第95回全国高校サッカー選手権大会 全試合完全レポート

PUMA

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第96回全国高校サッカー選手権大会
1回戦 富山第一-東海大熊本星翔

2017年12月31日

森田将義(フリーライター)取材・文
高橋学 写真

17年12月31日(土)14:10キックオフ/神奈川県・等々力陸上競技場/観客7,568人/試合時間80分
富山第一
1 1-0
0-0
0
東海大熊本星翔
坪井清志郎(前半26分)
得点者  

序盤は動きの硬さが目立った富山第一だが、時間の経過とともに攻撃のリズムを掴むと、前半26分には右サイドを⑤松本楓大が攻撃参加。ペナルティーエリア右から放ったシュートはDFに当たったが、⑪高浪陸がすかさずこぼれ球を狙い、最後は⑩坪井清志郎がゴールネットを揺らした。後半からは2列目の飛び出しとロングスローで好機を作り、東海大熊本星翔ゴールに襲い掛かったが、2点目が奪えず。試合終盤には同点ゴールを狙った相手に押し込まれる場面が続いたが、組織的な守りと③滝本敦生を中心とした5バックが最後まで集中を保ち、失点を回避。貴重なゴールを守り切った富山第一が勝利を収めた。

一度も勝てていない鬼門・等々力で初勝利
徳島内定FW坪井の得点で富山第一が辛勝

1点を何とか守り切った辛勝で、大塚一朗監督も内容面で言えば満足はしていない。ただ、「坪井が点を獲れたのは良かった。お調子者なので、これで波に乗るんじゃないかな」と指揮官が口にするように、徳島内定のエース⑩坪井清志郎が得点を奪えたことは、今後の富山第一にとっても本人とっても弾みがつく一撃であることは確かだ。

「みんなの動きが硬かった」と振り返るように、立ち上がりは初戦の緊張もあり、うまくいかない場面が目立った富山第一だが、前半26分に右サイドからチャンスを演出する。ゴール前まであがった⑤松本楓大のシュートを皮切りに連続でゴールを狙うと、最後は⑩坪井が思い切りよく蹴り込み、先制点をマーク。「自分が点を取れば、チームが勢いづくと言われていたので、ほっとしている」と胸をなで下ろしたように、苦しい流れが続いたチームにとって貴重な一撃となった。

後半に目立ったのは、フィニッシャーとしての役割ではなく、チャンスメーカーとしての役割だ。積極的に奪いにくる相手DFを利用し、「自分が落ちることで、DF裏のスペースが空くんじゃないかと思った」と中盤でボールを受けると、前方に飛び出した味方にパスを配球。後半14分に⑩坪井のパスから⑥高縁海がゴールに迫るなど見せ場を作り、実力の片りんを示し、相手の⑪一怜哉に「ボールが収まるし、競り合いも強くて、本当にすごかった」と言わしめた。

高校最後の大会に挑む準備は万全だ。大会直前には、大塚一朗監督の知り合いである中西哲生氏がチーム練習に参加し、個人指導を受けた。「気持ちだけでは試合に勝てない。理論的に自分のプレーができるようにと良いアドバイスをもらえた。トラップとか、パスとか、シュートのときにあまり肩に力を入れずにプレーするように教えてもらったのも大きかった」と振り返るように、中西氏の指導は⑩坪井にとって大きな財産。これまではゴールを決めたいという気持ちが強く、シュートの際は力んでいたが、この日は決めたい気持ちをうまくコントロールし、冷静にシュートを放った結果が決勝点につながった。「日本一を取って、最後は笑って終わりたい」という目標を叶えるためにも、次戦以降も冷静かつどん欲に得点を重ねるつもりだ。

監督・選手コメント
富山第一
大塚一朗監督
富山第一は等々力でこれまで勝ったことがありません。この年代で勝って、新しい歴史を作ろうと言ってきたので、勝つことができてホッとしています。前半は良くなくて、もう少し前からプレスをかけたかったのですが、だいぶ研究されているのか、サイドチェンジを多くされ、うまくできませんでした。ただ、ボールが入ったタイミングでうまく奪えていたとは思います。この先はさらに研究される中での戦いになると思うので、攻撃も守備ももっと精度を上げていかなければいけません。

④小森颯
試合終了間際にはクロスをたくさん入れられ、押し込まれました。僕は体力に自信があるので、きつくはなかったのですが、改めて最後まで集中して、チーム全体で声を掛け合う重要性を感じました。最後に決定的なヘディングシュートをクリアしましたが、そんなに喜びはなくて、なんで最後にこんな苦しんだという気持ちのほうが強かった。最後に決められなくてよかったです。

東海大熊本星翔
吉岡宏樹監督
最後の最後まで1点が遠かった。決めるべきところで決めていれば、違った結果になっていたと思います。試合後は悔しがり、泣き崩れている子が多かったですね。試合前のコンディションと雰囲気が良くて、選手がミーティングをして、メンバーも決めました。強くて速い富山第一さんに押し込まれるシーンはありましたが、初出場にしてはうまく戦えたかなと思います。

⑪一怜哉
今年は、インターハイと選手権に初出場し、学校の歴史を作ることができました。インターハイのときは市立船橋、今回は富山一という全国優勝したことのある強いチームとできました。夏は自分たちのサッカーができず、守ってばかりでしたが、そこから成長して選手権では自分たちの売りのボール回しもできましたし、最後まであきらめない姿勢も見せることができました。後輩たちには来年もう一度選手権に出て、東海大熊本星翔を全国に常連校にしてほしい。この悔しさを忘れずに頑張ってほしいです。

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