第95回全国高校サッカー選手権大会 全試合完全レポート

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第95回全国高校サッカー選手権大会
2回戦 山梨学院-尚志

2017年01月02日

篠幸彦(フリーライター)取材・文
小川博久 写真

17年1月2日(月)14:10キックオフ/東京都・駒沢陸上競技場/観客7,088人/試合時間80分
山梨学院
2 0-0
2-1
1
尚志
⑲宮崎純真(後半14分)
⑥小林友也(後半26分)
得点者 ⑩加野赳瑠(後半7分)

常連校同士の一戦は序盤から激しいボールの奪い合いで互いに主導権を譲らない展開となった。前半20分頃から尚志が徐々にポゼッションでペースを握る。山梨学院は⑥小林友也を中心に守備を固めて耐える時間帯が続いた。後半7分、尚志が先制するとゲームが大きく動く。山梨学院はすかざす⑲宮崎純真を投入しギアチェンジ。後半14分に⑲宮崎が同点弾で流れを引き寄せ、26分に⑥小林が追加点。山梨学院が3回戦進出を決めた。

後半勝負の采配がピタリ
山梨学院が強敵・尚志に逆転勝利

山梨学院の逆転劇の主役となったのは1年生FW⑲宮崎純真だった。

山梨学院は前半20頃から尚志の巧みなパスワークに主導権を譲り、粘り強く耐えるしかなかった。ただそれは安部一雄監督曰く、戦前から覚悟した想定内の展開だった。

「うちは『走れる』というところで何とか前半を乗り切る」(山梨学院・安部監督)

前半をゼロで抑えて後半勝負が、山梨学院の描いたゲームプランだった。しかし、後半7分、尚志⑩加野赳瑠に鮮やかに先制点を奪われたことで状況が変わった。それでも「時間帯が早かったので、まだ十分に時間はあった」と、安部監督は冷静に次の一手を打つ。

後半11分に⑲宮崎が投入されると、それまでのボールを奪ってからロングボール主体のシンプルな攻撃から、前線にクサビを入れて繋ぎ、全体を押し上げるスタイルに切り替わった。サイドから⑪藤原拓海や⑧降矢涼平がドリブルで仕掛けると、山梨学院の攻撃にリズムと躍動感が生まれた。尚志はそのスタイルの変化に動揺した。「1点取ったあとに、サイドから斜めにドリブルで攻められてボランチのスペースが空いてしまったときに、僕が改善策をすぐに出せなかった」と、尚志・仲村浩二監督は振り返る。

そして投入の3分後、⑲宮崎が⑪藤原とのコンビネーションで中央を崩して同点弾を決める。「めっちゃ気持ちよかった。今までで一番」と⑲宮崎が喜びを爆発させると、流れは一気に山梨学院に傾いた。それから後半24分には、それまで守備で奮闘していたアンカーの⑥小林友也が中央をスルスルと上がり、冷静に逆転弾を沈めた。

「2点取れたのは彼が入ってリズムを変えてくれたのが一番大きかった」と安部監督が賞賛するように、⑲宮崎が入ったことでガラリと流れが変わった。⑲宮崎は初戦でふくらはぎに腫れがあったことでベンチからのスタートにせざるを得なかった。そこでいけるところまで耐えて後半勝負というゲームプランに切り替えた安部監督の手腕は見事だった。

1年生ながら「あそこでは彼が一番ボールが収まる」と監督から絶大の信頼を集め、大舞台でその信頼に見事に応えた⑲宮崎。「取った瞬間は周りが輝いて見えて、全員自分を見ているんだと思って最高の気分でした」とはにかむ顔にはあどけなさが残るが、「自分が出て流れを変えるしかない」と語る目には野心溢れる力強さを感じさせた。

監督・選手コメント
山梨学院
安部一雄監督
技術的にも体力的にも相手のほうが上なので、前半に相手に押されることは覚悟していた。うちは「走れる」というところでなんとか前半乗り切って後半残り20分で勝負しようと考えていた。(次の対戦相手の)駒澤大もパワフルなチーム。ただ、今日の尚志のような強い相手にもやれるようになってきているので、対等に戦えると思っている。試合の内容よりはとにかく勝って3年生には1試合でも多くやらせてあげたいと、スタッフ全員で思ってやっている。

⑲宮崎純真
0−1で負けていたので自分が出て流れを変えるしかないと思っていた。そこですぐに点を取れてよかった。取った瞬間は周りが輝いて見えて、全員自分を見ているんだと思って最高の気分でした。めっちゃ気持ちよかった。今までで一番ですね。本当にヒヤヒヤする場面が多くて、絶対に守ってくれと祈っていた。投入のときは「純真」と呼ばれて監督は頷いただけで指示はなかった。わかっているだろうと。

尚志
仲村浩二監督
全部僕の責任です。1点取ったあとに、サイドから斜めにドリブルで攻められてボランチのスペースが空いてしまったときに、僕が改善策をすぐに出せなかった。僕がそこで明確にボランチをもう1枚増やして、攻撃を一枚下げてしまえば守備を固めて1−0で逃げ切るように指示を出してあげられればよかった。そこで後手に回ったところが敗因。どうしても攻撃的にとこの一年間通してきたので、そこを貫いてしまった結果だった。あそこで1−0で勝てるチーム、もしくは1−1でPKで勝てるチームでなければこの大会は取れないんだなと、そういうイメージになりました。

⑩加野赳瑠
1点取ったあと、もう一点取って安心したかったというのがあってどんどん前に行ったけど、そこでボールを失ってから切り替えが遅くなってしまった。カウンターで取られてから流れが向こうに傾いてしまって逆転を許してしまった。

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