第95回全国高校サッカー選手権大会 全試合完全レポート

PUMA

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第96回全国高校サッカー選手権大会
1回戦 長崎総合科学大附属-中京大中京

2017年12月31日

安藤隆人(サッカージャーナリスト)取材・文
古賀庸介 写真

17年12月31日(日)14:10キックオフ/千葉県・フクダ電子アリーナ/観客4,154人/試合時間80分
長崎総合科学大附属
3 1-0
2-0
0
中京大中京
嶋中春児(前半17分)
小川貴之(後半23分)
安藤瑞季(後半40+3分)
得点者  

立ち上がりからC大阪入団内定の⑩安藤瑞季、⑦荒木駿太、⑨中村聖鷹のスリートップを軸に、前から圧力をかけた長崎総合科学大附属が中京大中京を押し込むと、17分に交代出場のDF⑤嶋中春児が強烈なシュートを決めて、先制に成功する。後半立ち上がりは中京大中京が次々とビッグチャンスを作るも、シュートは枠を外れる。長崎総合科学大附属は後半23分にMF⑥小川貴之が追加点を挙げると、後半アディショナルタイム3分にエース⑩安藤がダメ押しの3点目。3−0で長崎総合科学大附属が2回戦に駒を進めた。

高校ナンバーワンストライカーが
力強いスタート

高校ナンバーワンストライカーでC大阪入団内定のFW⑩安藤瑞季が、最後の最後に獰猛なまでのゴールへの姿勢を結果に結びつけた。

試合は⑩安藤とプリンスリーグ九州得点王のFW⑦荒木駿太を擁する長崎総合科学大附属が、立ち上がりから前への推進力を発揮した。

13分にDF⑯島田蓮平と交代したDF⑤嶋中春児がトップ下に入ると、さらに攻撃力が増す。17分、中央でボールを受けたMF⑥小川貴之からのパスを⑤嶋中右サイドで受けると、「ゴールが視野に入った」と迷わず右足を一閃。ボールは唸りをあげてゴール右に突き刺さった。

ここから攻撃がトーンダウンし、中京大中京に流れを渡してしまうも、1年生時からゴールを守るGK⑫湊大昂を軸とした守備陣が体を張って、ゴールを許さなかった。

1−0で迎えた後半、⑩安藤にようやくエンジンがかかった。「もどかしかった。もっと自分が仕掛けようと思った」と、前半は中京大中京DF⑮笛川翔矢の徹底したマンマークにあい、シュートゼロに終わったうっぷんを晴らすべく、後半はボールを受けると積極果敢に前に運んだ。ボールがないところでも、「相手が嫌がる動きを繰り返すことで、マンマークをはがそうと思った」と、細かい駆け引きをしながら、肉体的にも精神的にも相手を大きく揺さぶった。

そして後半23分に⑥小川が追加点を奪うと、⑩安藤の動きはさらにギアアップ。後半31分に右からのクロスをヘッドで合わせると、DFに当たってコースが変わったボールを、中京大中京GK⑫吉田ディアンジェロがファインセーブ。後半38分にはカウンターから⑦荒木のパスを受けて素早くシュート。これもGK⑫吉田に阻まれたが、徐々にゴールへの匂いが感じられるようになった。

そして、後半アディショナルタイム3分。右サイドを突破した⑦荒木に対し、中央からマークを外す動きでファーに逃げてフリーになると、そこに糸を引くような折り返しが届いた。「荒木が良いパスをくれたので、冷静に決めるだけだった」と落ち着いて右足を振り抜き、ゴールに突き刺した。待ちに待ったエースストライカーの今大会初ゴール。チームも3−0で快勝し、2回戦進出を果たした。

「最後は荒木とチームメイトに救われた」。試合後のミックスゾーンで⑩安藤はほっとした表情を浮かべた。後半だけで放ったシュートは6本。ゴールへの気迫が最後の最後に実った形となった。

「大迫勇也(ケルン)さんの(1大会個人得点記録の)10得点という記録を抜くためにはあと10点足りない。それに達成するためには残り5試合戦わないといけないので、そこに向かってチーム一丸となって戦って行きたいです」

チームの選手権最高成績はベスト16。個人とチームの歴史を同時に塗り替えるべく、高校ナンバーワンストライカーは力強いスタートを切った。

監督・選手コメント
長崎総合科学大附属
小嶺忠敏監督
まだまだ甘い。ただ勝つだけではなく歴史をわきまえて、コツコツと積み重ねていく。それを考えたら、まだまだだと思います。相手のプレッシャーがかかっている中で、しっかりとボールを扱えない。選手個々が自分で個の力を上げないと、どこの世界でも通用しなくなる。もっとしっかりとしないといけない。

⑤嶋中春児
ゴールシーンは流れて来たところにトラップを落ち着いてやりました。ボールをもらったら落ち着いてやろうと決めていたので、そこで落ち着いてタッチできて、ゴールが見えたので思い切り振り抜きました。投入の際に2トップに入って裏への抜け出しなどをやるように言われました。2年生がスタメンだったので、最悪のケースは緊張などでうまくプレーできずに早い段階で出番が来るかもと思って準備していました。ベンチスタートが悔しかったので、入るときは絶対に活躍すると思って入りました。

⑩安藤瑞季
⑤(嶋中)春児が良い時間帯で点を取ってくれたと思います。ずっと相手の15番がマンマークでついてきたのですが、僕も相手が嫌がることをやって、動いてマークを外していました。県予選でもたまに(マンマークは)あったけど、あんなにガッツリとマンマークをつけてくるチームはなかった。やっていく中で、どうはがすかを考えながらやれた。良いプレーはできたと思います。セレッソのサポーターさんからタオルをもらったのはうれしいし、温かさを感じる一方で、来年は年上の選手たちと激しい争いが待っているので、しっかりと戦いたいと思います。

中京大中京
岡山哲也監督
人は十分に足りていたと思う。その後はしっかりと抑えていたと思うので、崩れるなという感じはしなかった。1点を取れれば、逆転できる雰囲気であった時間帯もあった。でも、それができなかったことが弱さというか、決断力の部分だと思います。もう1歩出るとか、シュートを決めてやるという想いが足りなかった。浅く踏み込んだり、重心が後ろに行ったりしてボールが浮いていた。普段のトレーニングから言っているけど、相手のプレッシャーや雰囲気に押されて前にぐっといけない。パワーとか重心を前に持ってくることでゴール前は違ってくるので、長崎総合科学大附属の選手のほうがそれをやっていたと思う。技術的なところで差はそこまで感じなかった分、やっぱりゴール前まで行っても、あそこでもう1歩踏み込んで押さえの利いたシュートを打てれば……。そうすれば結果は違ったと思うだけに残念です。

⑩本山遊大
昨日フクアリのピッチを確認できたし、緊張することなく試合に入ることができました。結果は0−3ですが、実力的に大きな差は感じませんでした。決めきるところを決めていたら、勝負はわからなかった。結果は0−3なので負けを認める部分は認めます。でも、自分たちらしいサッカーができて、後悔はないです。僕の運動量と泥臭いプレーも出せたと思うし、チャンスも作れていたので、僕らしいプレーができたと思います。この80分は負けて悔しかったけど、注目される良い舞台で良い相手とやれて、本当に楽しかったです。

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