第94回全国高校サッカー選手権大会 全試合完全レポート

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第94回全国高校サッカー選手権大会
3回戦 明徳義塾-各務原

2016年01月03日

松尾祐希 取材・文

16年1月3日(日)14:10キックオフ/埼玉県・浦和駒場スタジアム/試合時間80分
明徳義塾
3 0-0
3-0
0
各務原
三田村基俊(後半39分)
土家壮太(後半40+2分)
大田陸(後半40+2分)
得点者  

1−0というスコアで共に勝ちあがってきた明徳義塾と各務原。その中で勝負を分けたのは、わずかかなほころびだった。

拮抗した展開で後半を迎えた両者の対戦。終盤に入ると互いに体力を消耗し、集中力も途切れ始めた。しかし、明徳義塾は一瞬のスキを見逃さなかった。「一瞬だけ相手の足が止まった」(小松晃監督)という後半39分。⑩佐々木敦河の右クロスに⑦三田村俊基が合わせ、値千金の先制弾。40+2分にも⑯土家壮太と⑲大田陸が加点し、高知県勢としては29年ぶりとなるベスト8進出を決めた。

亡き父と共に
わずかに届かなかったベスト8。

アディショナルタイムも含めあと4分だった。後半39分からまさかの3失点。各務原にとっては悔やんでも悔やみ切れない。なぜならば、その1分前に決定機を迎えていたからである。⑦和田遼馬の左CKからファーで②山田大夢が頭で中へと折り返す。この絶好機に⑨富樫景汰は頭で合わせた。しかし、無情にもボールはゴール左へ。「ヘディングは下手くそなほうで、競り合いも全然勝てなかった。あそこでヘディングが強い選手であれば決められたと思う。本当に決めたかった」と、涙ながらに自身のプレーを悔やんだ。

ただ、試合後には仲間たちから「ベンチのメンバーからはカッコよかったといわれました。悔しいはずなのに、僕を気遣って声を掛けてくれたのがうれしい。一緒に出た仲間からもお疲れさまとか、ありがとうという声を掛けてもらえた」。誰一人として、⑨富樫を責める者などはいなかったのである。

そんな⑨富樫がサッカーを始めたのは幼稚園のころ。「幼稚園のころから運動が好きでした。サッカーをやっていなかったら、周りに迷惑を掛けるくらいやんちゃだった」と本人が振り返るように、そのパワーをサッカーに生かすべくボールを蹴り始めた。しかし、中学校1年生のときに「お父さんは野球をやっていたのですが、僕のやりたいことを全面的に応援してくれました」という父がガンのため他界してしまう。

迎えた中学校3年生。高校進学を控えた⑨富樫は母から父が各務原に通っていたことを知らされ、父の母校へと進学することを決断。そこから日々の鍛錬を怠らず、最後の冬はベスト16へと勝ち進んだ。「喜んでいると思う」と、父に想いを馳せた⑨富樫。そして、女手一つで育ててくれた母に対しても「父がなくなってから母が、仕事も忙しいのに兄妹3人を一生懸命育ててくれて感謝をしています」と家族への想いを話す。最高の仲間と家族に恵まれた⑨富樫は関西大学へと進学する。ただ、サッカーをやるかは検討中とのこと。彼がどのような決断をしたとしても、サッカーで得た経験は一生の宝物である。

(コメント)
明徳義塾
小松晃監督
(勝因は)球際を厳しく行けたのと最後まで走り切れたことが大きい。うちはどんなときもチャレンジ精神なので、戦う姿勢は持っていきたい。でもまさか3点も入るとは思っていなかった。(ハーフタイムは)余りいえないのですが、やられる前にいっておくと。今のままではやられるから、もっとプレッシャーを掛けて体を寄せないといけないというし指示を出しました。
最後は(PK戦に)なったらなったで3年生から順番にキッカーを決めていた。その準備だけはしていました。一瞬だけ相手の足が止まって、⑩佐々木があそこまで切りこめたというのは大きかった。普段の練習から手を抜かずにやったことが走りきれることにつながったと思う。前半は中にクロスをあげても人がいなかったので、中に選手が入って決めてくれたので良かった。

⑦三田村基俊
(得点は)自分が決めるとは思っていなかったです。なので、決めて勢いに乗れたので良かったです。決めたいとは思ったのですが、まさか決められるとは思っていないくて、びっくりしました。
(PK戦は)県予選でもあったので、そうなるのかなとは思いました。(ピンチもありましたが)気を抜いたらやられるなと思いました。ずっと集中して声を掛けていた。気を抜かないようにしていました。

各務原
梅野剛監督
1失点は覚悟していて、彼らにも失点後に伝えていました。残り時間の部分や選手交代というところで、私の経験不足が出てしまって試合結果を左右させてしまった。そこは本当に申し訳ないなと思っています。
耐えて、裏にボールを放り込んでゴールまでシンプルに持っていくことはできていましたし、セットプレーでチャンスを作れていた。なので、ある程度はゲームプラン通りだったと思います。

⑨富樫景汰
僕たちはベスト8を達成したかったのですが、最後のツメが甘かったです。(前半のシュートは)狙っていました。クロスがあがった瞬間に⑪(足立)航が落とすのは分かっていたのですが、フカしてしまいました。あれは心残りなプレーです。
岐阜県勢の中でいちばん長くサッカーをできたことはうれしく思いますし、そこはチームメイトに感謝をしたい。支えてくれた先生や親たちも感謝をしたい。

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