第95回全国高校サッカー選手権大会 全試合完全レポート

PUMA

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第96回全国高校サッカー選手権大会
2回戦 青森山田-草津東

2018年01月02日

安藤隆人(サッカージャーナリスト)取材・文
古賀庸介 写真

18年1月2日(火)14:10キックオフ/千葉県・フクダ電子アリーナ/観客9,159人/試合時間80分
青森山田
5 1-0
4-0
0
草津東
郷家友太(前半37分)
郷家友太(後半8分)
中村駿太(後半11分)
中村駿太(後半20分)
額川賢哉(後半40+3分)
得点者  

立ち上がりはお互い堅さからかこう着状態となったが、徐々に青森山田の前への推進力が出始める。前半37分にカウンターからMF⑩郷家友太(3年)が豪快なヘッドで先制をすると、後半は青森山田ペース。後半8分に⑩郷家が決めると、後半11分にFW⑪中村駿太(3年)がゴール。60分にも⑪中村が決めて勝負を決定づけると、後半アディショナルタイムには途中出場のFW⑱額川賢哉(3年)が決めて、終わってみれば青森山田が5−0の大勝を飾った。

二連覇を目指す青森山田が好発進!
初戦大勝を支えた守護神の思いとは

前半はお互い手堅い展開だった。前回王者の青森山田はロングパスとサイドチェンジを多く入れ、ピッチを広く使う展開で草津東を揺さぶりに掛かるが、草津東は4バックが冷静に対応。さらに、そこからスピードとテクニックのあるアタッカー左MF⑪栗山高季(2年)と1トップの⑭渡邉颯太(1年)に素早くつなぎ、鋭いカウンターを見せて会場を沸かせた。

その中で冷静なプレーでチームに安定感をもたらしていたのが青森山田GK①坪歩夢(3年)だ。

3年生の①坪にとって、この1年は非常に苦しい1年だった。昨年度はベンチメンバーとして選手権優勝を経験。今年度はGK廣末陸(FC東京)から背番号1を引き継ぎ、正GKになるはずだった。しかし、春先は2年生GK⑫飯田雅浩がスタメンを張った。

「悔しかった。最後の年だし絶対にレギュラーを奪いたかった」と必死で努力した結果、途中で正GKをつかみとり、インターハイも守護神としてプレーをした。しかし、インターハイ後に鎖骨を骨折して離脱をすると、その間に⑫飯田に再びレギュラーを奪い返されてしまった。

10月から練習に参加し、11月に完全復帰するも、プレミアイーストでゴールを守ったのは⑫飯田だった。そして、プレミアイースト最終節となったFC東京U-18戦。2連覇がかかったこの重要な一戦も、スタートは⑫飯田だった。しかし、0−2でリードを許した60分に、突然の出番がやってきた。⑫飯田に代わってゴールマウスに立つと、「いきなりで驚いたけど、負けていたし、しっかりとチームを落ち着かせようとプレーした」と、冷静なコーチングと背後のスペースのカバーリングを見せ、ばたついていたチームを安定させた。77分に久保建英にゴールを許したが、試合を2−3の大接戦に持ち込ませたのは、間違いなく①坪の存在が大きかった。

「4ヶ月ぶりの公式戦でしたが、問題なくプレーできた」。これで手応えをつかんだ①坪は、その後も安定したプレーを披露。迎えた選手権初戦・草津東戦でついに復帰後初スタメンをつかみとった。

「正直、試合に出られるか最後の最後まで不安でした。でも、黒田監督が僕を使ってくれた。感謝しかなかったですし、立ち上がりから緊張せずにリズムよくプレーできました」

その言葉どおり0−0で迎えた前半21分に、草津東MF⑪栗山が裏に抜け出すも、タイミングよく飛び出してシュートを打つ前にキャッチ。相手に隙を与えなかった。そして前半37分には、相手のスルーパスが長くなったところをペナルティーエリア内でキャッチせずにロングキック。「ラインを一気に上げさせようと思った」と瞬時の判断で蹴り込んだボールからの展開で、MF⑩郷家友太(3年)の先制弾が生まれた。

そこからチームがゴールラッシュをしていく中でも、冷静に最終ラインをコントロールし、前半40分に再び⑪栗山の裏への飛び出しもシャットアウト。後半28分には草津東の1年生FW⑭渡邉颯太の強烈なシュートも、見事な飛び出しでブロック。ゴールを許すことなく、5−0の完封勝利に貢献をした。

「まだ完全にポジションを確保したわけではないので、気を抜かないでチームの勝利に貢献したい」

もう絶対にこの場所を渡さない。1年で2度、ポジションを取り返した男の真価は、まさにここから発揮される。

監督・選手コメント
青森山田
黒田剛監督
連覇するためにここに来ている。昨年度同様に楽な山ではないので、一戦一戦着実に戦って行きたい。どうしても昨年度のチームに比較されてしまうし、私もそれを伝えてきた。でも最後は、『今年は今年のチーム』として、しっかりと自覚を持って臨めるようにした。郷家と駿太は2人でこのチームを支えていかないといけない存在。チームをけん引していくことを考えると大きなゴール。あの2人が不発だったら勝てるわけがない。そういう意味では彼らはプレッシャー役を引き受けてくれるし、そこで結果を出してくれることは大きい。(長崎総科大附戦は)ヘッドやフィジカルが相当強いチームなので、ボールを上手く回しながら、プレスを回避できれば、我々のペースに持っていけると思うので、そこは大事にしたい。

⑩郷家友太
初戦の入りは難しかったけど、自分のゴールで流れを変えて勝ちきれたのは大きかった。昨年度はある程度先輩に頼っていたけど、今年度はチームを勝たせるという責任が出てきた。偉大な先輩がつけてきた番号なので、しっかりと結果を残したい。今日のように頭と足で点がとれることを見てもらいたい。連覇はかなり難しいことだけど、目の前の1試合1試合を確実にやっていきたい。試合前に「自分が点をとって試合を決める」と自分でいっていたので、それができてよかった。1点目はニアに駿太が入っていくのが見えて、相手がついていくと思ったので、ファーに自然と流れてボールが来るのを待っていた。ボールが上手く見えなかった。相手の頭を越える瞬間しか見えなかったが、すぐに反応して身体が動いた。身体が伸びきった状態だったが、しっかりと合わせることができた。

⑪中村駿太
とりあえず点をとれてよかった。もう一度日本一になりたいという思いがみんな強い。僕は今年度からの一員だけど、その思いを共有して、チームのために点をとらないといけないと思った。チームの勝利に導ける活躍をすることが、僕を受け入れてくれた監督やスタッフ、チームのみんな、お世話になった人たちの恩返しになると思っている。選手権はずっと外から見ていて、「いいな」と憧れがあったが、いざ入ってみるとあれだけの注目と雰囲気の中でのプレーで、正直緊張をした。でも今までないくらいワクワクした気持ちでプレーをできたと思う。やっぱり盛り上がりがこれまでの大会と全然違うので、どんどん自分が乗っていけて、リズムが作りやすいと思う。

①坪歩夢
復帰後、公式戦初スタメン。もう蹴ってラインを上げさせようと思って蹴った。1対1も落ち着いていた。僕はあまり緊張せずに冷静に対応できた。予測できていたので、後はしっかりとキャッチするだけだった。本当に出られないかなと正直あきらめかけたけど、最後の最後でスタメンを奪い返すことができてよかった。

草津東
小林茂樹監督
判断の質は青森山田が非常に高かった。でもウチも1、2年生が多いので、この経験を生かして、2年連続、3年連続と出場していきたい。準優勝したときも5年連続で出場した上での結果だった。今回は久しぶり(3年ぶり)の出場だったので、ここから連続して出場をして、経験を積み上げていきたい。

⑭渡邉颯太
0−5で負けてしまったが、青森山田に対して、通用する部分があったのでそれは自信になる。この経験を来年以降に生かして、必ずこの場所に帰ってきたい。

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