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第87回全国高校サッカー選手権大会 レポートコラム Supported by gol.japan (株)カレッジリーグ エーライン事業部

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卒業生に贈るメモリアルボール (株)カレッジリーグ エーライン事業部

トーナメント表
大会概要
2009/1/5

第87回全国高校サッカー選手権大会

鈴木智之(スポーツライター) 取材・文

準々決勝

1月5日(月)/12:05キックオフ/神奈川県・ニッパツ三ツ沢球技場/観客6,000人/試合時間80分

鹿島学園 2(1-1、1-0)1 大津

得点者
(鹿)忍穂井、小谷
(大)藤本

鹿島学園が消耗戦を制し、
初のベスト4進出を決める

 鹿島学園・鈴木雅人監督は秘策を用いてきた。それは「一度もやったことない」(FW⑨忍穂井大樹)という3トップ。スカウティングの結果、「地力は相手(大津)のほうが上」の結論に至った。そこで、「相手を乱すために」(鈴木監督)採用したのが、3トップだった。

 その狙いは「前に攻撃の基点を置いて、3トップにボールが収まったら前を向いて仕掛けていく」(鈴木監督)こと。大津の守備陣はCBの④藤本大と⑤比嘉大祐を中心に、高さ、強さを兼ね備えている。いつもの4-4-2で臨み、鹿島の2トップが大津の強力CBに押さえられると、攻撃は手づまりになる可能性が高い。

 そこでもうひとりアタッカーを入れ、基点の数を増やすとともに、早めに前へボールを入れることで、自陣でボールを奪われて崩されるリスクを回避することにしたのだ。

 先制ゴールは開始2分、鹿島学園に生まれる。右サイドのスローインに反応した⑦小黒翔太がペナルティーエリアにスルスルと進入し、DFと競りながらゴール前にグラウンダーのパスを送る。ゴール前にフリーで待っていたのはFW⑨忍穂井。「いつもやっている、練習どおりの形」でボールを受け、豪快に蹴り込んだ。

 しかし、地力に勝る大津は、12分に④藤本が左からのCKにジャンプ一閃。打点の高いヘディングを叩き込み、すぐさま同点に追いつく。

 後半に入ると、鹿島学園は3トップの一角・FW⑰青木翔太を下げ、中盤の掃除屋MF⑥増田匠海を投入。システムを4-4-2に戻した。前半は秘策を使い、相手を混乱におとしいれ、消耗をうながす。後半に入ると、開幕戦から一貫して戦ってきたメンバー、システムで勝負に出た。

 一方の大津はこれまでの試合、途中出場で流れを変えてきたスーパーサブコンビのMF⑮藤崎裕太を後半9分に、MF⑰澤田崇を後半19分に投入し、怒とうのアタックを展開する。

 鹿島学園、大津ともにカードを切り、勝負をかけたが、およそ1週間で4試合を戦うハードスケジュールから、消耗の度合いは著しく、プレーの精度を欠いていく。後半は「互いに疲労から力を出し切れていなかった」(鹿島学園・鈴木監督)という状態だった。

 誰もがPK戦を覚悟した後半ロスタイム。ドラマが待っていた。ゴール正面で鹿島学園⑨FW忍穂井が倒され、ファウルを得る。キッカーはMF⑩小谷駿介。大津守備陣が壁を作る前に、鹿島学園の3選手が立ちはだかった。5日前、同じ三ツ沢会場で立正大淞南が見せた、GKの視界をさえぎるトリックプレーである。

 しかし、立正大淞南と違うのは「ぶっつけ本番だった」(MF⑩小谷)こと。「誰かが突然いい出した」(⑨FW忍穂井)アイデアが、一筋の光明となった。⑩小谷の蹴ったボールはゴールに突き刺さり、決勝ゴール。鹿島学園が初のベスト4進出を決めた。

 鹿島学園・鈴木監督にしてみれば、してやったりの快勝だった。前半の3トップで相手をかく乱し、勝負に出た後半にゴールを決めて逃げ切った。両チームとも消耗が激しく、やや低調なパフォーマンスだったが、それでも「走力には自信がある」(鈴木監督)鹿島学園は、最後まで集中をゆるめなかった。

 決勝点につながるファウルを受けた⑨FW忍穂井のドリブルは、後半ロスタイムとは思えないほどの鋭い切れ味だった。「夏から走りこんできた」(⑨FW忍穂井)成果が土壇場で背中を押した。夏合宿では片道6キロの山道を毎日往復。試合で負けるとハーフコートダッシュ50本。勝っても、失点1につき20本ダッシュをした。このキツい罰則は「今年のチームになったときに自分たちで決めたこと」(⑨FW忍穂井)だという。

 走力に裏打ちされた、途切れない集中力。試合終盤でもブレない技術。鈴木監督はチームの長所をこう説明する。「基本を大切に、止める、蹴る、走ることをしっかりやる。それプラス、頑張ることですかね」。高いテクニックを持っていても、それを発揮できなければ意味がない。鹿島学園は厳しい練習を通じて、すべてのプレーの土台にある『止まらない足』を手に入れた。そのごほうびが、茨城県勢では27大会ぶりとなるベスト4進出だった。

 一方の敗れた大津。2日前の3回戦で、前回準優勝の藤枝東と3対2の激戦を演じていた。大きな山を越えたことで「自信がついて、油断が出たのかもしれない。前半の立ち上がりは全体的に足が動いてなくて、走れていなかった」(④藤本)と、精神面のスキを突かれて先制を許すと、試合開始直後、試合終了直前という「いちばんやられてはいけない時間帯」(大津・平岡和徳監督)の失点が響き、大会を去ることになってしまった。

 試合後、大津の④藤本主将が千羽鶴を手渡しに、鹿島学園のロッカールームにやってきた。主将の②阿渡真也が受け取ると、ふたりは抱き合い、健闘をたたえあった。頂まで、あと2つ。鹿島学園はライバルの想いを受け継ぎ、頂点を目指す。

鹿島学園・鈴木雅人監督
「前半は3トップで相手を乱し、後半は4-4-2で勝負に出た。前後半ともに疲労で力を出せなかったが、運よくうちがゴールを決めることができた。試合を勝ち抜くことで、子供たちが自信をつけて成長してきた。あとは応援。お世辞じゃなくて、大きな声に背中を押してもらっている」

鹿島学園・⑩小谷駿介
「(決勝FKは)みんなが自分に託してくれた。『いつもどおりリラックスして蹴れ』といってくれて、狙ったところにうまく蹴ることができた。僕たちには『もう一度国立に』という合言葉がある。次も勝って、国立の芝生をもう一度踏みたい」

大津・平岡和徳監督
「決めるところで決めないで、決められてはいけない時間帯に点をとられた。それでは勝てない。相手がやり方を変えてきたときの対応力が身についていない。それは今後つけていかないといけない」

大津・④藤本大
「相手が3トップで来て、予想と違った。11番(三橋隼斗)、17番(青木翔太)にヘディングでやられて、こぼれ球を拾われてしまった。(先制ゴールは)スローインでマークを見失って、裏をとられて崩された。それ以外はしっかり対応できたんだけど……。(自分の同点ゴールは)ドンピシャのタイミングだった。持ち味は出せたので後悔はない」

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