第94回全国高校サッカー選手権大会 全試合完全レポート

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第94回全国高校サッカー選手権大会
決勝 東福岡-國學院久我山

2016年01月11日

鈴木智之(フットボールエッジ編集長)取材・文

16年1月11日(月・祝)14:08キックオフ/埼玉県・埼玉スタジアム2○○2/観客54,090人/試合時間90分
東福岡

5

1-0
4-0
0
國學院久我山
三宅海斗(前半36分)
中村健人(後半2分)
餅山大輝(後半22分)
藤川虎太朗(後半25分)
中村健人(後半35分))
得点者  

17年ぶりに決勝の舞台に立つ東福岡と、初の決勝を戦う國學院久我山との試合は大差で決着した。東福岡が素早いプレスと攻守の切り替えで試合の主導権を握ると、前半36分に⑩中村健人、⑨餅山大輝、⑥藤川虎太朗と左から中央へパスがつながり、最後はファーサイドからゴール前に走りこんだ⑪三宅海斗が左足を振り抜き、先制点を挙げる。後半2分には、GKのスキを突くトリックFKから、⑩中村がゴール左隅にシュートを流しこみ、追加点をマークする。國學院久我山は1点を返そうと、⑭名倉巧、⑩澁谷雅也を中心に攻勢に出るが、東福岡のU-18日本代表GK①脇野敦至、センターバックの⑤福地聡太、⑮児玉慎太郎を中心とした守備を崩すことができない。後半22分には⑨餅山のゴールで3-0にすると、後半25分には⑧藤川、後半35分には⑩中村がこの日2点目のゴールを決め、5-0でタイムアップの笛を聞いた。

好守一体の高い完成度
東福岡が國學院久我山を圧倒!

攻守に高い完成度を見せつけた東福岡が、90分に渡って試合をコントロールした。その源になったのが、中盤の素早いプレス、攻守の切り替えを軸とした守備力だった。國學院久我山の選手がボールを持つと、2人、3人と人数をかけて寄せ、奪ったボールを素早くサイドへ展開する。ディフェンスリーダーの⑤福地聡太が「相手がボールを持ったら、2人以上で囲んで、集団で守備をしろと監督にいわれています」と話すように、前線、中盤、最終ラインの選手が足を止めることなくボールホルダーを囲いこみ、久我山から自由を奪っていった。

準決勝で活躍を見せた國學院久我山の⑭名倉巧も「相手は1対1が強かった。4番(鍬先祐弥)にマンマークにつかれて、打開できなかったのが敗因です。守備も攻撃も全部、東福岡のほうがレベルが高かった」と振り返れば、2年生エースの⑩澁谷雅也も「点差ぐらい、レベルが離れていると感じました。相手のセンターバックに寄せられて、全然前を向かせてもらえなかった」と負けを認めるしかなかった。

東福岡は國學院久我山の2年生コンビを封じるために、④鍬先が⑭名倉、⑮児玉慎太郎が⑩澁谷にマンマーク気味につき、最終ラインの裏のスペースのカバーリングとこぼれ球を⑤福地聡太が担当。⑤福地は、試合中に何度も両手を広げて「この位置でラインをキープしろ」というジェスチャーで最終ラインをコントロールした。守備時に最終ラインを高い位置でキープすることで、コンパクトな中盤を形成。ボールホルダーを狭いスペースに押しこみ、人数をかけてボールを奪っていった。

現代サッカーは攻撃と守備が表裏一体となっているが、東福岡が見せた積極的な守備はモダンフットボールと表現してもいいだろう。試合は5-0と大差がつき、トリックFKなど目立つ場面もあったことから「東福岡の攻撃が大爆発」という見方をされがちだが、多くの決定機を作ることができたのも、チーム全体の守備が機能したからだということは記しておきたい。「ヒガシの攻撃陣は頼りになる。自分たちがゼロに抑えれば、1点以上は絶対にとってくれる」と話すのは、ディフェンスリーダーの⑤福地である。

今大会を通じて、多くのゴールが見られた一方で、守備の個人戦術やグループ戦術の緩さから、失点を喫して敗れたチームも多く存在した。東福岡は「良い攻撃は良い守備から始まる」ことを体現したチームであり、攻守の連動性、組織力、そしてグループの中で個を生かす術に長けたチームだった。先制ゴールで見せた「スペースを作り、使う」という連動したパスワークは見事だったし、⑧藤川虎太朗が決めた4点目につながった、⑮児玉のインターセプトからのクロスは、攻守が表裏一体であることを端的に表したプレーだった。

東福岡は選手それぞれが個人戦術を身につけた上でグループとして連動し、攻撃と守備を行っていた。その上で個々のストロングポイントがあり、チームとして形成されるという、サッカーのベースの部分が高いレベルで備わっていた。攻守に高い完成度を見せつけ、夏のインターハイに続いて冬の高校選手権でも優勝。歴史に名を刻むにふさわしいチームであることを示した決勝戦だった。

(監督・選手コメント)

東福岡
森重潤也監督
指導者として、高校選手権で優勝する夢を持っていましたが、選手たちが叶えてくれました。彼らが1年生のとき、新人戦で優勝ができず、月日が経って3年生になって、高円宮杯プレミアリーグWESTでセレッソ大阪に1-6で負け、危機感を覚えました。選手たちを鼓舞して、最後にこういう結果を残した選手たちは素晴らしいと思います。(対戦相手の)國學院久我山は試合をするごとに強くなっている印象があり、簡単なゲームにはならないと思っていました。自分たちのサッカーを90分通してやっていけば、勝利に結びつくと信じて戦いました。5-0はできすぎではないかと思います。

⑮児玉慎太郎
相手の⑩番(澁谷雅也)が脅威だったので、仕事をさせないことを心がけてプレーしました。前半はそれができていたと思います。(後半4点目のアシストは)前にスペースがあったので、行けるところまで行こうと思ってプレーしました。(大会を通じて1失点だったが)自分からすると「失点1してしまった」と思っているので、スピードや体力、強さを磨いて、来年に生かしていきたいです。

⑤福地聡太
試合前は「点を取られなければ負けない。ゼロにこだわっていこう」という話をしました。相手の⑩番(澁谷雅也)がボールの受け方、消える動きがうまかったので、⑮児玉と話しあって、彼がマンツーマンでついて自分がカバーするようにしたのですが、それがうまくいったと思います。中盤や前線も守備を頑張ってくれています。チームで守備ができたことが、失点ゼロにつながったのだと思います。

國學院久我山
清水恭孝監督
ひと言でいうと、東福岡さんが良かった。うちがベストなゲームができてもどうだったのか。力の差があったかなと感じました。0-5という結果でしたが、すべてが否定されることはないと思います。素晴らしい選手たちで、よくここまで勝ちあがってくれたというのが、率直な感想です。今年のチームは大会の間に一気に伸びたと思います。大会に入ってから躍動感があり、自信満々にサッカーをやっていました。

⑭名倉巧
マンマークにつかれて、打開できなかったのが敗因です。東福岡のレベルが想像以上で、実力のなさを痛感しました。努力して、来年ここに戻ってきたいです。プレスが今まででいちばん速くて、2人、3人で囲まれて取られるパターンが多かったです。國學院久我山のサポートも、東福岡の寄せに比べて遅かったのかなと思います。

⑩澁谷雅也
来年はどの舞台でも点が取れるFWになりたいです。東福岡は強くて、点差ぐらい、レベルが離れていると感じました。FWの質も高くて、守備も全然前を向かせてもらえませんでした。今後は強い相手でも前を向けるように練習することと、久我山らしさを貫き通して、東福岡のような相手を倒せるチームになりたいです。

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