第95回全国高校サッカー選手権大会 全試合完全レポート

PUMA

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第95回全国高校サッカー選手権大会
3回戦 青森山田-聖和学園

2017年01月03日

河合拓(フリーライター)取材・文
木鋪虎雄 写真

17年1月3日(火)14:10キックオフ/埼玉県・浦和駒場スタジアム/観客10,106人/試合時間80分
青森山田
5 3-0
2-0
0
聖和学園
⑩高橋壱晟(前半32分)
⑧嵯峨理久(前半35分)
⑪鳴海彰人(前半40+1分、後半8分)
オウンゴール(後半27分)
得点者  

試合の序盤は聖和学園がサイドから青森山田を崩しにかかり、青森山田はカウンターを仕掛ける展開となる。32分、青森山田はロングスローから⑩高橋壱晟が先制点を記録。その3分後には⑧嵯峨理久が追加点を決めると、前半のラストプレーで⑪鳴海彰人も得点を決めて、前半だけで3点をリードする。後半も青森山田は聖和学園の攻撃を凌ぎ、カウンターから得点を重ねていく。後半8分に鳴海がこの試合2点目を決めると、27分には左サイドからの攻撃でオウンゴールを誘発。青森山田が2回戦に続き、5-0で勝利した。

2試合連続2ゴールの青森山田・鳴海彰人
目指すは優勝とインターハイに続く得点王

夏に開催されたインターハイで7得点を挙げて大会得点王に輝いた青森山田の⑪鳴海彰人は、同大会に続く得点王獲得に向けて、順調にゴール数を伸ばしている。初戦となった2回戦の鵬翔戦で2ゴールを挙げた⑪鳴海は、3回戦の聖和学園戦でも2ゴールを記録した。

得点王争いについて聞かれると、「もちろん夏、冬の2冠を目指していますが、個人的なことよりも、まず目指すのはチームとして全国制覇することです」と、謙虚に話す。だが、一呼吸おき、「いちばんいい形は、自分が点数を取ってチームの全国制覇を助けること。なおかつ得点王になることですね」と野心を隠さない。

この試合で得点本能にスイッチが入ったのは、前半32分、⑩高橋壱晟が先制点を挙げたときだ。「自分以外の選手が点を取ったら、ストライカーとしては点を取らないと恥ずかしいので。先に誰かが点を取ったら、『次は自分だ』となっています」。先制点から3分後、⑧嵯峨理久が追加点を記録してからは、さらにどん欲にゴールを目指した。

迎えた前半アディショナルタイム、⑩高橋のパスに対して⑤三国スティビアエブスがDFを引き連れてスルー。その先にいた⑪鳴海が確実にゴールネットを揺らした。「あれは、ほぼごっつぁんゴールです。エブス(三国スティビアエブス)がニアの選手と潰れてくれて、自分がフリーでいられたので、あれはエブスに感謝しないといけないゴールです」と振り返る。

さらに後半8分にも敵陣深くでボールを奪ったショートカウンターから、⑦郷家友太がエリア内でDFともつれる形になり、こぼれ球を⑪鳴海がゴールに沈めた。「2点目も1点目と同じような形で、郷家が相手選手と共倒れしてくれて、そのこぼれ球がたまたま自分のところに来てくれました」と振り返る。

自身のゴールを演出したチームメートに感謝する⑪鳴海だが、ボールが来る場所にポジションをとることができる能力はストライカーにとって非常に重要だ。三国に感謝した鳴海は、「冷静に、1点目と同じくゴールの隅に蹴ることで入ると思っていたので。そこは強くサイドを狙ってゴールしました」と続けた。この言葉からは、プレッシャーのかかるゴール前でも冷静な判断ができていること、さらに自身のイメージを表現できる技術があることがうかがえる。

選手権2試合連続で無失点の堅守に加え、攻撃でも2試合連続で5得点と絶好調の青森山田。初優勝したプレミアリーグチャンピオンシップに続く、ビッグタイトル獲得、さらに個人タイトル獲得を目指し、⑪鳴海は目の前にあるゴールを見据え続ける。

監督・選手コメント
青森山田
黒田剛監督
いい形でリスタートから先制点が取れました。これも狙いの一つでした。去年ほどの鋭いものはありませんが、選手権は延長戦もなく、守備組織を整えて戦いがちな大会なので、飛び道具は少しでも多く持っておきたいし、それを効率よく活用することが、試合を勝つことを考えると大切な武器ではないかと思います。聖和さんは、飛び道具とかを、ほぼほぼ使ってこないチームなので、私たちは彼らの崩しのところ、ゴール方向へ向かうドリブルやパスを遮断した中で守備をしようとしていました。飛び込まず、ファーストコントロールしたところで隙があれば奪おうとしたのが、いい形で出たのではないかと思います。昨日のゲームと同じように前半で3点リードして終えられたのは、ちょっと出来過ぎた結果かなと思います。

⑪鳴海彰人
聖和さんが疲れさせるようなサッカーをしてくるので、食いつかずに取り所があったら、そこを狙うというやり方でやった結果、こういう点差になりました。ゴールキックをつながせずに、大きく蹴らせたのは聖和対策というより、自分たちの決め事です。ゴールキックや深い位置でのスローインのときは、相手をハメて蹴らせる。うちはセンターバック陣がヘディングに強いので、蹴らせて、競って、勝って、次のセカンドボールを拾って、自分たちのサッカーを始める。あそこからのショートカウンターが僕たちの武器ですし、そこからゴールを重ねていき、得点王も狙いたいです。聖和さんとは、東北大会で戦って負けていたので、その借りを返すという気持ちでした。東北の王座は青森山田だというところを見せつけたと思います。

①廣末陸
今年の青森山田は、守備が固いのがストロングポイントだと思っています。プレミアから公式戦5試合を無失点できているので、そこはこのチームのいい所です。変なミスからの失点がないので、計算内で試合を運べるのは大きいですね。GKなのでキックやセービングの本質的なところで、違いを見せたいですね。ただ、チームが一番なので、自分のプレーが悪くても、チームが勝利できれば、それが一番よかったと。キックの練習は、シュート練習をしたりします。低い弾道は、振り抜かないとなかなかできないので。シュート練習とかは、サイドネットに突き刺したりするので。中学のころはすごくやっていましたね。練習前の自主練などで。今はあまりやりませんが、練習からチャレンジすることは大事だと思います。

聖和学園
加見成司監督
青森山田さんは、思ったよりもプレスを掛けてきませんでした。そこは予想外でしたが、前半はうまく自分たちのリズムでできました。ペナルティーエリアには入れさせてくれませんが、そこまでは運ばせてくれたので。ただ、相手にはセットプレーで先制点が取れる強みがありましたね。それで1点取れれば、流れも変わってきてしまいます。相手のよさはサイドにあると思っていたので、固めて臨みました。30分までは頑張っていましたが、失点したダメージは大きかったですね。もともと選手権で戦うことすら厳しいチームが、頑張って出場権を勝ち取って、選手権でも3試合を戦いました。ベスト16まで来たというのは、何点差で負けようとも変わらないものなので、そこは誉めてあげたいなと思います。

選手コメント
⑤小倉滉太
結果は去年と同じ0-5でしたが、立ち上がり10分は失点しないということをチームでいっていました。相手は青森山田という日本一のチームなので、昨日の夜のミーティングでは2失点はするだろうと話していたんです。でも、取られても取り返すのが聖和学園なので。でも、結果的に1点も取れず、シュートまで行く回数も少なくて、完敗だなという感じですね。2点目、3点目は痛かったですね。2点目は想定内だったのですが、その後すぐ3点目を決められて、ちょっとメンタルに来てしまいました。集中力はいつも以上にあったのですが、ロングスロー1つで失点してしまうので、サッカーは難しいなという感じです。

⑭原科勇我
シュートまでは行く場面が少なかったですね。もっとシュートを打っておけば、入ったかもしれないと。相手は体を当てられたら強いのですが、ドリブルはそんなに取られる感じはなかったです。もっと前から来るかなと予想していたのですが、思ったより来ませんでした。予想外でしたが、その相手に対して最初はいい形で攻めることができたのですが、点を取られたあたりからは崩れてしまいました。前半を0-0で折り返して、後半に点を取れればと思っていたのですが、そうできませんでした。プリンスリーグの青森山田戦では、ボールを取られたあとに取り返すことができたのですが、今日は攻守の切り替えが早かったですね。今日の試合はドリブルも全然できなかったので、どんどん練習して、もっと点を取って、チームを勝たせられる選手になりたいです。

⑩西堀駿太
一発のロングスローだったり、センタリングだったりで、確実にチャンスをモノにしてくるところは、さすが青森山田さんだなと思いました。途中から入ってサイドでボールをもらって縦に勝負することが何回かあったのですが、1枚目を剥がせても、2枚目、3枚目でクリアされたり、取られたりすることがあったので、その対応の早さはすごかったですし、自分としてもやり切れなかった部分ですね。去年、負けていたので、この一戦に懸ける思いは強かったですし、一戦でも多くやりたかったのですが、まだまだ技術面で足りなかった。やり切れなかったのが悔しいというのが感想です。最後に1点取りたかったのですが、遠かったですね。青森山田さんの守備は堅かったですし、自分たちの技術が足りませんでした。聖和として初めて3回戦に来ることができたのは、後輩にいい意味で残せたと思いますし、自分たちは朝から晩まで自主練をする世代だったので、そうしたチームが3回戦まで行けたのはよかったと思います。

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