第94回全国高校サッカー選手権大会 全試合完全レポート

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第94回全国高校サッカー選手権大会
準々決勝 星稜―明徳義塾

2016年01月05日

松尾祐希(フリーライター)取材・文

16年1月5日(火)14:10キックオフ/東京都・駒沢陸上競技場/観客8,093人/試合時間80分
星稜

3

2-0
1-0
0
明徳義塾
阿部雅志(前半28分)
阿部雅志(後半14分)
大倉尚勲(前半40分)
得点者  

序盤から明徳義塾は恐れることなく、星稜へと立ち向かった。⑥禹滉允を軸に中盤でボールを動かし、試合の主導権を掌握。最後の局面で星稜守備陣を崩し切れなかったが、押し気味に試合を進める。しかし、前半28分に③濵口俊介がペナルティーエリア内で⑨根来悠太を倒し、退場処分になると様相は一変。このPKを⑦阿部雅史に確実に決めると、同40分には⑫大倉尚勲が加点。「一発レッドで退場したことがいちばん大きかった」(明徳義塾・小松晃監督)。後半にも1点を追加した星稜が相手の綻びを見逃さず、4年連続でベスト4に進出を果たした。

数的不利な状況に混乱した明徳義塾。
3点の差は経験値にあり

明徳義塾は自らのストロングポイントを発揮し、素晴らしい試合の入りを見せていた。4-1-4-1のアンカーに入る⑥禹滉允が左右にボールを散らし、2列目の4人が相手の背後を狙う。「選手たちには星稜に比べて、君たちのプレッシャーはないはず。だから80分間楽しんでこい」と小松晃監督に送りだされた選手たちは、前回王者・星稜に対して臆することは一切なかった。むしろ、動きに硬さが見られたのは星稜の選手で、些細なミスを繰り返していた印象である。

しかし、いい時間帯が80分間続くわけではない。悪い時間帯をいかに凌ぐかが明徳義塾のポイントだった。その中で前半28分にCBを務める③濵口俊介が⑨根来悠太を倒し、PKを与えた上に一発退場となった場面。直後のPKを決められ、数的不利な状況に選手たちは混乱した。「③濱口が欠けたときにどうするかを決められていなかったが大きかった」と⑤西森剛が話すように、失点直後から10人で戦う配置が定まらない。3分後に②近藤大地を投入し、4-4-1で戦う構えとなったが、動揺を隠せないチームは前半終了間際に再び失点。後半も反撃の糸口を見出せず、明徳義塾の快進撃は終わりを告げた。

「相手が1人少ないという場面が過去にもあったのですが、僕らが1人少ないというのは今年の公式戦で経験をしていなかった」と⑤西森は話す。想定外の出来事に対応できなかったというのは、明徳義塾の経験値不足が招いたモノだろう。ただ、前回王者を相手に自分たちのサッカーが通用したことは間違いない。結果だけを見れば0-3だったが、退場者が出なければ勝負の行方は最後まで分からなかったはず。「あのPKがなかったらどうなるか分からなかったですし、本当に明徳は強いチームだった」と、⑦阿部も明徳義塾の強さを認めていた。「どんな状況でも判断がよくて、伝統校なので一体感があった」(⑥禹)。星稜の強さを肌で体感した選手たちにとって、ベスト8で得た経験値は来年以降に還元されるはずだろう。

(監督・選手コメント)

星稜
河崎護監督
(試合を振り返って)トータル的にはよかったのですが、ミスも多かった。なので、CBの2人がDFラインで跳ね返してくれた。あそこが崩れないので何とか持っているチームです。
(4年連続の4強ですが)僕は2年ぶり3回目ですよ(笑)。埼玉スタジアムには行ったことがないので。今年の9月にチームを見るようになってからいったのは、「全員で優勝旗を持って変えるぞ」ということでした。夏も練習試合を見ていたのですが、攻めも守りもまとまりがないし、ミスをしたら歩いていた。今日もそのようなところがあったのですが、まさかここまで本当にくれるとは思わなかった。

①坂口璃久
正直、雰囲気のところで緩みがあったかもしれないが、守備のところは集中していた。結果的にはシュートもあまり打たれていないので、DFラインがよく頑張ってくれたと思う。
(緩んでいたというのは?)自分たちが3戦目ということで選手権に慣れてきた。なので、何となくやってもいいのかなというのがあったし、声も出ていなかったのでそこは課題。
(明徳のサッカーは)やりづらいチームでしたけど、いい時間帯に点を取ってくれたので後ろも余裕が生まれた。なので前(の選手)に感謝をしている。

明徳義塾
小松晃監督
リラックスはしていたと思う。選手たちには「星稜に比べれば、君たちのプレッシャーは軽いモノ」と伝え、試合の入り方はよかった。PKは仕方なかったが、一発レッドで退場したことがいちばん大きかった。なので、失点してからの残り20分弱を0-1で終われるように、ベンチから指示を出した。でも、最終ラインに変わって入った選手が裏を取られてしまった。
(ピッチで混乱もしていたと思いますが)誰がCBに入るのか、交代で選手が入るまでに誰が下がるのか。そこがバタバタしてまった。
(選手たちも監督のほうにどうしますか?という感じで見ていましたが)④舛田凱が外れたときの4バックはあったのですが、③濱口が欠けたときにどうするかを決められていなかったが大きかった。
(最初はしっかりとサッカーが通用していましたが)選手たちには星稜に比べて、君たちのプレッシャーはないはずだから80分間楽しんでこいといった。それが立ち上がりから出てくれたし、1人欠けても運動量を落とさず、選手たちはDFを頑張ってくれた。

⑤西森剛
僕らも色々あってしんどかった。でも、ベスト8まで勝ち上がれた瞬間があったからこそ、頑張れたのかなと今は思う。
(自分の中でベスト8というのは)周りから見ればいい結果だと思いますが、僕の中ではもう1つ上に行けたかなと感じている。最初の15分間に見せたプレー内容であればベスト4に行けたのかなと思う。
(PKを与えてから、チーム内で混乱したと思うのですが)それは大丈夫でした。配置は問題なかったのですが、⑭岡崎(郁矢)と自分のどっちがセンターバックに入るのかで迷った。
(その後の展開に関しては)相手が1人少ないという場面が過去にもあったが、僕らが1人少ないというのは今年の公式戦で経験をしていなかった。そこでとまどいが出てしまい、前半の終わり際にもう1点取られたのが痛かった。

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