙った初芝橋本だったが、序盤からアグレッシブな戦いを仕掛けた前橋育英に苦戦すると、前半16分には中盤でのパスを前橋育英に奪われ、⑩飯島陸に先制点を献上した。以降も思うように攻撃を仕掛けることができず、前半に放ったシュートは0。守備は相手のミスに助けられ、追加点を回避したものの苦戦が続いた。後半からより劣勢を強いられ、後半4分に許した⑩飯島のゴールを皮切りに4点を決められタイムアップを迎えた。

スコア以上に痛感した前橋育英との差
初芝橋本の監督と選手は何を感じたのか

試合後、初芝橋本の阪中義博監督が「相手が強すぎる」と脱帽したように、前橋育英との差はスコア以上だった。指揮官が大きな差として挙げたのは、トランジション(切り替え)の速さ。「攻守の切り替えがめちゃくちゃ速い。うちが遅いというよりも、相手のポジショニングがいい。うちも速かったと思うけど、相手の位置がいいから、セカンドボールが相手に渡っていた」。④上原真尋は「想像以上だった。スカウティングしていたよりも、スピード感がまったく違ったし、昨年度に準優勝したプライドから生まれる『絶対に勝たなあかん』という気持ちも伝わった」と振り返る。

シュート数も初芝橋本が2本に対し、前橋育英は18本。完敗といえる試合内容だったが、阪中監督の表情からは悔しさよりも、清々しさを感じた。今年度の3年生は、指揮官の甥っ子である⑪西川佳汰らを筆頭に実力者がそろい、「全国で勝負できる」(阪中監督)という手応えをつかむ一方で、持っている力を出し切れずにいた代でもある。本来ならば熱い指導が特徴の阪中監督だが、今年度は彼らの特徴を踏まえて、暑さだけでなく、上手く選手を持ち上げつつ、時には選手と一緒になって、盛り上がることで彼らの力を出し切れるように注力してきた。そうした指揮官の支えによって、選手権ではようやく、初芝橋本が目指すアグレッシブなサッカーを徹底できるようになったという。

例年とは違う阪中監督のアプローチは、この試合でも見られ、「いつもは熱い指導が阪中先生なんですけど、今日は『頑張って』と声をかけてもらったり、サポートという感じだった。いつもはサッカーに熱い先生なので、逆に怖いくらいだった(笑)。ただ、頑張ろうって思えたし、背中を押してもらえて、気合も入りました」(④上原)。歯が立たない相手にも最後までひるまず、全力で戦うことができたのは、厳しくも愛情たっぷりの指揮官の下で、選手が成長したからだ。

「全力でやるのが僕たちのサッカー。0-5で負けたけど、悔いはない
。④上原が試合後、そう口にする一方で、悔しさももちろんある。「これまでで一番いる時間が長かった代」と阪中監督が話すように、例年よりも選手と密度の濃い時間を過ごしてきた。長距離遠征も多く、チームバスでの移動距離は過去最長の8000キロ。④上原は「近くにある人工芝のグラウンドだけでなく、九州や遠方の遠征でも阪中先生がずっと運転してくれた。インターハイ、選手権も僕たちのために尽くしてくださっていたので、恩返しの意味も込めて、選手権で阪中先生を胴上げしたかった。それができなかったのは残念」と口にする。この一年での成長と最後の悔しさを今後にどうつなげるか。卒業後の彼らにも注目だ。

監督・選手コメント
前橋育英
山田耕介監督
今日は初戦の難しさもありました。相手がどんな感じなのか、映像だけでは分かりません。選手たちには鍛えられたいいチームだから、俺たちもしっかりやらないといけないとは伝えていました。前半1点とった後にビッグチャンスがあったのに決められなかったのは、課題です。㉒榎本樹の競り合いから、⑩飯島陸がうまくこぼれ球を拾えていましたが、あればかりなっていてはいけない。試合終盤には、ちょっと違う形でクサビが入っていたのはよかったです。

㉒榎本樹
前半はすごくチャンスが多かったのに、決められなかったので、嫌な流れになりそうだなと思っていました。それでも、後半にしっかりボールを支配しながら、ゴールをとれたので、よかったと思います。相手はFWからプレッシャーをかけてきて、すごくやりづらいのは分かっていたのですが、ちゃんと研究できていたので、上手く対処できました。⑩飯島さんとはタイプが違って、自分がアシストする機会が多いので、そこは意識してやっています。最近はコンビを組む機会も多いので、息が合ってきていると思います。

初芝橋本
阪中義博監督
うちも試合の入りは悪くなかったと思います。ただ、初戦の堅さからもう少し相手の入りが悪いかと思っていたのですが、よすぎました。完敗しましたが、子どもたちにはいい経験になったと思います。速いだけでなく、いつもならマイボールにできていたクリアボールも相手に跳ね返される。こんな奴らがいてるんや!とか、上には上がいることを知れたのはこれから先に生きると思います。こんな舞台でいい経験させてもらえました。

④上原真尋
副キャプテンの自分がキャプテンマークを巻くのは責任感がありますし、プレッシャーもありました。ベンチに入れていない100人近い選手の「頑張れよ」という意味が込められていたのですが、できていないこともあったので、今日負けたのは自分の責任だと思います。申し訳ない気持ちが強くて、試合後は思わず泣いてしまいました。今日の経験を今後、大学でも生かして、大学1年生から試合に出て、その先プロまで行けるように頑張りたいです。

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