第94回全国高校サッカー選手権大会 全試合完全レポート

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第94回全国高校サッカー選手権大会
3回戦 駒澤大高-松山工

2016年01月03日

川端暁彦 取材・文

16年1月3日(日)12:05キックオフ/東京都・駒沢陸上競技場/試合時間80分
駒澤大高
2 0-0
2-1
1
松山工
佐藤瑶大(後半11分)
菊地友介(後半28分)
得点者 志摩奎人(後半3分)

後半開始早々の3分に松山工はFW⑩野川稀生が左サイドから入れたFKに、ニアサイドで1年生DF23志摩奎人が合わせて先制点を奪う。だが、その後11分に駒澤大高も、同じ左サイドからのFKをファーサイドでDF③佐藤瑶大がジャンプヘッドで完璧に競り勝ち、同点ゴール。試合を振り出しに戻した。そして28分、交代出場のMF⑦菊地雄介が左足シュートを蹴りこんで、勝ち越し。終盤、松山工も激しい攻勢を見せたが及ばず、駒澤大高が初の8強進出を決めた。

ベスト8進出を後押しした
マルチポジションシステム

松山工と駒澤大高。初めての8強を目指す両雄の激突で、序盤の主導権を握っていたのは間違いなく松山工だった。負傷者の影響で右サイドのメンバーが入れ替わっていることを見て取った松山工・坂本哲也監督は「ウイークポイントになるのならば徹底して行こう」と、相手の右翼にターゲッティング。立ち上がりから激しくプレッシャーを掛けつつ、左サイドに攻め寄せて相手を押しこんだ。

駒澤大高MF⑯春川龍哉は「相手はガンガン来るし、しかもうまいし、ボール取れないし、本当に自分たちのサッカーができなかった。あの時間帯は本当にキツかった」と振り返る。ただ、逆にいえば、ここが勝負どころだった。この大会、予選から勝負師としてのすごみを見せている駒澤大高・大野祥司監督は、すかさず右SBで初先発となっていた⑭安元奨とボランチの⑯春川を入れ替えるように下知。「ビビってしまっていた」(大野監督)⑭安元に代わって、CBもこなしてタフに戦うことに定評のある⑯春川を右に置くことで見事に安定を図った。窮余の策だが、しかしこれも選手全員にさまざまなポジションを経験させてきたからこそ打てる手。「あらゆることを想定して、選手にはいろいろやらせてきた」(大野監督)成果である。

駒澤のマルチポジションシステムは10番キャプテンの深見侑生にも色濃く適用されている。今大会はすべてFWとして先発し、試合中に右SBに移るという流れだ。そもそも「GK以外は全ポジションやったことがある」(⑩深見)というスーパーマルチプレーヤーなのだが、この日も同点ゴールを奪うと、すかさず⑩深見を右SBに。「センスがあって、攻守で落ち着く」(大野監督)彼をDFラインに入れることで、DF②高橋勇夢の負傷欠場に伴う「右の穴」は完全にふさがった。

そもそも今年のダブルボランチは、今季の上半期はセンターバックコンビだった2人。「最初は『えっ? 片方ならともかく、両方?』と思った」(⑯春川)という奇策だったが、「うまさを期待されていないのは2人ともわかった」(⑯春川)と走って守るボランチコンビとしてすっかり定着。その2人に代わるCBとして奮闘し、セットプレーのスコアラーにもなっている③佐藤瑶大も、今季始めはFWとして起用されていた選手である。

マルチポジションシステムは中途半端にやると、中途半端なチームが仕上がるだけなのだが、駒澤大高はまさにそれが徹底されており、誰もが別のポジションで出る準備と覚悟をしているし、それをやり切る戦術的な能力も備えている。選手の適性や特性を見抜いて、巧みに配置替えを行う大野監督の手腕と合わさって、駒澤大高8強進出の原動力の一つとなった。

(コメント)
駒澤大高
大野祥司監督
「(決勝点の)⑦菊地は技術の高いドリブラーで、ウチでは異色のタイプ。何かやってくれるかなと思って出したが、あまり根拠はなかった(笑)。今日の試合前は、ゆるゆるになっていたのでカツを入れました」

⑯春川龍哉
「今年はホントにキツかった。夏はホントに走ったし、死にものぐるいでやる中で、1、2年生もしっかり付いてきてくれています。体力には自信があります。校内マラソンも1位でした」

松山工
坂本哲也監督
「最後までボールを動かして戦うことはこだわってやった。(駒澤大高のロングボールで)前後に走らされて、それがストレスになっていた。ミスが失点につながった。足りなかったのは技術。1、2年生には、あのプレスをかいくぐるだけの技術を身につけさせたい」

⑩野川稀生
「(アシストとなったFKは)誰が触って決めてもいいし、そのまま入ってもいいという感覚で蹴った。内容が良かっただけに、結果は残念。リードされてから慌てて蹴ってしまった。本当はあの状態でもつなぐことをしたかった。卒業後は大学に行くので、そこで力をつけてプロになるという目標を持っています」

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