第95回全国高校サッカー選手権大会 全試合完全レポート

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第95回全国高校サッカー選手権大会
1回戦 滝川第二-秋田商

2017年01月01日

本田好伸(フットボールライター) 取材・文・写真

16年12月31日(土)12:05キックオフ/千葉県・県立柏の葉公園総合競技場/観客1,837人/試合時間80分
滝川第二
2 2-0
0-0
0
秋田商
⑨山田裕也(前半9分)
⑳本田周作(前半30分)
得点者  

2年ぶり19回目の出場となった滝川第二が幸先良く1回戦を突破。最初のビッグチャンスを作ったのは秋田商だった。右サイドからのクロスをファーサイドでフリーで受けた⑦伊藤颯がシュートを放つと、これは滝川第二のGK⑫樫野智哉が好セーブ。滝川第二は直後の8分、中央の⑩持井響太のシュートがクロスバーに弾かれたところを⑨山田裕也が頭で詰めて先制に成功する。すると30分、再び⑩持井が左サイドでチャンスを作ると、縦パスを受けた⑨山田のダイレクトのクロスに⑳本田周作が合わせて滝川第二が追加点。一方の秋田商も、サイドチェンジを効果的に使ってチャンスを生み出したものの、決定的なシーンを生み出せない。最後は前線に人数を掛けて攻め込んだが及ばず、試合は2-0で滝川第二に軍配が上がった。

滝二で初の選手出身監督へ
3年生から初勝利のプレゼント

2010年の第89回大会を制した滝川第二は、2年前の第93回大会限りで栫裕保監督が勇退。当時の松岡徹コーチが後任に指名された。松岡監督はかつて滝川第二でプレーし、2年生の時に出場した90年の第69回大会で、同校の選手権初勝利を経験した選手である。

滝川第二で、母校出身選手が監督になったのは初めてのこと。そんな歴史を知る指揮官が率いて初めて臨んだ選手権の舞台は、監督にとっても選手にとっても特別なものだった。松岡監督は試合前、選手にこんなお願いをしたという。「選手でも初勝利、監督としても(選手権で)勝利することはなかなかないと思うので、3年生に『監督としての勝利をください』と」。今の3年生は、コーチという立場で接した1年生のときの選手であり、「彼らとの距離感も非常に近いところがあるし、そういう意味でも思い入れがある」。

この試合は、そうした監督の思いもあって、3年生を中心に戦うことを決めていた。松岡監督は、「毎回、大会に向けてテーマを決めるが、今回は3年生の力で『東京で年を越そう」と話していた。そして、「途中出場した、今まで出られていなかったような選手がよくチームのために貢献してくれていた」と選手を労った。

滝川第二はこの試合、監督の気持ちに呼応するかのように、先発に名を連ねた9名の3年生を中心に、盤石の戦いぶりを披露していた。特に先制点を決めた⑨山田裕也は追加点もアシスト。松岡監督は、「⑨山田は普段とは異なるポジションだったが、彼は偉大な先輩・岡崎(慎司)選手に憧れて、うちの9番を受け継いでいる。岡崎選手と同じように技術よりも泥臭いプレーでずっと得点を決めてくれている選手で、本当に努力を重ねてきたからこそ今回のような結果がある」と、その取り組みや献身性を称えた。

選手も、監督に初勝利をプレゼントすることを誓っていた。2年前に1年生として唯一ピッチに立った経験を持つ⑩持井響太は、「松岡先生には『おまえが周りに経験を伝えて、緊張しないように伝えてやるんだ。楽しんで勝ちにこだわろう』と言われていた」と明かすが、「でも、一番緊張していたのは松岡先生じゃないかな」と笑う。選手同士のミーティングでは、「母校出身で監督になったのも初めてで、それで選手権に勝つことは、全国的にも少ないことだと聞いていたから、『勝てるように全員で頑張ろう』と話していた」。

滝川第二は選手層が厚く、主力を張れるような1、2年生も多い。そんな中でも⑩持井は、「『3年生の力(が必要』と県大会からずっと言われてきたし、後半には普段は出場機会が少ない選手も入ってきて、そこでしっかりチームとしてプレーできたことは大きいし自信になった」と振り返る。選手たちは試合後、「(今日入っていたメンバーが)次の試合でベンチ外になったとしても全員で頑張ろう」と話したという。

「子どもたちと『(決勝が行われる)埼スタで勝つ』と意気込んできたが、今日のゲームではまだそこには程遠い。秋田商業の強さを感じたし、次はもっとボールを丁寧に扱うサッカーをして上を目指したい」(松岡監督)。果たして選手たちは、“母校出身監督で初の2勝目”、“母校出身監督で初の優勝”を指揮官にプレゼントできるだろうか。滝川第二の王座奪還の挑戦はまだ始まったばかりだ。

(監督・選手コメント)
滝川第二
松岡徹監督
今日は3年生がキーだった。普段とは違うスタメンだったが、「3年生の力で東京で年を越そう」という気持ちを込めて臨んだ。そしてそのとおり、先制点、追加点を取れて、今まで出ていなかったような途中出場の選手が非常によくチームのために貢献してくれた。選手権はやはり、最後は3年生の力。競争は激しく、特徴のある1年生、2年生がいるし、次の試合でメンバーに入ってくる可能性もあるが、今年は特に3年生がキーワードで、彼らの頑張りがなければここには立てていなかった。次も一戦一戦やって、上を目指したい。

⑩持井響太
「最初の15分が大切」ということを選手権の前から言われていて、この試合では立ち上がりから攻められるシーンが多かったが、そのチャンスの少ない時間帯の15分で1点を取れたことが大きかった。相手はかなりガツガツくるので個人的にはやりにくい相手だった。(2年前にはできなかった)初戦突破ができて良かったが、個人的には相手マークに耐え切れずにあまり良いプレーができなかったので、次はもっと結果にこだわって、2年前の雪辱を果たしたい。

秋田商
小林克監督
相手の県大会決勝のビデオを見て研究したが、攻撃の破壊力もあり、しっかりとした守備でゴール前が堅かったので、そこをこじ開けるのはなかなか難しい作業だろうと思っていた。立ち上がりにうちがビッグチャンスを作ったが、そこでしっかりと決め切れていれば、相手がバタつく時間も増えて、自分たちの時間をもう少し長くできたと思う。

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