第94回全国高校サッカー選手権大会 全試合完全レポート

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第94回全国高校サッカー選手権大会
準決勝 國學院久我山―青森山田

2016年01月09日

鈴木智之(フットボールエッジ編集長)取材・文

16年1月9日(土)14:20キックオフ/埼玉県・埼玉スタジアム2002/観客数25,073人/試合時間90分
國學院久我山

2

1-1
1-0
1
青森山田
野村京平(前半25分)
戸田桂佑(後半45+3分)
得点者 鳴海彰人(前半17分)

先制点は前半17分。今大会、猛威を振るった⑤原山海里のロングスローが起点となり、③常田克人が頭で反らせたボールを⑰鳴海彰人がヘディングで押しこみ、青森山田が先制する。しかし、その後は久我山が⑨小林和樹、⑩澁谷雅也、⑭名倉巧を起点にパスをつないで攻めあがり、青森山田ゴールに襲いかかる。そして25分、名倉のクロスに反応した②野村京平が強烈なヘディングシュートを突き刺し、久我山が同点に追いつく。後半に入ると青森山田のエース、⑩神谷優太が積極的に突破を仕掛け、再三強烈なシュートを放つが、久我山の1年生守護神・①平田周を軸に凌ぐと、後半アディショナルタイムに途中出場の⑬戸田佳佑が勝ち越しゴールを決め、久我山が勝利。初の決勝進出を果たした。

小柄な2年生コンビが
強力ツインタワーを攻略!

サッカーに体の大きさは関係ない。それを証明したのが、國學院久我山の2年生コンビだった。ワントップを務める⑩澁谷雅也は163センチ、トップ下で攻撃をリードする⑭名倉巧は167センチと小柄な部類に入る。対する青森山田のセンターバック、ベガルタ仙台加入内定の③常田克人は189センチ、④近藤瑛佑は190センチあり、大会屈指の大型コンビである。

青森山田の“ツインタワー”をどう攻略するか。トップ下の名倉は「相手はプロ内定選手(③常田)もいて、身長も高い。自分と(⑩澁谷)雅也は背が高くないので、足元の技術で相手を翻弄しようと思っていた」と語る。そのイメージの源はバルセロナだ。「メッシも背が高くないけど、大きい選手に負けていない。そういうイメージで、デカイ相手を技術で上回れれば、必ず抜けると思っていた」(⑭名倉)

久我山の同点ゴールは名倉の閃きから生まれる。1点ビハインドで迎えた、前半25分。⑭名倉が左サイドをドリブルで突破し、ゴール前にシュート性のクロスを送る。そこにいたのはDF②野村京平。強烈な弾道のボールを頭で合わせ、久我山が同点に追いついた。ボディーバランスに優れ、正確で強いキックでチャンスを作る姿は、名倉が「あこがれ」と語るイニエスタのようだった。

1―1で迎えた後半40分、⑭名倉、⑩澁谷のホットラインがつながり、決定機が生まれる。⑭名倉がドリブルで前方へボールを運ぶと、ディフェンスラインの背後に走りこんだ⑩澁谷へスルーパスが通る。「ボールの受け方、GKをかわしてシュートを打つところまではイメージどおり」(⑩澁谷)の動きをしながら、無人のゴールをめがけて放ったシュートはゴール左に外れてしまった。久我山を率いる、清水恭孝監督も思わず頭を抱えた決定機失敗。⑩澁谷が「勝ったのはうれしいけど、個人的には悔しい」と話す通り、背番号10を背負うエースとしては、決めておきたい場面だった。

とはいえ、この試合で攻撃をけん引したのは小柄な二人のアタッカーであり、徹底した地上戦を挑み、青森山田の“ツインタワー”に仕事させなかった。名倉はこの日の出来に手応えを感じており、「二人にゴールがなかったのは残念ですけど」と前置きをした上で「1対1の対人、フィジカル、球際では負けていなかった」と自信をのぞかせる。

決勝戦に向けて、⑩澁谷は「東福岡はインターハイのチャンピオン。自分たちはチャレンジャー。失うものはなにもないので、自分たちのサッカーをして勝ちたい」と話せば、⑭名倉は「選手権で試合を勝ち抜く中で成長して、強くなっている。東福岡を恐れずに、自分たちのサッカーで勝ちたい」と語気を強める。

久我山が初のチャンピオンに輝くためには、ふたりの活躍は欠かすことができないものになる。果たして、この2年生コンビが久我山を王者に導くのか。決勝戦では、ピッチ上で絶大な存在感を放つ小柄な二人から、ひとときも目を離さないほうがいいだろう。

(監督・選手コメント)

國學院久我山
清水恭孝監督
苦しい戦いでしたが、選手たちは最後まで粘り強く、したたかに戦ってくれました。久我山らしさが出た試合だったと思います。どちらが勝ってもおかしくない試合でした。少し、我々に運があったと思います。(⑭名倉について)かなりいい選手だと思います。あのサイズなのでプロになるためのハードルは高いとは思いますが、点数が取れる選手になれば、そこも見えてくるのではないかと思います。(選手には)何があっても動じないでやろうと伝えました。先制されたあとも、落ち着いてゲームができました。点が入って試合が動き出したところで、自分たちのリズムを作ることができたかなと思います。

⑤宮原直央
先に失点しましたが、その後の戦い方がよくて、それが逆転ゴールにつながったと思います。ロングスローは準備してきたのですが、失点してしまいました。その後、立て直すことができた理由としては、同点ゴールが大きかったです。決勝戦の相手は強いチームですが、最高の舞台で戦うために、最高の準備をしたいです。

⑭名倉巧
自分たちの力以上のパフォーマンスが出せて、ここまで来くることができたと思います。(1点目のアシストは)弱いボールだと相手も対応しやすいと思い、強いボールを蹴りました。あこがれの選手はイニエスタです。ボールコントロール、シュート、パス、ドリブルがうまくて、メッシやスアレスが輝くのも、イニエスタの存在があるからだと思います。(自分も)小さくても技術が高くて、ゴールを狙える選手になりたいです。

⑩澁谷雅也
自分が決めきれなかったのが、決勝に向けた課題です。この試合ではセンターバックの間にポジションをとり、相手の死角に入ってスルーパスを受けることを意識しました。前半はポゼッションでも勝てていましたが、後半は押される場面が多かったと思います。自分がもっとボールを受けて、リズムを作ることができたら、違った展開になったと思います。手本にしているのはスアレスとアグエロです。スアレスは普通のFWと動きの質が違って、ゴール前でフリーでボールを受けることができますし、アグエロのどこからでもシュートを打つ姿勢は見習いたいです。

青森山田
黒田剛監督
ロスタイムで2試合拾い、ロスタイムでやられる。高校サッカーの勝負の厳しさを痛感しました。このチームはキャプテンの⑥北城俊幸を中心に、まとまりのある、前向きでどんなときも一生懸命やるチームとして、1年間よくがんばってくれました。東福岡とプレミアリーグの2位同士で決勝戦をやりたいという気持ちがありましたが、まだまだ我々に力がなかったと評価するしかないと思います。ロスタイムで得点を取れて、勝ちきれる。そんなチームを作って、また出直してきたいと思います。

③常田克人
いままでロスタイムで勝ってきましたが、それを相手にやられてしまいました。相手のほうが一枚上だったと思います。この悔しさをバネに、プロの世界でがむしゃらにやって、開幕スタメンを狙っていきたいです。

⑩神谷優太
前半はうまくいきませんでしたが、後半は立て直すことができました。自分たちのサッカーはできたと思いますが、ゴールを決めることができませんでした。プロになって、決めるべきところで、しっかりとゴールを決められる選手になりたいです。

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