第95回全国高校サッカー選手権大会 全試合完全レポート

PUMA

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第96回全国高校サッカー選手権大会
1回戦 佐賀東-関東第一

2017年12月30日

篠幸彦(フリーライター)取材・文
松岡健三郎(本誌)写真

17年12月30日(土)14:05キックオフ/東京都・駒沢陸上競技場/観客12,195人/試合時間80分
佐賀東
2 0-0
2-0
0
関東第一
中里知己(後半6分)
都渡倭(後半24分)
得点者  

ポゼッションで主導権を握りたい両校の立ち上がりは、佐賀東が⑩小野真稔を中心に果敢な攻撃で襲いかかった。しかし関東第一も素早いプレスで応戦。次第に関東第一がペースを奪うも前半は0−0。佐賀東は後半開始からキャプテンの⑧江頭弘太を投入すると、後半6分にその⑧江頭を起点に⑨中里知己が先制弾。後半24分にもCKの流れから②都渡倭が追加点で突き放すと、そのまま佐賀東が2点を守り抜き、2年連続の初戦突破を果たした。

2年連続初戦突破を呼び込んだ
佐賀東の2連続ノールックパス

「たまたま点が入ったからこんな状況なったと思っている」(佐賀東・蒲原晶昭監督)

2−0という完封勝利を収めた試合後、佐賀東の蒲原監督は報道陣にそう漏らした。前半は関東第一がボールポゼッションを高め、中盤の選手が流動的に動き、ブロックを敷く佐賀東の守備陣の足を奪うように走らせた。「ちょっと距離感が遠かったらボコボコにやられてしまうんじゃないかと思っていた」とベンチで蒲原監督がややナーバスになる中、選手たちはよく走り、距離感を詰めて粘り強い守備でしのいだ。

そして後半、今度は佐賀東が後半開始からキャプテンの⑧江頭弘太を投入し、関東第一に傾いた流れを一気に引き戻した。後半6分、その勝負を分ける1点目が入る。⑩小野真稔からのパスを⑧江頭は素早くターンし、広く空いた右サイドへノールックでパスを流した。そこへ右サイドバックの③山田昭汰が駆け上がり、ダイナミックなドリブルで敵陣深くに進入。関東第一⑥嶋林昴生との1対1も巧みなステップワークでかわし、ニアサイドへクロスを送ると⑨中里知己の頭にドンピシャリ。

「あそこに走ってくれていると信じていた」という⑧江頭の右サイドへの展開、そして「あとで本人に確認したら、見えていないけどニアに感覚であげたといっていた」と、③山田もノールックでクロスをあげていたという。しかし、この2つのノールックパスは決して偶然の産物ではない。「中で受けて逆サイドに展開して、サイドバックが上がってクロスにFWがニアで合わせるというのはいつも練習してきた形」というのは開幕ゴールをゲットした⑨中里の弁。

日ごろから幾度も練習を繰り返し、もうお互いのポジションを確認せずとも感覚で通じ合えるほどの必殺パターンを、選手権のオープニングゲームという大舞台で結実させた、佐賀東の見事な魂のゴールが2年連続の初戦突破という勝利を呼び込んだ。

監督・選手コメント
佐賀東・蒲原晶昭監督
「やることは去年から変えていない。去年、滝川第二に負けたときに、勝負だけを考えたらリスクをかけないほうがよかったんですが、この子たちのこと、うちの今後のことを考えたときに、勝負にこだわって面白くないサッカーはやらないようにしようと。そこでチャレンジさせてのあのスコア(0−5)だった。あれから1年、前から来るのをしっかりと剥がせるようにずっと準備をやってきた。今日一つ乗り越えたことで選手たちは相当な自信をつけたと思う。次の2回戦も思い切って最初から意図的なサッカーをさせていきたい」

⑨中里知己
「開幕戦ということでこれだけの人の前でサッカーをする経験がなくて、それでも自分は楽しもうと試合前から決めていた。ハーフタイムのときに監督とトイレで一緒になって『お前がチームを救うかな』と言われて『救います』と答えました。それでサイドバックの③山田がニアにクロスをあげてくれて、頭で流し込むだけだった。自分はFWなので点を取ることだけに集中していて、開幕戦の第1号で点が取れて自信になりました。目標は日本一です」

⑧江頭弘太
「前半は我慢と粘りという展開だった。関東第一のドリブルだったり、厚みだったりというのは全国でもトップレベルの攻撃だったので、我慢と粘りというのは監督からも言われていたけど、自分たちでも声を出して粘ろうと言っていた。前半を粘ってくれたから今日の後半があったんだと思う」

関東第一・小野貴裕監督
「2年連続開幕戦を戦えるということで、素晴らしい環境の中で堂々とサッカーをやっている佐賀東の選手と、我々の選手たちを見ていて率直によく頑張っているなと感じた。わかっていてもなかなかいつもどおりには戦えない中で精一杯頑張ってやってくれた。ピッチに立った両チームの選手たちは、人間として素晴らしいなと率直に思っている。我々もよくやったが、佐賀東のほうが大事なところでチームとして機能していたのかなと思う。そういう部分でチームを機能させられなかったというのは、私自身の力不足だなと思っている」

④小野凌弥
「スタンドを見たら黄色の服を着ている方々がたくさんいて、すごく良い気持ちで試合に入れた。周りを見渡すと空いている席がほぼなかったほど埋まっていて、地元・東京で勝てたら良かった。勝つ気でいたので、負けてとにかく悔しい。うちは今まで先に点が取れないとあまり勝てなくて、今日も先制されてしかも攻撃の起点となる⑪重田快が頭を打って退場したときにチームに少し嫌な空気が流れた。そこを直せなかったことを反省している」

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