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第87回全国高校サッカー選手権大会 レポートコラム Supported by gol.japan (株)カレッジリーグ エーライン事業部

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トーナメント表
大会概要
2009/1/10

第87回全国高校サッカー選手権大会

粂田孝明(ストライカーDX編集部) 取材・文

準決勝

1月10日(土)/12:05キックオフ/埼玉県・埼玉スタジアム2002/観客17604人/試合時間90分

鹿児島城西 5(4-3、1-0)3 前橋育英

得点者
(鹿)野村2、大迫勇、オウンゴール、成元
(前)中美、米田、皆川

攻守に質の高さを見せた前橋育英だが
超新星・大迫勇也の前に惜敗

「体が動かなくて、調子が悪かった」
試合後、うつむき加減でそう答えた鹿児島城西の⑨大迫勇也。このコメントを、血まなこになってかけずり回った前橋育英のDF陣が聞いたら、どんな思いがするだろうか。大会最多得点記録に並ぶ9ゴール目を挙げ、一人で8本のシュートを放った⑨大迫勇。この試合でもまぎれもなく勝利の立役者だった。調子が悪くても、圧倒的な存在感を見せられる。もはや「大迫勇也の大会」といって異論はないだろう。

 この試合、最大の見どころは、今大会ここまで無失点の前橋育英の守備を、⑨大迫勇を擁する、鹿児島城西がいかに崩すかだった。高円宮杯での対戦では、5-4の打ち合いの末、鹿児島城西が勝っているが、それ以降、守備力を徹底的に強化してきた前橋育英。その真価が問われる試合だった。

 しかし予想に反して、スコアは開始直後から、急激に動き始めた。1分に鹿児島城西の⑪野村章悟、3分に前橋育英の⑳中美慶哉、10分に同じく前橋育英の⑭米田賢生、さらに14分にも前橋育英の25皆川佑介がゴールを決め、わずか15分足らずで3-1、前橋育英の2点リードとなった。

 両チームとも、この3-1のスコアをターニングポイントに挙げた。2点ビハインドの鹿児島城西・小久保悟監督は「次の1点で流れが変わる」とにらんだ。そこで守備陣に対し、「ここが踏ん張りどころだ!」とゲキを飛ばし、相手のストロングポイントである両サイドバックのオーバーラップをケアするために、左MF⑫室屋良憲とトップ下⑥河野佳亮を入れ替え、さらに⑨大迫勇を中央よりやや右に配した。これで鹿児島城西は完全に息を吹き返した。⑨大迫勇にボールを集め、彼のキープ力と突破力を頼りに、回りが次々とゴール前に駆け上がった。そして22分に相手DFとGKの連係ミスを突き、⑪野村が1点を返すと、43分にチームを勢いづける決定的な同点ゴールが決まる。左サイドで⑥河野がためて、絶妙なタイミングで走り込んだ左サイドバック④松井駿佑へパス。④松井のグラウンダークロスに、⑨大迫勇がスライディングシュートで決めた。そのわずか1分後にはオウンゴールで逆転に成功。鹿児島城西が4-3で前半を折り返した。

 一方、前橋育英・山田耕介監督は3-1の状況で、不安を感じていた。それは選手たちの気の緩みだった。あまりにもあっさりと逆転したことで、選手たちは、小さなほころびを修正しきれていなかったようだ。守備陣の連係ミスで奪われた22分の失点以前にも、実は同じようなシーンがあり、DFとGKの間で、その確認を怠っていたようだ。そして逆転を許したオウンゴール。気持ちを立て直せないまま、前半を終了してしまった。

 後半はスコアが示す通り、均衡した内容となった。鹿児島城西の攻撃は、やはり⑨大迫勇を生かしたスピーディーな展開。まずは⑨大迫勇にあて、2列目が受け、再びペナルティーエリア付近で⑨大迫勇がボールを持ち、個人技で突破しシュート、あるいはDFを引きつけスルーパス。これが絶対的かつ効率的な必殺技。チームは彼を生かすために動いているようにも見えた。

 対する前橋育英は、多彩な攻撃を披露した。⑥笛田祥平と⑱木村高彰の両サイドバックの積極的なオーバーラップによるサイド攻撃。ダブルボランチの⑭米田賢生と⑦六平光成のスルーパスに2トップの25皆川と⑬西澤厚志が飛び出す形。そして⑬西澤が中盤に下がって起点となり、2列目から⑭米田と⑦六平がシュートを狙う形と、何パターンもの攻撃を見せてくれた。しかし鹿児島城西に瀬戸際で粘られ、後半は得点を奪うことができなかった。

 試合後、前橋育英・山田監督は、「うちのディフェンスは本物じゃなかった」と肩を落としたが、攻撃のバリエーション、統一された守備組織は高校レベルを超越していた。ただひとつ前橋育英にとって誤算だったのが、相手にも高校レベルをはるかに超越した、⑨大迫勇也という規格外の存在がいたことだろう。

鹿児島城西・小久保悟監督
「前半は内容が悪く、相手のほうがよかった。先制点は入ったが、その後、受け身に回ってしまって、セカンドボールを取られてゲームを支配された。ポストプレーされることが多く、インターセプトを狙おうといったが、前半はそれができず、ボールを受けられてしまって、中盤の選手の飛び出しを許してしまっていた。選手には、リードされても逆転できるという気持ちがあるんだと思う。1-3になったときも、次の1点で流れが変わると思っていた。決勝は勝っても負けても最後なので、悔いの残らないように戦いたい」

鹿児島城西・⑨大迫勇也
「試合前はいつも通りに頑張ろうという話をした。点の取り合いになったら、勝てると思っていた。自分自身、今日は反省しかない。勝てたんで、プラスにとらえたい。次の試合でしっかり勝って、笑って終わりたい。負けても勝っても最後なので、とにかく楽しんでサッカーしようと思う。自分のいいところを出していきたい」

鹿児島城西・⑤成元将平
「1-3になったとき、ベンチから『我慢しろ』という指示がきて、そこで我慢して3点で抑えきったことが、この勝利につながったと思う。(ゴールは)決まった瞬間は、本当に入ったのかなと思った。おいしいところで決められた。風が強くてピッチにビニールなどのゴミが舞っていたが、それを3、4回拾ったので、運が向いてきたのかな」

鹿児島城西・⑪野村章悟
「トーナメントで勝ち進んでいくにつれ、相手のDFがどんどん強くなっている。だからこそ、点を取る喜びも大きい。大迫(勇)とはいつもビデオを見て、点を取るイメージを共有している」

鹿児島城西・③蔵薗友裕
「相手の両サイドバックがオーバーラップしてくるので、その裏のスペースをカウンターでつこうという狙いがあった。ボールを回されるのは、仕方ないと思っていた」

前橋育英・山田耕介監督
「立ち上がりのCKの失点が後々響いてしまった。いつものリズムでスタートできなかったが、点を取れてポゼッションができるようになった。3-1とリードしたまではよかったが、その後ミスで3点を取られてしまった。2点リードで選手たちに『勝てる』という気持ちの緩みが出てしまった。メンタル面での指導が足りなかったかもしれない。相手はDFラインからのロングボールが多いので、そのボールを拾えば、ポゼッションできると思っていた。前半30分ぐらいまではできていた。ミスからの失点で混乱してしまった。負けはしたが、これからも2列目、3列目が前線に飛び出す、人もボールも動くサッカーを続けていきたい」

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